20日の国際親善試合のスウェーデン戦で2010年W杯に向け再スタートを切るフランス代表だが、メンバーの平均年齢がユーロ2008のときの27.6歳から今回25.4歳と若返ったことに加え、もうひとつ大きな変化があった。

 98年W杯優勝メンバー、アラン・ボゴシアン氏(38)を監督補佐に招聘したことだ。ボゴシアン氏は守備的MFとしてマルセイユ、ナポリ、サンプドリア、パルマなどでプレーした。代表ではデシャン、カランブー、プティの陰で目立たなかったものの、安定度抜群の控えとして厚い信頼を得ていた。

 これまで指導者としての経験はないが、フランスのユーロ敗退後、ドメネク監督の“後釜”候補に名前を挙げられることもあった。

 監督補佐(コーチ)は留任するピエール・マンコウスキ氏、GKコーチのブルーノ・マルティニ氏との3人制になる。ドメネク監督がレキップ紙に語ったところでは、ボゴシアン氏とマンコウスキ氏の役割は「同等」だという。

 しかしドメネク監督とは対照的とも言えるボゴシアン氏の明るく飾り気のない人柄を考えると、監督がユーロ敗退後に認めた「コミュニーケーションの失敗」をカバーする存在として、選手との対話やチームのムード作りに一役買うことが期待されているようだ。

 レキップ紙によると、ドメネク監督がまず最初にボゴシアン氏に託した“仕事”は、代表引退を宣言したダビッド・トレゼゲ(ユベントス)に復帰を考えるよう電話で説得することだったという。「いつか彼を呼び戻す希望をもっている」と語るドメネク監督。ユーロ2008で経験不足が露呈したゴミス(サンテティエンヌ)を選び、トレゼゲを外したことを今になって後悔しているのだろうか。

 それにしても、直接自分で電話せずにボゴシアン氏を“使った”ことは、トレゼゲのドメネク監督に対する不信感を払拭するのに有効だったかは疑問だ。しかし、代表に人一倍の愛着を感じているトレゼゲだけに、一度つけた決心が再び揺らぐことにならないとも限らない。