<ジョン・フィッチ>

王者GSPのキャリアが14勝2敗なのに対し、フィッチは21勝2敗。UFCに限っていえば、8勝0敗というパーフェクトレコードを残しており、チアゴ・アウベス、弘中邦佳、ジュカォン・カルネイロ、ディエゴ・サンチェスらを破ってきた。

ミドル級はおろか、ライトヘビー級でも通用しそうな体格をハイパー・ダイエットでウェルター級にカットし、カレッジ・レスリングで培った抜群のテイクダウン能力を武器に、ここまで勝ち上がってきたフィッチ。

地元インディアナから、MMAでの成功を求め、アメリカン・キックボクシング・アカデミー(AKA)で練習するためにベイエリアのサンノゼに移り住んで5年。キックの名伯楽ハビ・メンデス、MMAを念頭においた柔術マスター=デイヴィッド・カマリロの指導を受け、抜群の距離の作り方、そして組み技のディフェンスを駆使し、モンスターの異名をとるまでの強さを見せるようになった。

打撃が冴え、テイクダウンとパスガードの強さに定評ある王者GSPに対して、挑戦者は鉄壁のカウンターアタックの実践者といえよう。

フィッチについて、不安点を探るのであれば、今年3月のクリス・ウィルソン戦で見せた戦い方になるだろう。地味という評判を気にしたのか、ハイキックや攻めの寝技を繰り出し、ややチグハグは動きとなり、試合は判定までもつれこんでしまった。

無名の強豪ウィルソンが対戦相手という点を差し引いても、本来の強さが見えなかったフィッチ。とはいえ、勝利至上主義のAKA、客席が静まりかえろうが、選手権試合では自らのやるべきこと、勝利への方程式はできあがっているはず。

全てにおいて穴のないGSPだが、ジェイ・ヒエロンやメイヘム・ミラー戦を上回るフィジカルの違いは脅威。フィッチがサンチェス戦で見せた鉄板のカウンターアタックを繰り返せば、新王者誕生もおおいにありえる、それが9日のUFCウェルター級選手権試合という訳だ。

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