<ジョルジュ・サンピエール>

GSPは、1981年5月19日生まれで、カナダのフランス語圏ケベック州出身の27歳。現在、MMAワールドでパウンド4パウンドを挙げるとすれば、ヘビー級のエメリヤーエンコ・ヒョードル、ミドル級のアンデウソン・シウバ、ライト級のBJ・ペンと、このGSPの4人の争いとなることに不満を持つ者はいないだろう。

GSPこそパウンド4パウンドと言い切れるものではないが、この4人の中では、アンデウソン・シウバとともにコンスタントにリングに上がり続け、その時々の最強のチャレンジャー、最強のライバルと戦っているのもGSPだ。

また、その対戦相手のアベレージの高さもアンデウソンのそれと比較して、上回っているといっても語弊はないだろう。04年1月に初めてUFCオクタゴンに登場して以来、一度だけ地元モントリオールのTKOのリングに上がっている以外は、キャリアの全てをUFCで過ごしてきた(UFC戦績は10勝2敗)。

敗戦のうちの一つは、GSP自身が経験不足を認めた3戦目のマット・ヒューズへのチャレンジ。もう一つの敗戦は今も世紀の大アップセットとして記憶に新しいマット・セラ戦での敗北だ。

だが、敗北を与えてくれた両者には、その後しっかりとリベンジを果たしているGSP。彼がUFCで破ってきた他のファイターは、DREAMで名を馳せるジェイソン・メイヘム・ミラー、戦極のリングに上がり“三崎を破った”フランク・トリッグ、IFLウェルター級王者ジェイ・ヒエロン、BJ・ペン、ショーン・シャーク、ジョシュ・コスチェック、カロ・パリシャンら強豪ぞろい。

GSPの勝利の特徴は、そんな彼らを相手に圧倒的な勝利を挙げていること。BJ・ペン戦以外は、一進一退の攻防などなく、常に先手を取り、ピンチに陥ることなく勝利を掴んできた。

最近ではなぜか士道館の文字が入った道衣を着用しているが、極真空手出身でノヴァウニオンの強豪柔術家ヴァグネイ・ファビアーノに柔術の手ほどきを受けてきた。以降、BTTやヘンゾ・グレイシーの下でグラップリングの技術を磨き、レスリングではロシア出身のコーチの下でトレーニングを積み、カナダの五輪代表ととも練習を重ねてきた。

あのエディ・アルバレスともトレーニングを積む予定があるというGSP。このオクタゴンの支配者=ルーラーが、9日に対戦するのは無冠の帝王ことジョン・フィッチとなる。

GSP×ジョン・フィッチ プレビュー、続きは次ページに。