今週のお役立ち情報
プラス株式会社常務取締役 ファニチャーカンパニープレジデント 中嶋光正氏インタビュー「循環型」でないとオフィス家具は生き残れない
新しいオフィスへの移転。社員は気分一新といったところだが、頭の痛い問題も発生する。古くなったオフィス家具をどうするかである。不法投棄なんていうことになっては企業の責任問題にもなりかねない。そうした中で、コストも抑え、「環境」にもやさしい処分の仕組みが登場してきた。文具や事務用品、オフィス家具大手のプラス(株)ファニチャーカンパニープレジデントの中嶋光正氏に最新事情を聞いた。
―― オフィス家具の環境問題が注目されだしたのはいつごろからですか。
中嶋 オフィス家具業界では1990年に入って地球環境保護への取り組みがはじまり、分別廃棄できる製品づくりに取り掛かっていました。とはいえ、カタログに載せる程度で、徹底的に「環境」を重視していたとはいえない部分がありました。製品の最終処分まで目が届かなかったのです。メーカーはモノをつくって売るのが商売なのだから、そういう発想にならなかった、ともいえます。
プラスは中古オフィス家具をリユース・リサイクルする「マテリアルリバースシステム(MRS)」というシステムを構築しました。企業が移転したり、オフィスをリニューアルしたりすると、必ず不要になったオフィス家具が出ます。これを下取りしてオークションにかけ、リユース・リサイクルして廃棄物削減を支援しようというものです。取り組みはじめたのは6年ほど前から。スタート当初もPRはしたのですが、当初はそれほど受け入れていただけませんでした。ただ、「プラスの考え方はいずれ理解してもらえる」と信じていました。
―― どのあたりから風向きがかわってきたのですか。
中嶋 リサイクルが進まないのには理由がありました。家具の場合、物流費が高いことがネックで、お金をかけて古い家具を運んだり、捨てにいくよりも新品を買ったほうが手間がかからないし、コストもかからない。そして、これが新しい家具を売る格好のセールストークにもなっていたのです。しかし、当社は「これはまだ使えますよ。ただ、ここは新しくしましょう」と提案します。そして、古い家具はオークションにかけ、廃棄品削減をお手伝いし、お客様にはオークションの売上代金が戻ってくる、というMRSを地道に推進してきました。
そうしたなか、大手企業が環境への取り組みを本格化させた2年ほど前から、MRSの人気が上がってきました。MRSには、ほかにもいい点があります。企業の環境レポートにこの取り組みが載せられることです。
――最近、新しい取り組みを発表されたそうですね。
中嶋 オフィス移転に伴う不要家具の中には、オークションにかけることができず、廃棄せざるを得ないものが出ることは避けられません。そして、廃棄過程ではCO2が発生します。この対策のひとつとして、6月からMRSのサイクルの中に「カーボンオフセット」を取り入れました。オークションでの落札価格の一部を排出権取得に充当することで、お客様企業が新たな負担なくCO2をオフセットできるという仕組みです。オフィス移転にかかるコストも安く済むうえ、CO2削減にも寄与する。さらに産業廃棄物を出す心配もない。企業の社会的責任の点からも意味があるものだとして、MRSの採用を働きかけていくことにしています。
―― 今後は似たような仕組みが出てくるのでしょうか。
中嶋 新たな参入はそう簡単ではないでしょう。わたしどものMRSは、正規のルートで正しく処分する仕組みができあがっており、ここに6年間のノウハウが詰まっているからです。
―― 環境保護の要請が強まる中で、オフィス家具業界の未来は?
中嶋 大量生産、大量消費の時代は終わりました。それをどの程度理解し、実行していくかが大切です。椅子などを除いたオフィス家具は、丁寧に使えば20年以上もちます。捨てないでずっと使える家具をつくる。たとえば、当社の家具BTO(Build To Order)もその一つです。家具を天板や脚などのパーツで捉え、お客様のご希望にあわせてカスタマイズする仕組みなら、デスクであれば天板を取り替えていけば、半永久的に使うこともできます。欧米の家具のように、しっかりしたいいものをつくれば、中古になっても高値で取引されます。
そして、そこにMRSを組み込んでいく。つまり不用品を引き取るところから始めて、新しい家具を納品し、再び引き取るところまでを一貫して行うサービスを定着させる。そのためには、この長い工程を管理するプログラムを適正に運用しなくてはなりません。捨てられない家具をつくると同時に、どこまでを捨てて、どこを生かすのかを、お客様といっしょに考えていけたら、と思います。
―― 景気の後退もいわれています。
中嶋 景気回復の峠は越えた、と感じています。東京都内はオフィスビルの竣工が一巡したこともあって、決してよい環境ではありませんが、働きやすさ、生産性の向上をテーマに「いいオフィス」を提案していきたいですね。欧米では人の動線や組織に合ったオフィスを考えていて、オフィス家具はそれを生かすうえでのツールにすぎないのです。日本のオフィスづくりも変わらないといけないし、じつはその兆しはあります。ベンチャー企業の社長のオフィスを見ると、デスクひとつをとっても個性的なものを選ばれるようになってきました。そういった流れも強く意識して、製品に変化をつけていきたいですね。
【中嶋光正氏プロフィール】
1945年7月生まれ。
甲南大学経営機械化コース卒業後、瀧本株式会社、内田洋行株式会社を経て、1998年プラス株式会社へ入社、ビズネット株式会社の前身にあたるQDS事業部を立ち上げ、ITを活用した新しい流通ビジネスモデルの構築に注力。
2000年ビズネット分社、社長就任から5年後にジャスダック証券取引所への上場を果たし会長となる。昨年よりプラス株式会社へ帰任し、現在は常務取締役・ファニチャーカンパニープレジデント。
社団法人経済同友会地球環境・エネルギー委員会の委員も務める。
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