K-1より面白い! 不良同士のガチバトル『THE OUTSIDER 第弐戦』詳報
2008年07月23日09時00分 / 提供:日刊サイゾー
チケットはあっという間に完売し、前回大会を上回る入場者数(1604人=超満員札止め)を記録。出場選手は、全国各地から選抜されたケンカ自慢の50名。揃いのギャングファッションで身を固めた応援団や、元ヤン風情のお姉さん、高級車に乗ったコワモテのお兄さん方も多数詰め掛け、試合前から会場にはキナ臭い空気が充満していた。
入口では、前回大会同様、金属探知機で凶器等の持ち込みがないかをチェック。客席を見渡すと、タトゥー比率が異常に高く、面構えやファッションなどから総合的に判断するに、約半数が不良ないしは元不良か。本来なら息抜きの場所であるはずの喫煙所に行っても、世の嫌煙ブームなどどこ吹く風とばかりに、いかつい面々がウジャウジャひしめき合っており、うっかり足でも踏んだら殴られるかもしれない……と、記者みたいなひ弱な客はまったく息が抜けない状況だった。
そんな一触即発の空気を、ドカンと破裂させる火付け役となったのは、第4試合に出場したストリートファイト歴10年を誇る“横濱ギャング連合 ハマの狂犬”こと黒石高大(21・出場2回目)だ。リングインするなり、拳をブルンブルンと振り回し、メンチを切って相手を挑発。いかにもケンカ慣れした仕草に観客は大歓声。しかし黒石、ゴングが鳴ると同時に相手めがけて突進したはいいが、カウンターの右フックを綺麗に一発、顔面に食らい、開始2秒で失神KO! この電光石火の決着に場内がドッと沸く中、「仲間がやられちゃ黙っておれねえ!」とばかりに黒石の仲間30数名がリングに続々となだれ込み、勝者につかみかかろうとしたため、騒ぎは拡大。前田日明や立会人のエンセン井上が慌てて止めに入りことなきを得たが、前回大会に引き続きまたしても起きた乱闘ハプニングに、多くの観客は立ち上がって大興奮だ。
しかし、自分のまわりでそんな騒動が起きていたことなど、黒石の記憶には一切ナシ!
「(パンチの衝撃で)入場のあたりから殴られるまでの記憶が完全に飛んじゃいました。いやー、格好よく勝つシーンを夢で見たんですけど、逆にやられちゃいました。やっぱ、リングには魔物が棲んでますね」
意識回復後、黒石は照れながらそう語ったが、玉砕を恐れぬ特攻精神はアッパレの一言。なお、黒石を秒殺した“関東襲撃 駿河の鉄板”こと増田良平(26・初出場)は、空手歴8年のハードパンチャー。このワンパンチで、ベストストライキングテクニック賞を受賞した。
知ってる選手がいなくても、甲子園よろしく、地元贔屓したくなるのが観客心理。東京出身の記者が密かに応援していたのは、第17試合に登場した、“闇伝説今宵復活 池袋弐双龍の龍帝”ことSHIN(24・初出場)。「オレをケンカ地獄から救ってくれたのは格闘技でした」という自己紹介文に元不良らしいドラマを感じるし、負けん気の強そうな目付きも魅力的。しかし試合は、急所蹴りを食らうアクシデントもあり、善戦むなしく判定負け。SHINを破ったのは、見るからに人のよさそうな“リアルサラリーマン”こと酒井和一(33・出場2回目)だった。
SHINの顔やプロフィールを見て、ビビらなかったのか? と試合後の酒井に聞くと、「僕、視力が0.06しかないので、眼鏡を外すと、相手の顔がまったく見えないんですよ」との脱力コメント。前回のようにスカッとは勝てず、判定までもつれこんだ理由については「相手が強かった。それに尽きます」。なお、リングサイドにいたカメラマンの証言によると、酒井は急所蹴りをした後、「ごめんね」「ごめんね」と小声で謝りながら試合を続けたらしい。彼はアウトサイダーというより、根っから優しい格闘家なのかもしれない。
それとはまるで正反対、正真正銘のワルとして、今回も圧倒的な存在感を放っていたのが、第21試合に出場した“新宿のカリスマ”こと瓜田純士(28・出場2回目)だ。伝説の暴走族『ブラックエンペラー』の創始者を父に持ち、自らも幼少期からケンカに明け暮れ、極道歴10年、うち収監3年という筋金入りの経歴を持つこの男。最近では役者や作家としても活動するなど、知名度も抜群。前回大会でも活躍し、アウトサイダーの看板とも言える選手である。
その対戦相手をつとめる“北海の頑固一徹”こと大谷匡弘(25・初出場)は、対照的に知名度は低く、リストの写真うつりも素朴であったせいか、下馬評は低かった。ところがいざ蓋を開けてみたら、番狂わせが起きた! キレた大谷が鉄槌の連打でもって、なんと瓜田を打ち負かしたのである(大谷は、このファイトでFEG賞を受賞)。
大谷は試合後の勝利者マイクで「いろいろネット掲示板とかでごちゃごちゃ言う人がいたんですが、俺のことを雑魚だとか、わけわからないこと言う奴にひとこと言ってやりたい。見たか、コラッ!」と怒りをぶちまけた。すると客席にいた瓜田の仲間が「俺が今すぐやってやるよ!」といきり立ち、あわや場外乱闘かという緊迫の事態に! あんな啖呵を切って、はたして大谷は無事に北海道まで帰れるのか? 心配して控え室を覗きに行くと、彼はさきほどまでの興奮状態からはすっかり覚めており、朴訥とした口調でこう語り始めた。
「僕はもともと引っ込み思案。格闘技経験はあるけども、争いごとは嫌いで、ケンカはやったことがない。相手は本物のアウトロー。正直、カード決まった日は眠れなかったです。リングに上がって向かい合ったとき、瓜田さんの顔がめちゃくちゃ恐かった。でも向こうから向かってきたんで、こっちも急にカッとなったというか、スイッチが入りました。今は勝ったという充実感はなく、終わったという解放感しかありません」
そしてこう付け加えた。
「実は僕、瓜田さんのファンなんです。ブログも見てますし。アウトローって、男なら誰でも憧れるじゃないですか。武勇伝を読んだときは、なんてムチャクチャな人なんだ! と驚くと同時に、すごい人だと思った。今もその気持ちは変わらないですね」
敗戦直後は荒れていた瓜田も、後日ブログで「俺をぶっ飛ばしてくれた北海道の大谷くん。ありがとうね。(中略)ずっと応援していきます。自信を持ってくださいね。尊敬します」と潔くエールを送った。
その他、テレビでは絶対放送禁止であろう、本格的な和彫りの選手同士が殴り合うメインイベントなど、全25試合が行われ、大会は大盛況のうちに閉幕。熱気と怒気と男気と、時には狂気も渦巻く会場は、ケンカ上等の選手にとっては最高の“腕試し”の舞台、われわれ一般客にとっては格好の“肝試し”の場となった。それにしてもこの「何が起こるかわからない」緊張感と恐怖感は、一度味わうと癖になる。
次回大会は、10月19日に同じくディファ有明で開催予定。未知なるケンカの達人が続々と新規参戦することも予想され、今からワクワクドキドキが止まらない!
(文/岡林敬太/その他の画像はこちらから)
●THE OUTSIDER 第弐戦 各賞の受賞者
ベストストライキングテクニック賞=増田良平
ベストグラウンドテクニック賞=出田源貴
根性賞=加藤紘也、山口剛、高垣勇二
ファイティングスピリット賞=秋山翼、清水征史郎
ベストバウト賞=高田敬久VS加藤紘也
ウルタイズ賞=吉永啓之輔
角川春樹ベストファイター賞=秀虎
三池崇史賞=高垣勇二
FEG賞=大谷匡弘
ナックルズ賞、格通賞=加藤紘也
MVP前田日明賞=大嶽伸次
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