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車が増えたから年収が減った=基点がゼロでないグラフは鵜呑みにしない。

車が増えたから年収が減った=基点がゼロでないグラフは鵜呑みにしない。
基点が0でないグラフには気をつける (撮影 安居院 文男 16日 東京) 写真一覧(3件)
【PJ 2008年07月18日】− 16日、タクシーに乗って前を見ると、助手席の背もたれの後ろに「タクシー規制緩和から6年」というチラシが入っていた。何気なく読んでみると、「平成14年2月1日の道路運送法改正より、需給調整が撤廃され、自由化になってからすでに6年が経過。その間新規参入が緩和されタクシー台数が増加したため、1台あたりの売り上げが減少、それに伴い乗務員の平均年収も減少している〜」とあった。

 グラフが書いてあって、平成9年の52万円台から、平成11年で46万円台、平成13年、14年で43万円台、19年で、44万円台と年収が減り、タクシーの台数は、9年の2万5000台から19年の3万2000台と車の台数は増えているといっている。起点がゼロからはじまっていないグラフだとごまかされやすいので、パーセンテージに直してみた。車の台数が平成9年から19年まで28パーセント伸び、平均年収は15%落ちている。これは、自由化の前からくらべるからで、14年から19年を見ると、車の台数は15%伸び、平均年収は、3パーセント伸びている。つまり、自由化があったから年収が落ちたのではなく、自由化の6、7年前とくらべて、どうしたわけか年収が落ちているといえる。さらに、年収は14年にくらべれば、横ばいか、やや上向きになっているという結論になる。
 
 タクシーが増えたから年収が減ったというより、景気が悪くなったから、タクシーに乗る人が減ったということではないか。景気が悪くなったので、リストラが進んだりして、中年以降のタクシー運転手のなり手が増えたが、乗る人数が昔のように回復していないので、平均年収はあがらない。乗る立場からすれば、昔のように、乗車拒否や、態度の悪い運転手はほとんどいなくなった。競争の結果、会社の教育も行き届き、運転手の礼儀が正しくなり、乗る方にとっては、快適になったような気がする。

 30年以上やっているという、その運転手さんに聞くと、「1日20時間、12日稼働で、1日5万円が普通です」ということなので、月収60万円で、自分の取り分が55%で33万円。税金などを引かれて、月収27万円ぐらい。賞与、退職金なし、年齢、勤続に関係ない世界なので、苦しいですよ。といっていた。どこも同じとは限らないが、この金額も、グラフの金額とはかなりの差があった。

 「若い人は、親元から通うとか、中高年以上の人とかでないと、生活できないよ」とそれでも明るく笑っていたから、そうかもしれない。ただ、規制緩和して、タクシーが増えたから、年収が減ったというのは違うような気がした。14年からタクシーの数が15%伸びて、平均年収が3%増えたので、ほんとうは、平均年収があと12%伸びないといけない。つまり、台数だけで言うと、43万円が、48万円にならないといけないのだが、その差5万円は、景気が悪いせいなのか、台数が増えたせいなのかどうかわからない。

 車の数が15%減ったら、タクシーに乗る人が増えるかどうかは、わからないのではないだろうか。国交省「交通政策審議会」は、統計資料だけでなく、現場の声をよく聞いてまわった方がいい。【了】

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パブリック・ジャーナリスト 安居院 文男【 東京都 】
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