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羽田上空から町工場の屋根が見えますか!「武蔵野の道」の大森緑道公園にて(下)

羽田上空から町工場の屋根が見えますか!「武蔵野の道」の大森緑道公園にて(下)
「武蔵野の路」の大森緑道公園(東京・大田区)から見た羽田可動橋。(撮影:伊藤昭一、7月12日) 写真一覧(5件)
【PJ 2008年07月18日】− (中)からのつづき。大田区の町工場は、得意先からの厳しいコストダウウンの要求と、仕事場では腕がよく、しかも低賃金で働くプロレタリアート的職人の不在、受注件数の減少など、社会の変化に悩まされている。そのなかで、都立大森緑道公園に近い昭和島、京浜島、城南島、平和島の風景には、町工場の騒音、臭気などある工場地帯が住宅地化した地域のジレンマが反映されている。

 旋盤工・作家の小関智弘氏は「大森界隈職人往来」(1981年、朝日新聞社刊)で、皮肉をこめて「プレス工場の楽天地」と称し、当時をこのように記している。『海が遠のいてしまって、大森の子どもも身近な海を知らない。公園にいこうにも、車を持たぬわたしなぞには縁遠い。(中略)昨年からは住民やこの島々で働く人たちの要望もあって、島をめぐるバスが通うようになった。日中は1時間に1本ほどのバスだが、そのバスで島を巡って工場団地を見た。

 公害を理由に町を追われた小工場の団地で、メッキ工場や鍛造工場、プレス工場が群れをなしている。広い道路、ゆったりした敷地、突き抜けるような空の広がりを見れば、それは工場の楽天地だった。京浜六区には工場数で二百二十軒が五十四年までに入った。うち大田区から移転した工場は百三十四工場と、半数以上を占めている』。

 これは約30年前の話だが、時代が進んで、たとえバスの運行が、1時間に1本から3本になろうとも、へき地である。住まいと働き場所が分離してしまっては、社員もパートも志望者が少ないのは、今も昔も変わらない。

 前掲書ではさらに、移転させられた工場主の言葉を記す。『「そうなんだよ。行政側には、京浜工業地帯をどう存続させるかなんて構想はまったくないのさ。京浜工業地帯という言葉の意味さえ知ってやしないのさ。どんな命が脈づいているかわね。そんなことは企業まかせで、公害で騒がれると、お前はアッチ行け、お前はコッチだって、白地図に色を塗るみたいなことしかできないんだ」』。

 ところが、(独)中小企業基盤整備機構発行の「産業集積における『内発的発展』に関する調査研究(大田区の『柔軟な連結』の歴史的展開を事例として)」(08年3月発表)のでは、この小関氏の著書「大森界隈職人往来」を参考資料にあげているだけに、この問題を遅まきながら「住工調和」というテーマで分析している。そして大田区の町工場経営者たちが、地域のかかえている課題への問題意識の高さを認めている。

 今月1日には、大田区産業プラザPIOで、区内の中小企業による「大田区加工技術展示商談会」が開催された。そこに集まった町工場の経営者の声をいくつか紹介しよう。ある経営者は言う。「公的支援はありがたいし、われわれの存在が認められるのは結構だが、それに頼っていても生き残れるとは限らない。自力で何とかするのが一番だよ」。別の経営者は、「とにかくコストダウンだ。今度もっと量産体制を整えて数で稼ぐことにした」。その反対に「ちょっと気の利いた装置を考えて作ると、そこに目をつけ大企業が量産して売り出すことがあるのさ、そうしたら、それをあきらめて、別の量産しにくい製品を開発する」と、考え方はさまざまだ。

 大田区の町工場の本質は、悩んでも絶望することなく、次の突破口を探し求めてやまない“モノづくり魂”そのものにあるのではないだろうか。もし、羽田の上空から、町工場の屋根が見えたら、その下には、悩むことを通して生き残ろうとする“モノづくり魂”の持ち主たちが汗を流していると思っても、間違いではないであろう。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 昭一【 東京都 】
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羽田上空から町工場の屋根が見えますか!「武蔵野の道」の大森緑道公園にて(下)
騒音を出す町工場が移転した昭和島工場団地(右側)につながる避
羽田上空から町工場の屋根が見えますか!「武蔵野の道」の大森緑道公園にて(下)
京浜運河側から見た都立「大森緑道公園」の並木(右側)。(撮影
羽田上空から町工場の屋根が見えますか!「武蔵野の道」の大森緑道公園にて(下)
海老取川河口からみた羽田方面。(撮影:伊藤昭一、7月12日)
羽田上空から町工場の屋根が見えますか!「武蔵野の道」の大森緑道公園にて(下)
海老取川河口を出る屋形船。(撮影:伊藤昭一、7月12日)
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