秋葉事件は日本人殺りくの予告(上)
2008年07月16日07時05分 / 提供:PJ
不可解な単独犯行と逮捕の経緯
東京・秋葉原の通り魔事件から約1カ月。マスコミは今回のような事件を未然に防ぐための規制強化や社会背景の解明を求める主張を展開している。いずれも加藤智大容疑者(25)単独の犯行によることを前提としているが、事件には不可解な点が多い。「アキバ」での無差別殺傷は、日本人に悲惨な未来を宣告するために起こされた気がしてならない。
白昼の歩行者天国にトラックで乗り付け、歩行者を次々とはね、ナイフで襲いかかった事件が起きたのは6月8日。その後マスメディアは、逮捕された加藤容疑者の孤独感を強調し、犯行に至った経緯を合理化してきた。ネットへの執拗(しつよう)な書き込みやナイフへの執着を明かし、これらを規制する法整備を唱える記事も多い。
一方、転職や派遣といった容疑者の不安定な就労状況を挙げ、「弱者」に厳しい社会に問題の根本原因があると主張する左翼系メディアや市民記者のインターネットコラムもある。これらは良心的なメディアといえる。しかし、犯行が加藤容疑者によるものでなかったら、これらの主張はすべて無効である。報じられる事件の経緯を眺めただけでも、その可能性が極めて高い。
NHKニュースによれば、男がトラックで交差点に突っ込んでから警察官に取り押さえられるまで2分しかかかっていない。身柄を確保したのは裏通りに入ったとき。警察の組織内組織に属する警察官が初めから配置されていた可能性がある。
事件から10日後の6月18日、犯行前に現場周辺を1周以上車で回っていたとの報道が突然一斉に流された。掲示板に「時間です」と書き込んでから犯行までの23分間の空白を埋め合わせるための苦肉の策だろう。交差点から300メートル離れたマンションの防犯カメラがとらえたとされる映像がこの日から何度も放送されたが、防犯カメラの画像など、まゆつば物だ。警察に不利なら「消えた」とするし、起訴したい犯人が映っていなければ合成する。植草一秀元教授が巻き込まれた2004年の品川事件や三浦和義社長の2007年の万引容疑を見れば分かる。
事件当時の加藤容疑者の記憶はあいまいで、被害者を刺した状況などをはっきり覚えていないとして、容疑者を立ち会わせての実況見分は実施しない方向と伝えられている。
想定外の人物像と一貫しない動機
在籍した短大のクラス担任は「報道では『切れやすい性格』と言われているが、そんな記憶はない。残念です」と語ったことが伝えられる。派遣先の関東自動車工業も「6月4日までは欠勤もなく、まじめに仕事に取り組んでおりました」「変わった様子もみられませんでしたので、今回の事件に対しては弊社としても非常に驚いています」と発表している。青森県内のローカル紙によれば、昨年1月から9月まで勤務した青森県内の運送会社も「きちんとあいさつするなど勤務態度に問題はなく、トラブルや事故も起こしていない」とし、容疑者に「強い印象はなかった」と話す。
報じられている動機も一貫性がない。「父母の仲が悪く家庭崩壊の状態だった」「職場でクビにされたと思い、絶望した」「容姿や女性に対するコンプレックス」「車の関係で多額の借金があった」「同僚へのしっと」などさまざま。「親に捨てられたと感じた」との供述が発表されているが、両親は涙ながらの謝罪会見をしている。派遣先の職場で仮に解雇されても、絶望することではない。読売新聞などは「ネットでも無視された」と見出しを付けながら、「ネットに(犯行予告を)書き込んだので引き下がれないと思った」といきさつを説明している。無視されたなら自由ではないか。この記事は容疑者の心の変遷を描いた図表をわざわざ添付している。
「人生の不満(両親との不仲、繰り返した転職、高校での成績不振、交際相手の不在)→ネットやゲームの世界への傾倒→『携帯サイト』でも孤立→無差別殺人」。はっきりした動機が見当たらないので、つじつま合わせしたいのだろう。
恐らく、加藤容疑者はスケープゴートか、支配権力筋に頼まれた契約犯行者に違いない。もちろん、請負人の場合、はしごを外された可能性もある。この場合、「犯人」であることは同じだが、「派遣が」「ネットが」といった社会考察は無意味になる。ネットに書き込んだ者も、犯人とは別だろう。1カ月で3000回、多い日は1日250回というから、有職者には難しい。組織的に行われているはずである。書き込まれていた文句も「いい人を演じるのには慣れている みんな簡単に騙(だま)される」「大人には評判のよい子だった 大人には 友達は、できないよね」など、凶暴なイメージとはかけ離れた意外な犯人の逮捕を想定している。
このような大胆な犯行は、権力とかかわりある者(正確には、わが国の国家権力をも支配する組織と通じた者)の犯行としか考えられない。でなければ、今回の事件が2001年の大阪・池田小事件と同じ日に起きた理由をどう説明するのか。「有害サイト規制法」審議中にネット上の書き込みが成否の鍵を握る重大事件が起きたことや、歩行者天国を廃止させようとする動きのあるときに起きたことをどう説明するのか。
ねつ造されたオタク文化の完成
事件の9日後、元祖「オタクの象徴」にされた幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勤受刑者の死刑が執行された。犯罪の抑止効果を狙った見せしめ(『日刊スポーツ』6月18日)との見方が出ているが、真相は逆ではないか。宮崎氏が犯人とされる事件も今回の事件も同じ組織が企てたのであり、宮崎氏の処刑を命じたのも恐らく同じ。宮崎氏を処刑する口実づくりも、本事件の目的の一つとみるべきである。1サイクルの達成は「オタク文化」の完成を意味するのだから。
そもそも、テレビや新聞が大々的に報じていること自体、この組織が持つ力の宣伝であることを告白している。犯人に仕立てたい人物を起訴前に特定して報じるのはマスコミの常とうである。筆者は秋田の子供殺しの畠山鈴香被告も和歌山毒カレー事件の林眞須美被告も幼女連続誘拐殺人事件の故宮崎勤受刑者も神戸少年事件の「少年A」も無実だと確信している。
「オタク」はつくられた人間像である。ビデオと雑誌がうずたかく積み上げられた宮崎元受刑者の部屋は、猟奇的趣味を持つ「オタク」の空間イメージとして大衆に刷り込まれた。しかし、『実話GON!ナックルズ12月5日増刊 不思議ナックルズVOL4』(2005年)によれば、流通したあの写真は家宅捜査前にセットして報道陣に撮影させたものである。綾子ちゃんの頭部が発見される8月10日より前に、テレビ制作会社のディレクターが宮崎宅を訪れ、ビデオを積み上げ、カメラを回して帰った。このディレクターを知る人物から同誌編集者が聞いた話として執筆者の小池壮彦氏が紹介している。しかも、8月10日は宮崎氏が自供する前である。
宮崎元受刑者が書いたとされる「今田勇子」と名乗る告白文(筆跡は宮崎とまるで違う)は、部屋から押収された『スウィートホーム』のビデオをヒントに書いたと供述されている。この映画は他人の子供を誘拐して焼却炉に投げ込む殺人鬼の話である。しかし、このビデオが発売されたのは8月11日。宮崎氏の逮捕は7月23日で、家宅捜査が行われたのは8月10日夜である。
「オタク」はひ弱で部屋に引きこもり、ネットやカメラに興じるイメージがつくられている。なるほど、宮崎は生まれつき手が不自由で、両手の平を上に向けることができなかった。そのため家にこもりがちで、色白の肌をしていたが、カメラやビデオは好きでなく、1台も持っていなかったことを手紙で明かしている(『夢のなか−−連続幼女殺人事件被告の告白』宮崎勤著、創出版)
「アキバ系」という言葉も意図してつくり出した概念に違いない。パソコンから連想し、多種のゲームソフトが売られている街に彼らが集まりそうなイメージを重ねたのだろう。疑似環境が現実環境を創造することは知られている。ねつ造されたイメージは今や、実態となって秋葉原をはじめとした街中で見かけることができる。【つづく】
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東京・秋葉原の通り魔事件から約1カ月。マスコミは今回のような事件を未然に防ぐための規制強化や社会背景の解明を求める主張を展開している。いずれも加藤智大容疑者(25)単独の犯行によることを前提としているが、事件には不可解な点が多い。「アキバ」での無差別殺傷は、日本人に悲惨な未来を宣告するために起こされた気がしてならない。
白昼の歩行者天国にトラックで乗り付け、歩行者を次々とはね、ナイフで襲いかかった事件が起きたのは6月8日。その後マスメディアは、逮捕された加藤容疑者の孤独感を強調し、犯行に至った経緯を合理化してきた。ネットへの執拗(しつよう)な書き込みやナイフへの執着を明かし、これらを規制する法整備を唱える記事も多い。
一方、転職や派遣といった容疑者の不安定な就労状況を挙げ、「弱者」に厳しい社会に問題の根本原因があると主張する左翼系メディアや市民記者のインターネットコラムもある。これらは良心的なメディアといえる。しかし、犯行が加藤容疑者によるものでなかったら、これらの主張はすべて無効である。報じられる事件の経緯を眺めただけでも、その可能性が極めて高い。
NHKニュースによれば、男がトラックで交差点に突っ込んでから警察官に取り押さえられるまで2分しかかかっていない。身柄を確保したのは裏通りに入ったとき。警察の組織内組織に属する警察官が初めから配置されていた可能性がある。
事件から10日後の6月18日、犯行前に現場周辺を1周以上車で回っていたとの報道が突然一斉に流された。掲示板に「時間です」と書き込んでから犯行までの23分間の空白を埋め合わせるための苦肉の策だろう。交差点から300メートル離れたマンションの防犯カメラがとらえたとされる映像がこの日から何度も放送されたが、防犯カメラの画像など、まゆつば物だ。警察に不利なら「消えた」とするし、起訴したい犯人が映っていなければ合成する。植草一秀元教授が巻き込まれた2004年の品川事件や三浦和義社長の2007年の万引容疑を見れば分かる。
事件当時の加藤容疑者の記憶はあいまいで、被害者を刺した状況などをはっきり覚えていないとして、容疑者を立ち会わせての実況見分は実施しない方向と伝えられている。
想定外の人物像と一貫しない動機
在籍した短大のクラス担任は「報道では『切れやすい性格』と言われているが、そんな記憶はない。残念です」と語ったことが伝えられる。派遣先の関東自動車工業も「6月4日までは欠勤もなく、まじめに仕事に取り組んでおりました」「変わった様子もみられませんでしたので、今回の事件に対しては弊社としても非常に驚いています」と発表している。青森県内のローカル紙によれば、昨年1月から9月まで勤務した青森県内の運送会社も「きちんとあいさつするなど勤務態度に問題はなく、トラブルや事故も起こしていない」とし、容疑者に「強い印象はなかった」と話す。
報じられている動機も一貫性がない。「父母の仲が悪く家庭崩壊の状態だった」「職場でクビにされたと思い、絶望した」「容姿や女性に対するコンプレックス」「車の関係で多額の借金があった」「同僚へのしっと」などさまざま。「親に捨てられたと感じた」との供述が発表されているが、両親は涙ながらの謝罪会見をしている。派遣先の職場で仮に解雇されても、絶望することではない。読売新聞などは「ネットでも無視された」と見出しを付けながら、「ネットに(犯行予告を)書き込んだので引き下がれないと思った」といきさつを説明している。無視されたなら自由ではないか。この記事は容疑者の心の変遷を描いた図表をわざわざ添付している。
「人生の不満(両親との不仲、繰り返した転職、高校での成績不振、交際相手の不在)→ネットやゲームの世界への傾倒→『携帯サイト』でも孤立→無差別殺人」。はっきりした動機が見当たらないので、つじつま合わせしたいのだろう。
恐らく、加藤容疑者はスケープゴートか、支配権力筋に頼まれた契約犯行者に違いない。もちろん、請負人の場合、はしごを外された可能性もある。この場合、「犯人」であることは同じだが、「派遣が」「ネットが」といった社会考察は無意味になる。ネットに書き込んだ者も、犯人とは別だろう。1カ月で3000回、多い日は1日250回というから、有職者には難しい。組織的に行われているはずである。書き込まれていた文句も「いい人を演じるのには慣れている みんな簡単に騙(だま)される」「大人には評判のよい子だった 大人には 友達は、できないよね」など、凶暴なイメージとはかけ離れた意外な犯人の逮捕を想定している。
このような大胆な犯行は、権力とかかわりある者(正確には、わが国の国家権力をも支配する組織と通じた者)の犯行としか考えられない。でなければ、今回の事件が2001年の大阪・池田小事件と同じ日に起きた理由をどう説明するのか。「有害サイト規制法」審議中にネット上の書き込みが成否の鍵を握る重大事件が起きたことや、歩行者天国を廃止させようとする動きのあるときに起きたことをどう説明するのか。
ねつ造されたオタク文化の完成
事件の9日後、元祖「オタクの象徴」にされた幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勤受刑者の死刑が執行された。犯罪の抑止効果を狙った見せしめ(『日刊スポーツ』6月18日)との見方が出ているが、真相は逆ではないか。宮崎氏が犯人とされる事件も今回の事件も同じ組織が企てたのであり、宮崎氏の処刑を命じたのも恐らく同じ。宮崎氏を処刑する口実づくりも、本事件の目的の一つとみるべきである。1サイクルの達成は「オタク文化」の完成を意味するのだから。
そもそも、テレビや新聞が大々的に報じていること自体、この組織が持つ力の宣伝であることを告白している。犯人に仕立てたい人物を起訴前に特定して報じるのはマスコミの常とうである。筆者は秋田の子供殺しの畠山鈴香被告も和歌山毒カレー事件の林眞須美被告も幼女連続誘拐殺人事件の故宮崎勤受刑者も神戸少年事件の「少年A」も無実だと確信している。
「オタク」はつくられた人間像である。ビデオと雑誌がうずたかく積み上げられた宮崎元受刑者の部屋は、猟奇的趣味を持つ「オタク」の空間イメージとして大衆に刷り込まれた。しかし、『実話GON!ナックルズ12月5日増刊 不思議ナックルズVOL4』(2005年)によれば、流通したあの写真は家宅捜査前にセットして報道陣に撮影させたものである。綾子ちゃんの頭部が発見される8月10日より前に、テレビ制作会社のディレクターが宮崎宅を訪れ、ビデオを積み上げ、カメラを回して帰った。このディレクターを知る人物から同誌編集者が聞いた話として執筆者の小池壮彦氏が紹介している。しかも、8月10日は宮崎氏が自供する前である。
宮崎元受刑者が書いたとされる「今田勇子」と名乗る告白文(筆跡は宮崎とまるで違う)は、部屋から押収された『スウィートホーム』のビデオをヒントに書いたと供述されている。この映画は他人の子供を誘拐して焼却炉に投げ込む殺人鬼の話である。しかし、このビデオが発売されたのは8月11日。宮崎氏の逮捕は7月23日で、家宅捜査が行われたのは8月10日夜である。
「オタク」はひ弱で部屋に引きこもり、ネットやカメラに興じるイメージがつくられている。なるほど、宮崎は生まれつき手が不自由で、両手の平を上に向けることができなかった。そのため家にこもりがちで、色白の肌をしていたが、カメラやビデオは好きでなく、1台も持っていなかったことを手紙で明かしている(『夢のなか−−連続幼女殺人事件被告の告白』宮崎勤著、創出版)
「アキバ系」という言葉も意図してつくり出した概念に違いない。パソコンから連想し、多種のゲームソフトが売られている街に彼らが集まりそうなイメージを重ねたのだろう。疑似環境が現実環境を創造することは知られている。ねつ造されたイメージは今や、実態となって秋葉原をはじめとした街中で見かけることができる。【つづく】
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パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆
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