信藤健仁の浦和レッズ解体信書 連載15
選手は名古屋に勝利するためにどれだけ必死になれたのだろうか
ナビスコカップ制覇のためには、第4節の名古屋戦は負けられない試合だった。しかし、レッズの選手たちのプレーには覇気がなく、迷いすら感じられた。必勝を期していたにもかかわらず、迷いが生じた理由は組織力のつたなさにある。前監督のスタメン固定制も納得できる散々な試合内容
ナビスコカップ第4節名古屋戦は、ファン、サポーターの誰もが普段はベンチに控える選手たちのフレッシュな活躍を期待していたことだろう。出場機会が少ない選手たちにとっては、日本代表とU−23日本代表組を欠いていたこともあり、スタメン獲得のためにアピールする絶好の機会だった。
しかし、結果、内容ともに散々だった。坪井慶介を中央に配置したディフェンスラインは安定感に欠け、立ち上がりの15分間で2失点。その後も全く修正できず劣勢の状況が続いた。内舘秀樹と山田暢久が組んだボランチは、ベテランとしてリーダーシップを発揮できなかった上に守備のほころびをつくろえず、さらに攻撃面でも機能していたとは言い難い。一方、攻撃陣は2得点を挙げたが、コンビネーションが希薄でいずれのゴールも名古屋の守備組織を崩したものではなかった。そんな中でも、左サイドの相馬崇人や田中達也が意欲的なプレーを見せていたものの、一人の力では組織的な守備網を敷く名古屋ディフェンス陣を打破できなかった。
名古屋も玉田圭司、ヨンセンのレギュラーFWを欠いていた。それにもかかわらず、普段通りのサッカーができたのはなぜか? それは、組織における個人の役割が明確だからである。名古屋は組織という土台の上に個人の力が加わっている。まず、選手間の連係やパスのすべてに組織としての明らかな意図があるのだ。言い換えれば、名古屋の攻撃の特長であるサイドアタックに持ち込むため、意思統一が成されたパスワークやフリーランニングだったのである。
対するレッズは、名古屋と正反対の方策を採っている。個の力がチームのベースにあるのだ。この試合では、その中でも組織として破綻を来さないことを強く意識してしまったために、選手個々の特長が埋没してしまった。その最たる例が岡野雅行のプレーだろう。彼の長所は敵陣でのドリブル突破やスペースへの動き出しである。しかし、この試合では名古屋のサイド攻撃の前に守備に比重を置いてしまった。岡野はディフェンス能力が決して高くない。彼の能力を最大限発揮するためには、もっと前線に張り出してボールを受け、相手の注意を引き付けるべきだったのではないだろうか。
この試合は、選手層が厚いと思われていたレッズのイメージを覆すものだった。レッズならばターンオーバーを採用して厳しい日程も乗り越えられると思っていたが、この試合を見た限りでは難しいだろう。振り返って考えると、ホルガー・オジェック前監督がスタメンを固定していた理由にも合点がいく。私自身も昨年は、もっと控え選手を起用すべきだと思っていた。しかし、いざ控えメンバーがピッチに立つと、全く機能しなかったのである。
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