公務員には手厚く休暇が与えられている。国家公務員の場合、有給休暇が年に20日あり、あまった分は最大20日翌年に繰り越せるから、年間最大40日与えられる。
このほか病気休暇が別枠で存在する。さらにお盆休みがない代わりに夏休みが年間3日別枠で与えられる。そして結婚休暇(5日)慶弔休暇(亡くなった人の親等によって長さが決められる)、介護休暇、出産休暇、生理休暇、育児休暇などがある。


各省庁では有給休暇の取得促進が叫ばれているが、これだけ色々な休暇があると、有給休暇などはどうしても余しがちになる。公務員は一部の素行不良な公務員を除いて、意外と有給休暇は取得していない。

まず霞ヶ関中央省庁は、年中無休24時間勤務の兵役であるから、有給休暇などというものは存在しないのと同様だ。「休みたければ死んでカンオケに入れ」というのが基本である。この辺のことは、元(旧)厚生省の故宮本政於氏が書いた「お役所の掟」に詳しいので、お読みいただきたい。

一方、出先機関の地方では、逆に官公労がウルサいので、休む必要もないのにシブシブ休んでいる職員が多い。典型的なのは生理休暇だ。労働者の権利であるから取得自体はかまわないのだが、生理休暇取得促進などと組合が指導するものだから、さして生理が重くない女子職員まで生理休暇を取っている。

病気休暇も同様で、本来、入院したり自宅療養の必要がある職員が取得するべきだが、単なる風邪でまで病気休暇を取得するよう労組が指導している場合がある。短期の病気休暇なら医者の診断書も必要ないので、「ゲホンと一発、病気休暇」である。これを悪用して、年次休暇を使わずに休み放題という不良職員もいる。

かくして、中央と地方のあまりにかけ離れた休暇取得状況の差は埋まらず、近年は優秀な人材が霞ヶ関に来たがらなくなった。なにしろ霞ヶ関でいくら頑張ってもノンキャリアの出世などたかがしれているのだ。それくらいなら、地方でのんびり休暇三昧のほうが賢い人生の選択というものだ。