目に見えない言論の抑圧と、封殺。その実態はとは?(上)
2008年07月04日06時36分 / 提供:PJ
いまの日本は、民主主義の根幹である『言論の自由』が脅かされつつある。ある対象を取材し、伝えようとした時に、立ちはだかるものがある。それはなにか。自主規制であったり、公的な圧力であったり、とてつもない高額訴訟であったり。見えないかたちで、言論の封殺を図っているのだ。
日本ペンクラブと、(社)自由人権協会は共催で、6月13日、シンポジウム『言論がアブナイ!「伝えるべきことを伝える大切さ」というテーマで、大手町サンケイプラザで開催した。
第2部はパネルディスカッション「伝えることの大切さ」だった。パネリストのひとり伊藤正志さん(毎日新聞社社会部副部長)は、某金融業者から、個人名指しの数億円の高額訴訟を受けた、と打ち明けた。
他のジャーナリストたちにも、『うちのことを悪く書いたら、承知しないぞ。とてつもない金額の訴訟を起すぞ』という見せしめなのだ。まさに「大金」という銃弾による、言論封じだともいえる。
パネリストの伊藤さんは、司会進行の山田健太さん(同クラブ・言論表現委員長)から、「新聞社として取材・報道されるなかで、伝えづらさ、取材のしづらさについて、具体的なお話をお伺いできれば」と求められた。それに応じた伊藤さんは、数々の言論抑圧の事例を紹介した。
毎日新聞には週に一度、メディア面があります。「メディアに関(かか)わる」ことを追いかけていますい。もうひとつの重要な柱としては、「言論表現に関わる」テーマ。私は記者として、現在はデスクとして、この3年間に関わってきて、いま感じることをお話しいたします。
一昨年8月に、加藤紘一衆議院議員の山形県鶴岡市の自宅が、右翼団体の構成員に放火される事件がありました。加藤さんの靖国問題の発言がきっかけですが、加藤さんは不在、老いた母親が住んでいました。家族を巻き込む可能性がある、非常に悪質な事件であり、(毎日新聞)メディア面で、『許すな、言論テロ』という企画をはじめました。
同年1月には、フリーライターの溝口敦さんの長男が刺されました。家族を巻き込んだ、身体的な暴力に訴える事件です。きちんとした企画をやるべきだ、と考えたわけです。
言論をめぐる暴力は昔からあります。暴力や脅迫の被害を受けた人たちにインタビューを試みました。溝口さんからは『沈黙してはだめだ。沈黙は効果あり、と受け取られてしまう』という力強い発言がありました。
かなりの人から取材を断られました。断った被害者を責めるつもりは毛頭ありません。しかし、それらの経験から、暴力がいかに効果的に言論を封じるか、思い知りました。
それでも暴力は世間の批判を浴びますし、容疑者が特定されれば、逮捕されます。そして、司法の場で裁かれます。【つづく】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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日本ペンクラブと、(社)自由人権協会は共催で、6月13日、シンポジウム『言論がアブナイ!「伝えるべきことを伝える大切さ」というテーマで、大手町サンケイプラザで開催した。
第2部はパネルディスカッション「伝えることの大切さ」だった。パネリストのひとり伊藤正志さん(毎日新聞社社会部副部長)は、某金融業者から、個人名指しの数億円の高額訴訟を受けた、と打ち明けた。
他のジャーナリストたちにも、『うちのことを悪く書いたら、承知しないぞ。とてつもない金額の訴訟を起すぞ』という見せしめなのだ。まさに「大金」という銃弾による、言論封じだともいえる。
パネリストの伊藤さんは、司会進行の山田健太さん(同クラブ・言論表現委員長)から、「新聞社として取材・報道されるなかで、伝えづらさ、取材のしづらさについて、具体的なお話をお伺いできれば」と求められた。それに応じた伊藤さんは、数々の言論抑圧の事例を紹介した。
毎日新聞には週に一度、メディア面があります。「メディアに関(かか)わる」ことを追いかけていますい。もうひとつの重要な柱としては、「言論表現に関わる」テーマ。私は記者として、現在はデスクとして、この3年間に関わってきて、いま感じることをお話しいたします。
一昨年8月に、加藤紘一衆議院議員の山形県鶴岡市の自宅が、右翼団体の構成員に放火される事件がありました。加藤さんの靖国問題の発言がきっかけですが、加藤さんは不在、老いた母親が住んでいました。家族を巻き込む可能性がある、非常に悪質な事件であり、(毎日新聞)メディア面で、『許すな、言論テロ』という企画をはじめました。
同年1月には、フリーライターの溝口敦さんの長男が刺されました。家族を巻き込んだ、身体的な暴力に訴える事件です。きちんとした企画をやるべきだ、と考えたわけです。
言論をめぐる暴力は昔からあります。暴力や脅迫の被害を受けた人たちにインタビューを試みました。溝口さんからは『沈黙してはだめだ。沈黙は効果あり、と受け取られてしまう』という力強い発言がありました。
かなりの人から取材を断られました。断った被害者を責めるつもりは毛頭ありません。しかし、それらの経験から、暴力がいかに効果的に言論を封じるか、思い知りました。
それでも暴力は世間の批判を浴びますし、容疑者が特定されれば、逮捕されます。そして、司法の場で裁かれます。【つづく】
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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