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次々と廃業する町の豆腐屋 「一丁300円時代」も近い?


「豆腐業者には、スマトラ沖津波級のインパクトがのしかかっている」

 ある豆腐・油揚げメーカーの関係者は不安を隠さない。そのインパクトとは、原燃料価格上昇によるコスト増だ。

 価格高騰が本格化した2007年は、前年と比べて豆腐の主原料となる大豆の価格が2倍にハネ上がった。続いて、今年前半には米国農家の作付面積が一時落ち込み、初夏には産地で大洪水が発生してまた需給が逼迫。直近では落ち着いているものの、日本の豆腐に使われるNon-GMO大豆(非遺伝子組み換え大豆)価格は、年初から1〜2割も上昇している。
 
 加えて、蒸気で大豆を煮る際に必要な重油や石油由来のパッケージの製造費も高騰が続いており、経営に打撃を受ける業者が増えている。

 現在、豆腐業者は全国に約1万5000社もある。そのうち大きな工場を持ち、製造と卸を手がける大手は全体の2割に満たない。約6割は製造した豆腐を自分の店で売る「町の豆腐屋」だ。

 中小がひしめき合う豆腐業界では、ここ10年ほど供給過多に起因する値下げが続いてきた。資産を食いつぶして疲弊し切った業者の廃業は毎年500 件にも上る。そんな折に原燃料価格上昇の嵐が吹き荒れているのだから、たまったものではない。「乾いたぞうきんを絞るようにコストカットしてきたが、これ以上は水一滴出ない」(中堅業者)というのが、本音だろう。

 小売店との出荷価格の値上げ交渉も難航してきた。大手の一部は「出荷停止」をちらつかせて小売店を牽制し、なんとか価格改定をのませたが、交渉力の弱い中堅は四苦八苦。直近では値上げが浸透しつつあり、小売価格が1〜2割上昇している店も多いが、交渉が叶わず大手小売店に切り捨てられた中堅業者の廃業が相次いでいる。

 特に悲惨なのが、後継ぎ不足に原料価格高騰という二重苦を背負った町の零細豆腐店だ。彼らの多くは倒産を回避するため、手形決済をやめて延命してきたが、その努力も限界に近づきつつある。「大豆問屋への代金支払いは6ヵ月に1度がやっと。今では問屋も苦しいから支払いを待ってくれず、このままでは夜逃げするしかない」(東京都区部の零細店)

 原料価格の上昇は、食卓にも影響を与えている。一部スーパーでは「スカスカの豆腐が増えた」というお客からの苦情が増えた。これは、「原料高に耐えかねて、豆乳を減らし酸性ソーダなどで固めた質の悪い豆腐を出荷する業者が増えたため」(中堅業者)という。

 豆腐といえば、栄養価が高く、一丁100円前後で手軽に買える庶民の味方。だが、今後さらなるコスト圧力が発生すれば、「200〜300円出さないと、まともな豆腐が買えなくなる日がくるのかもしれない」(大手業者)。

(ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

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