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温暖化を喰い物にするCO2の商品化=洞爺湖サミットに向けて
2008年07月03日08時05分 / 提供:PJ
【PJ 2008年07月03日】−
6月28日(土)、29日(日)の両日開催の「地球環境国際議員連盟(GLOBE)東京G8+5議員会合」(会場:東京プリンスホテル「鳳凰の間」)にオブザーバーとして出席する機会を得て、6月29日に参加した。前日は福田康夫首相の開会あいさつに続き、トニー・ブレアー英国前首相と安倍晋三前首相が基調演説を行った。
「GLOBE」はGlobal Legislators Organisation for a Balanced Environment の略称であるが、同時に「地球」を意味する言葉である。EU議会、米国議会、日本の国会議員の有志が人類共通の地球環境問題を国際的枠組みの中で議論し、環境改善へ向けた提言や働きかけをまさに地球規模で行うことを目的として1989年に設立されたものである。そしてUNCSD(国際連合持続可能な開発委員会)の承認を受けたNGOでもあり、正式に国連での発言を認められている団体である。ちなみに「+5」は中国・インド・メキシコ・ブラジル・南アフリカの議員を表しており、単なる先進国だけではなく、重要な発展途上国の立法議員も加わった会合となっている。
わたしは二日目の参加であったが、当日の各国議員の質疑応答を傍聴するなかで、地球環境保護という大きな大義のもとで進められる壮大な市場原理主義のビジネスの臭(にお)いを嗅(か)がされたようで、そうした動きに対する大きな疑問と懸念を抱いた。
それは国や企業の間で温室効果ガスの排出量枠のトレード(やりとり)をする、いわゆる「排出量取引」にかかわるものである。排出量取引自体はCOP3の京都議定書の第17条において規定されたもので、二酸化炭素を主とした温室効果ガス削減行動を補完・促進する京都メカニズムのひとつであり、有効なツールであると評価できる。
ただ、わたしが違和感を抱いたのは、会場での低炭素化の提言に対する質疑応答のときである。ひとりのEU議員が「そのモデルでは炭素の価格はどれほどを想定しているのか」との質問が出た。提言者は「単位当り2から3セント、12ユーロ位か」と即答した。その質問はモデルの経済合理性をチェックするためなのだとは思うが、それは、まさに商品市場でのやりとりそのもののようにわたしには聞こえたのである。
会合の後、ある人に率直に「金の臭い」の懸念を述べたところ、「EUが育成しようとしている排出権取引市場ではディーラーの受け取る取引手数料は相当額にのぼる」との話も聞かされた。これは環境保護を錦の御旗にしたCO2による信用創造である。無から新たな価値を創造し、その価格設定権のイニシアチブを獲(と)ることで、手数料や削減炭素枠という名の下に莫大(ばくだい)な富を得る。もしこんなことにでもなれば、それこそ人類存亡を担う環境保護の問題とはまったく次元の異なる生臭いビジネスの世界の話になってくる。
わたしは以前、「温暖化防止に見るEUのしたたかな戦略(上)
・(下)」(2007.3.15、18掲載PJオピニオン)において「EUは世界経済に大きな影響力を有する日米と、今後その存在感を高めてくることが必至の中国の機先を制し、地球温暖化防止においてイニシアチブをとり、(中略)米・中・日の国力を正義と良心の名のもとに削ぎ落としてゆくという国際政治における老練な戦略であるように思えてならない」と述べた。その現実をわたしは今回の「地球環境国際議員連盟(GLOBE)東京G8+5議員会合」において垣間(かいま)見せられた思いがした。
温暖化防止に人類をあげて取り組むことは必須であり、喫緊の課題である。温室効果ガスの絶対量を減らすための技術開発や知恵に加えて、その削減インセンティブが必要なことはわかる。しかし、それを推進する一助となる排出権取引市場は、その整備・運営にかかるコストを徴収するのは仕方がないとしても、ある特定の国や地域の人間がビジネスとしてそこから利益を得ようなどとすることは、地球環境保護の本来の運動とは意味合いを全く異にするものである。
人類共通のためであるからには、炭素の商品化やその排出権取引市場の整備にあたっては人類共通の社会資本、共通インフラであるという考え方をとらねばならぬ。生き馬の目を抜く国際政治の舞台で、「言うは易く行うは難し」であるのはわかる。しかし、この地球温暖化の問題はまさに「待ったなし」であり、それこそ算盤(そろばん)片手に損得勘定でやる話でないことだけは、われわれは国際社会の舞台で堂々と主張してゆかねばならぬ。【了】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 野田 博明【 東京都 】
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「GLOBE」はGlobal Legislators Organisation for a Balanced Environment の略称であるが、同時に「地球」を意味する言葉である。EU議会、米国議会、日本の国会議員の有志が人類共通の地球環境問題を国際的枠組みの中で議論し、環境改善へ向けた提言や働きかけをまさに地球規模で行うことを目的として1989年に設立されたものである。そしてUNCSD(国際連合持続可能な開発委員会)の承認を受けたNGOでもあり、正式に国連での発言を認められている団体である。ちなみに「+5」は中国・インド・メキシコ・ブラジル・南アフリカの議員を表しており、単なる先進国だけではなく、重要な発展途上国の立法議員も加わった会合となっている。
わたしは二日目の参加であったが、当日の各国議員の質疑応答を傍聴するなかで、地球環境保護という大きな大義のもとで進められる壮大な市場原理主義のビジネスの臭(にお)いを嗅(か)がされたようで、そうした動きに対する大きな疑問と懸念を抱いた。
それは国や企業の間で温室効果ガスの排出量枠のトレード(やりとり)をする、いわゆる「排出量取引」にかかわるものである。排出量取引自体はCOP3の京都議定書の第17条において規定されたもので、二酸化炭素を主とした温室効果ガス削減行動を補完・促進する京都メカニズムのひとつであり、有効なツールであると評価できる。
ただ、わたしが違和感を抱いたのは、会場での低炭素化の提言に対する質疑応答のときである。ひとりのEU議員が「そのモデルでは炭素の価格はどれほどを想定しているのか」との質問が出た。提言者は「単位当り2から3セント、12ユーロ位か」と即答した。その質問はモデルの経済合理性をチェックするためなのだとは思うが、それは、まさに商品市場でのやりとりそのもののようにわたしには聞こえたのである。
会合の後、ある人に率直に「金の臭い」の懸念を述べたところ、「EUが育成しようとしている排出権取引市場ではディーラーの受け取る取引手数料は相当額にのぼる」との話も聞かされた。これは環境保護を錦の御旗にしたCO2による信用創造である。無から新たな価値を創造し、その価格設定権のイニシアチブを獲(と)ることで、手数料や削減炭素枠という名の下に莫大(ばくだい)な富を得る。もしこんなことにでもなれば、それこそ人類存亡を担う環境保護の問題とはまったく次元の異なる生臭いビジネスの世界の話になってくる。
わたしは以前、「温暖化防止に見るEUのしたたかな戦略(上)
・(下)」(2007.3.15、18掲載PJオピニオン)において「EUは世界経済に大きな影響力を有する日米と、今後その存在感を高めてくることが必至の中国の機先を制し、地球温暖化防止においてイニシアチブをとり、(中略)米・中・日の国力を正義と良心の名のもとに削ぎ落としてゆくという国際政治における老練な戦略であるように思えてならない」と述べた。その現実をわたしは今回の「地球環境国際議員連盟(GLOBE)東京G8+5議員会合」において垣間(かいま)見せられた思いがした。
温暖化防止に人類をあげて取り組むことは必須であり、喫緊の課題である。温室効果ガスの絶対量を減らすための技術開発や知恵に加えて、その削減インセンティブが必要なことはわかる。しかし、それを推進する一助となる排出権取引市場は、その整備・運営にかかるコストを徴収するのは仕方がないとしても、ある特定の国や地域の人間がビジネスとしてそこから利益を得ようなどとすることは、地球環境保護の本来の運動とは意味合いを全く異にするものである。
人類共通のためであるからには、炭素の商品化やその排出権取引市場の整備にあたっては人類共通の社会資本、共通インフラであるという考え方をとらねばならぬ。生き馬の目を抜く国際政治の舞台で、「言うは易く行うは難し」であるのはわかる。しかし、この地球温暖化の問題はまさに「待ったなし」であり、それこそ算盤(そろばん)片手に損得勘定でやる話でないことだけは、われわれは国際社会の舞台で堂々と主張してゆかねばならぬ。【了】
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