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このご時世に、そんな理由で会社を辞めちゃうんですか?

2008年07月02日18時09分 / 提供:都市伝説探偵団

都市伝説探偵団
このご時世に、そんな理由で会社を辞めちゃうんですか?

5月病も無事乗り越え、さあこれから仕事に頑張ろうというこの時期。突然退職届を持ってくる若手社員が少なくない。ところが、会社を辞めたいというその理由を尋ねると、あっと驚くほど“些細なこと”ばかり。「私はコレで会社を辞めました」2008年版を取材してみた。

ある地方の信用金庫にこの春入社した石田正弘(仮名・22歳)くんは、高校、大学とサッカーをやっていたという、爽やかな青年だ。3週間の研修後、法人営業部という部署に配属となり、先輩社員と一緒に近隣の会社回りをすることとなった。当然、会社の営業車を使うと思っていた石田くんに、先輩が用意してくれたのは自転車だった。

「自転車で営業というのが相当ショックだったみたいで、お得意さんのところに挨拶にいってもボーッとして上の空でした。やつにしてみれば無理してアルマーニのスーツを買って、爽やかな金融マンを演出したかったんじゃないですか。それなのに自転車というのが気に食わなかったんでしょう。翌日には辞表を持ってきました。もちろん、辞表はその日のうちに受理されました。自転車の営業が嫌だといって辞めたのは後にも先にも彼だけです」とあきれるのは、石田くんと一緒に会社回りをした先輩社員の瀬戸さんだ。

私立女子大の仏文科を卒業後、中規模のQ出版に就職した幸田マヤ(22歳)さん。念願の雑誌編集部の所属となったが、実際に配属となったのは、希望していた女性誌ではなく中高年向けの地味な健康雑誌だった。『指回し、腰回しで10歳若返る』『アロエでシミがきれいに消えた』といった、ちょっと怪しげな記事が満載されたその健康雑誌は、50代半ばの編集長以下編集部員はおじさんばかり4人。

「健康雑誌というのでまずガッカリしました。私としては最新流行のファッションやコスメの情報を取材したり、おしゃれな旅記事とかを書きたかったのに、漢方薬の取材とか怪しげな気功師のインタビューとか、そんなのばっかり。大学で勉強したフランス語も全然使うチャンスもないし。思い切って会社を辞めちゃいました」とマヤさん。現在はフリーランスのライターを目指して勉強中だとか。大手出版社の就職試験に片っ端から落ち、やむなくフリーランスのライターをやっている筆者は、「安定収入があるのに、なぜなんだ〜ッ!?」と怒鳴りたい思いを、必死でこらえたのだった。

派遣社員やアルバイト、パートで働く人たちの多くが、正社員となり生活を安定させたいと願っているのに会社を辞めてしまう若者たち。なぜ時代と逆行するのだろうか。「僕にとって安定した収入や将来設計より、今の場所が居心地いいか悪いかが重要なんです。安定した収入や将来がほしいなら、公務員とか大企業の社員にでもなればいいんじゃないですか。いくら給料がよくても、上司が無能だったり、仕事がおもしろくなかったらすぐにでも会社は辞めます。人生は一度きり。有意義に過ごさなければ意味はない」と言い切るのは、ゲーム関連メーカーに勤める船田信一(仮名・25歳)くんだ。

実は船田くんは新卒で入社したIT企業をわずか5か月で辞めた経験がある。「上司のおばさんがいい歳をしてミニスカートをはいて会社に来た」のがその理由だ。「僕としては時代の先端を行くIT企業におばさんはいらないし、まして太くて短い足でミニスカートをはくなんて信じられなかった。そういうセンスの人間を役付きで置いておく会社が、信用できなくなったんです」。

東京・神田で祖父の代から印刷会社を経営する西山(57歳)さんは、人を見る目は誰にも負けないと自負していたが、最近、その目が少しぼやけてきたと嘆く。かつては新聞広告で社員を募集すると、目を輝かせた人たちがたくさん応募してきて選考に苦労するほどだったそうだ。だが、今同じように社員募集をすると、まず給料や休日、福利厚生、女性社員は何人いるか、など仕事とは直接関係のないことばかり聞いてくるという。

外食チェーンの人事担当、磯山(仮名・45歳)さんも、最近は条件面にシビアな新入社員が増えたと語る。「たいていはまず金、ついで有給休暇のことや福利厚生を気にしますね。こうした傾向は男女関係ないし、年齢も20代から30代前半がほとんど。そのくせ、ちょっとしんどい仕事をさせるとすぐに音を上げて、総務へ回してくれだの、経理に配置転換させてくれだの文句ばかり。最初から現場の仕事だと説明してるのに……ですよ。今年入社した大卒の男子社員はたった3日で退職しました。ところが、その男子社員、3日間の給料と退職金をください、といってきたのにはびっくりした」。 

「どうしてもある一定数は、入社して半年以内に会社を辞めてしまいます。ちょうど今から1〜2か月以内がピークですね」と、語るのは某カルチャースクールのカリスマ講師、前川みやこ先生。「昔は仕事をやめる理由は“上司と合わない”“思っていた仕事ではなかった”“給料が安い”……といったことが大半だったんですが、今はそうした理由よりも“昼休みが短い”“社員食堂がおいしくない”“制服が格好悪い”など、一見“些細なこと”に思われる理由で辞める人が多いようですね。また、“妙にベタベタした仲間意識が煩わしい”というのも、最近の傾向です」。

前川先生によると、最近の“些細なこと”でやめてしまう新入社員は、「社会経験に乏しく、甘やかされて育った世代だから」やめてしまうのではなく、「神経過敏で脆弱な肉体」に、大きな理由があるという。「よくいえば感性が高い。悪くいえば、精神も肉体も虚弱なんです。だから些細なことが気になり、大きなプレッシャーになる。それを権利意識を強く持ったり、独自の価値観で見切りをつけることで、実は弱い自分を守ろうとしているんです」。表面的には社会経験が少ないゆえの甘えやワガママに見えるが、問題の根本は体力のなさにあるのだと、前川先生は言う。

昔から体育会系は鈍感……と言われていたが、社会に船をこぎ出す場合、鈍感になれるだけの体力が必要なことは事実のようだ。もしもあなたが今、現在の職場で悩んだり苦しんだりしているのであれば、意識して食生活を変え、体を鍛えるか、スポーツを始めてみれば、少しは楽になれるのかもしれない。(取材/XIXOX倉持ケンジ)

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