今週のお役立ち情報
問題をでっち上げ安全網を葬る年金改革(中)
2008年07月02日13時15分 / 提供:PJ
【PJ 2008年07月02日】−
高齢化による基金不足を口実に消費税化する愚
(上)からのつづき。今後高齢化が進むことから、給付の増加で年金が成り立たなくなるとの宣伝が行われてきた。その解決策として導入されようとしているのが、基礎年金財源の全額税方式化である。しかし、これは国民からお金を召し上げ、外資が席巻する大企業の負担をなくすものにほかならない。
高齢化の危機はまやかしである。厚労省の人口問題研究所の予測によれば、今後30年間の生産人口の減少は20.2%で年率0.67%に当たる。一方、過去40年間の労働時間は23.6%減っており、延べ労働時間で考えると人口が年0.6%減ってきたのと同じ作用がある。この過程で実質GDPは6.86倍に増え、年率5%の実質成長を遂げた。生産性が向上するからである。労働力不足からの保険料収入不足を心配する理由はない。
現在、われわれは有り余るほどの年金積立金を共有している。厚生年金責任準備金と共済年金積立金を含めた年金積立金の総額は、227兆円に及ぶ。これは年金給付額の約6年分に相当する。他の国々は数カ月かせいぜい1年の積立金しかない。しかもわが国の年金制度は「賦課方式」で、必要な年金原資を現役世代の保険料で賄う方式を採る。つまり、積立金は不要なのである。
政府が保険料率を上げる理由に使っているのがマクロ経済スライドという考え方である。100年後の給付額が1年分確保できるように逆算する。この取り組みがいかにばかげているか、もうお分かりだろう。しかも、不況下にある現在、政府機関はお金をため込んでいる場合ではない。むしろ、国民の消費を刺激するために吐き出すべきである。
消費税化は国民生活をさらに圧迫する。基礎年金の国庫負担は09年度、50%に引き上げることが決まっているが、これに必要な予算は2.3兆円で消費税1%弱に相当する。税方式にした場合、過去の納付分を上乗せ給付したケースでは消費税を全体で14.5%にする必要がある。厚生年金では保険料を労使折半しているが、税方式にすれば企業は負担から解放される。これを追い風に政府は移行に努める。現行制度の欠陥をあげつらうマスコミと二人三脚で国民生活をわざわざ疲弊させようとしている。
納付率低下の真相隠し、虎の子を賭博場へ引き込む
2007年6月30日に可決した社会保険庁改革関連法案は、同庁を解体して非公務員型の日本年金機構を発足させ、業務を民間会社に委託するというもの。1万7000人の職員のうち、1000人以上は機構に入れない見通しとなっている。公的年金の取り扱いが政府から離れるにつれ、外国の金融機関はわが国民の虎の子を自由に扱える幅を確実に広げている。
社会保険庁を解体へ導いた直接の要因は、年金保険料の納付率低下である。新聞やテレビはこの事態を同庁の無能さの表れとして言いはやしたが、納付率低下の原因は、2002年に保険料の徴収業務を市町村から引き上げたことにある。「地方分権」の名の下、機関委任事務廃止の一環として行われた。しかし、マスコミは申し合わせたようにこのことに触れず、有名人の加入記録ののぞき見や保険料の不正免除など、社会保険事務所職員の不祥事ばかり宣伝してきた。桝添厚生労働大臣は昨年9月の就任直後、「市町村の窓口は信用ならない」として全国の首長を怒らせたが、本当に知らなかったのかもしれない。
すでに米国は確定拠出型年金の採用をわが国に迫り、2001年10月に実現している。大半の国内企業が採用していた税制優遇付きの適格年金は、2012年に廃止が決まっている。年金はわが同胞が老後のつつましい生活を確保するために、少しずつ積み立ててきた勤労の結晶である。これを株式や債券での運用、すなわちばくちに使わせようとするものにほかならない。利率から言って賭けられる先も海外が多くなるはずで、運用に成功しても外国の産業活動の原資、失敗すれば全部外国金融資本の手中に収まる。
米国はこの数年、『年次改革要望書』で株式委任投票方式の採用も求めてきた。年金はすでに米国の金融機関にも運用が委託されているが、投資先の日本企業について、株主総会で株主としての権利を行使できるようにしてくれというものである。他人のふんどしで相撲を取るとはこのこと。年金資金を横取りする前に、預かったお金で優良企業を物色する算段のようだ。【つづく】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆【 神奈川県 】
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(上)からのつづき。今後高齢化が進むことから、給付の増加で年金が成り立たなくなるとの宣伝が行われてきた。その解決策として導入されようとしているのが、基礎年金財源の全額税方式化である。しかし、これは国民からお金を召し上げ、外資が席巻する大企業の負担をなくすものにほかならない。
高齢化の危機はまやかしである。厚労省の人口問題研究所の予測によれば、今後30年間の生産人口の減少は20.2%で年率0.67%に当たる。一方、過去40年間の労働時間は23.6%減っており、延べ労働時間で考えると人口が年0.6%減ってきたのと同じ作用がある。この過程で実質GDPは6.86倍に増え、年率5%の実質成長を遂げた。生産性が向上するからである。労働力不足からの保険料収入不足を心配する理由はない。
現在、われわれは有り余るほどの年金積立金を共有している。厚生年金責任準備金と共済年金積立金を含めた年金積立金の総額は、227兆円に及ぶ。これは年金給付額の約6年分に相当する。他の国々は数カ月かせいぜい1年の積立金しかない。しかもわが国の年金制度は「賦課方式」で、必要な年金原資を現役世代の保険料で賄う方式を採る。つまり、積立金は不要なのである。
政府が保険料率を上げる理由に使っているのがマクロ経済スライドという考え方である。100年後の給付額が1年分確保できるように逆算する。この取り組みがいかにばかげているか、もうお分かりだろう。しかも、不況下にある現在、政府機関はお金をため込んでいる場合ではない。むしろ、国民の消費を刺激するために吐き出すべきである。
消費税化は国民生活をさらに圧迫する。基礎年金の国庫負担は09年度、50%に引き上げることが決まっているが、これに必要な予算は2.3兆円で消費税1%弱に相当する。税方式にした場合、過去の納付分を上乗せ給付したケースでは消費税を全体で14.5%にする必要がある。厚生年金では保険料を労使折半しているが、税方式にすれば企業は負担から解放される。これを追い風に政府は移行に努める。現行制度の欠陥をあげつらうマスコミと二人三脚で国民生活をわざわざ疲弊させようとしている。
納付率低下の真相隠し、虎の子を賭博場へ引き込む
2007年6月30日に可決した社会保険庁改革関連法案は、同庁を解体して非公務員型の日本年金機構を発足させ、業務を民間会社に委託するというもの。1万7000人の職員のうち、1000人以上は機構に入れない見通しとなっている。公的年金の取り扱いが政府から離れるにつれ、外国の金融機関はわが国民の虎の子を自由に扱える幅を確実に広げている。
社会保険庁を解体へ導いた直接の要因は、年金保険料の納付率低下である。新聞やテレビはこの事態を同庁の無能さの表れとして言いはやしたが、納付率低下の原因は、2002年に保険料の徴収業務を市町村から引き上げたことにある。「地方分権」の名の下、機関委任事務廃止の一環として行われた。しかし、マスコミは申し合わせたようにこのことに触れず、有名人の加入記録ののぞき見や保険料の不正免除など、社会保険事務所職員の不祥事ばかり宣伝してきた。桝添厚生労働大臣は昨年9月の就任直後、「市町村の窓口は信用ならない」として全国の首長を怒らせたが、本当に知らなかったのかもしれない。
すでに米国は確定拠出型年金の採用をわが国に迫り、2001年10月に実現している。大半の国内企業が採用していた税制優遇付きの適格年金は、2012年に廃止が決まっている。年金はわが同胞が老後のつつましい生活を確保するために、少しずつ積み立ててきた勤労の結晶である。これを株式や債券での運用、すなわちばくちに使わせようとするものにほかならない。利率から言って賭けられる先も海外が多くなるはずで、運用に成功しても外国の産業活動の原資、失敗すれば全部外国金融資本の手中に収まる。
米国はこの数年、『年次改革要望書』で株式委任投票方式の採用も求めてきた。年金はすでに米国の金融機関にも運用が委託されているが、投資先の日本企業について、株主総会で株主としての権利を行使できるようにしてくれというものである。他人のふんどしで相撲を取るとはこのこと。年金資金を横取りする前に、預かったお金で優良企業を物色する算段のようだ。【つづく】
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