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「放送と通信の融合」はメディアの階級化を促すのか(6)

「放送と通信の融合」はメディアの階級化を促すのか(6)
東京・霞が関にある総務省 (撮影:小田光康、6月12日)
【PJ 2008年07月02日】− メディアの階層化と周辺メディア制度による情報統制の過去
(5)からのつづき。ここで日本におけるメディア階層化による情報統制の歴史を振り返っておこう。満州事変以降、日本のマスメディアが表向きには右傾化し、その裏では商業主義化して、公権力と迎合して社会の木鐸としての機能を失っていったことは周知の通りである。この時代、政府とそれを監視すべきマスメディア業界とそれぞれの思惑が一致し、その被害が市民社会に広がってしまったことは、国内のジャーナリズム史上、特筆すべき出来事である。

 公権力側にとってはメディアの絶対数を減らし、階層化することで情報統制を容易にするといった意図があったのに対し、新聞社側には競合他社を統廃合することで業界内の競争圧力を弱め、自社の利益を増大させる意図があった。メディアの階層化とそれに続くメディア規制は当初、内務省による行政指導という形で新聞の統廃合が進められた。そして、結果的に新聞事業令というマスメディア業界の統制が法制化されて、現在日本国内にある全国紙・ブロック紙、地方紙といったメディアが階層化された「一県一紙体制」ができあがったのであった。

 新聞メディアの階層化と規制は段階的に粛々と進められた。それはまず、1938年から1940年春までの間、「悪徳不良紙の整理」という反体制的な新聞紙の廃刊という形で現れた。「悪徳不良」という極めて公権力の主観的な価値判断でメディアを階層化したうえで、規制を加えたのであった。そして1940年から1941年秋までの間は、「弱小紙整理」という名目で反権力的であったり、権力に荷担するメディアの競合相手を廃刊に追い込んだのであった。

 この間、政府の言論統制部局である内閣情報局が主導して新聞業界の個別の利害を調整させるために社団法人日本新聞連盟が結成され、「新聞報国」「新聞の公共性」の名のもとに、新聞の生産・流通の合理化というメディアの階層化が進んだ。

 こうしてメディアを階層化し、公権力の意にそぐわぬメディアを抹消していった結果、公権力に迎合するメディアだけが生き延びる構図が出来上がってしまった。最終的に新聞事業令が法制化された後の1941年秋以降には、統制団体日本新聞会が組織され、「一県一紙体制」が築かれたと同時に、記者クラブを原則、個人加盟か組織加盟に改めた。

 これは、公権力が記者クラブ加入社に対しての情報収集の特権的な立場を与えると共に、情報統制をより一層厳しくする意味が込められていた。つまり、公権力はメディアの階層化と情報収集の特権化を一体化させることによって、メディアを弱体化させるとともに、情報統制を徹底していったのであった。【つづく】

■関連情報
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
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