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問題をでっち上げ安全網を葬る年金改革(上)

【PJ 2008年07月01日】− 2000年代に入ってから、年金にまつわる数々の問題が報じられ、国民の怒りを喚起してきた。「グリーンピアは全くの無駄遣い」「社会保険庁は高い未納率を放置し続けた」「職員が怠慢な役所より民間にやらせた方がいい」。批判を受けて次々と改革が行われているが、本当に問題があったのだろうか。拙速な制度変更は、国民生活を支える最後のセーフティーネットを喪失させるように思えてならない。

批判受けたグリーンピアは二束三文で外資に
 社会保険庁をめぐる最初の非難は、グリーンピアをはじめとする年金福祉施設に対してだった。厚生労働省の天下り機関として採算を度外視したずさん経営が続けられ、年金財源を焦げ付かせたとマスコミは一斉に批判した。グリーンピアは2004年の年金改正で整理・売却が決まった。1953億円の建設費をかけ全国に13造った施設を総額わずか48億2000万円で売却した。

 122億円がつぎ込まれた「グリーンピア南紀」はわずか8300万円で那智勝浦町が買い取っているが、中国のリゾート会社「BOAO(ボアオ)」にリースされ、2015年に無償で譲渡される。455億円かけた「スパウザ小田原」は、わずか8億円で小田原市に売却され、ヒルトンホテルが借り受けた。賃料わずか12.5%の低利で、契約は5年ごとの更新である。しかも、同施設は年間900万円の黒字だった。今泊まろうとすれば、4万円以上する。

 グリーンピアへの批判は社会保険庁に向けられたが、グリーンピアは社会保険庁が造ったのではない。同庁は年金制度を執行する官庁であり、グリーンピアを造ったのは旧厚生省年金局である。05年度までの一括整理で総額3730億円を浪費することになった。いわば返済途上の物件を売却するため、回収の機会も奪われた形である。

 グリーンピアは公租公課と償却で毎年52億円超が旧厚生省の負担となったが、社会保険庁は損をしていない。年金資金は旧大蔵省資金運用部にいったん預託した一部を旧年金福祉事業団が借り受けて市場で運用する2本立てで、年金側の借入金利は資金運用部への貸付金利より常に高いからである。2006年度終了時には累積運用益は10兆円を超えた。52億円の赤字を問題にするのは常軌を逸している。

 そもそも、この赤字は米国が求めた経済政策の結果ではないか。プラザ合意によってバブルが強要され、はじけた後は小泉=竹中政権を通じデフレ下で緊縮財政が続けられた。地方の疲弊が著しい今なら、こうした施設こそ地域の活動拠点として期待されたはずである。

民間人の提言で外資の収奪にさらされる基金
 もっとも、損益がすべてではない。年金基金は2008年度に財政投融資資金から全額償還され、年金積立金管理運用独立行政法人が運用を一手に引き受ける。直近2007年第2四半期の運用先は国内債券54%、国内株式20%、外国債券10%、外国株式15%などとなっている。

 経済財政諮問会議のグローバル化改革専門調査会(会長・伊藤隆敏東京大大学院教授)は5月23日、単一の基金を複数の基金に分散し、基金の運用対象を従来の国内の債券・証券中心から、高利回りを狙える海外投資や不動産・商品先物投資に広げる提言をした。運用独立行政法人を中央銀行のような独立性の高い組織に変更し、民間から「優秀な外国人」を採用して高い報酬を与えるべきとの内容も盛り込まれている。

 経済財政諮問会議は民間メンバーが4割以上を占め、これまで道路公団民営化や郵政民営化など、重要な改革方針を密室で決めてきた。担当省庁の職員によれば、この会議に出される対日投資会議からの要望書『日米投資イニシアティブ報告書』の原文は英語である。つまり、米国が書いているのだ。220兆円を超えるわが国の年金基金が外国に収奪されるのは目に見えている。国債が売却されるだけで、大規模な金融不安が起きるだろう。【つづく】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆【 神奈川県 】
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