お詫び文を載せた常磐大高校のサイト

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   イタリア・フィレンツェの大聖堂に高校野球強豪の常磐大高監督(30)も落書きしていたことが分かり、同校では監督を解任した。次々に発覚する落書き騒ぎに、テレビのコメンテーターからは「魔女狩りでは」との声も。しかし、学校に寄せられる声は厳しいようだ。

「名前を書くと幸せになる」と勧められる

「先週末から自宅謹慎し、『申し訳ないことをした』とかなり落ち込んでいます。生徒は試験期間中で、今はしっかりと勉強するようにと伝えてあります」

   茨城県水戸市の私立常磐大高校の教頭は2008年6月30日、J-CASTニュースの取材にこう答えた。

   同校によると、職員の男性監督は、新婚旅行中の2006年1月5日、世界遺産登録の歴史地区にあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を訪れた。聖堂近くで、黒の油性ペンを販売する人から「名前を書くと幸せになる」と勧められ、深く考えずにペンを購入。そして、妻と2人で最上階の展望台に上り、聖堂の柱に、自分と妻の名前をハートマークで囲んで書いたという。

   岐阜市立女子短大生の落書きが発覚した08年6月24日以降、ネット上では、日本人とみられる多数の落書きの「犯人捜し」が始まった。2人が実名で落書きしており、強豪高監督として情報が比較的多かったため、個人が特定された。

   この監督は、01年就任後に野球部を強豪に育て上げ、07年夏の県大会準優勝に導いた。そのときのエースの菊池保則投手(18)が、同校初のプロ野球選手としてドラフト4巡目で楽天に入団。08年夏は、県大会でシード校に指定され、初の甲子園を目指している。

   常磐大高では、監督が落書きを認めたため、6月29日付で解任。校長から報告を受けた茨城県高野連では30日、記者会見して、県大会へ出場させるかどうかなどの対応を検討していることを明らかにした。日本高野連では、J-CASTニュースに「茨城から文書で報告を受けてから、対応を決めたい」と話す。修復については、高校がイタリア大使館などと協議している。

「処分が甘い」――学校に寄せられる声は厳しい

   大聖堂には、各国の言葉でびっしりと落書きされた壁や柱がある。ニックネームだけのものや、相合い傘を描いたものなど様々だ。共同通信の08年6月29日付記事によると、ほとんどがイタリア語、英語、スペイン語で書かれ、日本語は全体の1割ほどだった。

   これを多いとみるか、少ないとみるか。テレビのワイドショーでは30日、ネット上の「犯人捜し」に対し、異論も相次いだ。日本テレビ系の「スッキリ!!」では、日本語1割の話題が出た後、テリー伊藤さんが「(解任は)ちょっとやり過ぎの気がしますよ」と疑問を呈した。フジテレビ系の「とくダネ!」では、「落書きは問題だけど、魔女狩りみたいなのは違うのでは?」とピーコさん。一方、文芸評論家の福田和也さんは、「遺産の価値と学生を指導する立場からすると、社会的な制裁も無理ないかな」と述べた。

   学校に寄せられる声は厳しい。学生6人が落書きに関わっていた岐阜市立女子短大によると、メールや電話などで1000件近い意見が寄せられた。厳重注意したことについて、「処分が甘い」「停学でもいいのではないか」との声が多かったという。これに対し、同大では、学生が2週間自宅謹慎し、清掃などのボランティアを予定していると理解を求める。当初、学生を現地に行かせるかは分からないとしていたが、現在は、教員同伴で学生の代表に行ってもらう方針であることを明らかにした。

   一方、学生3人が落書きしていた京都産業大学では、27日に2週間の停学処分にした。処分だけみると岐阜の短大より重いものの、そんな同大にも、数百件の意見が相次いだ。それも、「停学では軽過ぎる」「退学にしろ」と、大学の対応について叱る声が多数だったというのだ。これに対して、同大では、学生らに対し、カウンセラーによる再発防止のための再教育を行うほか、現地へ行ってもらうことを検討している。

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