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子供が育てる「プールのトンボ」=東京・江東区の小学校

2008年06月26日09時31分 / 提供:PJ

pj
子供が育てる「プールのトンボ」=東京・江東区の小学校
「江東区トンボまつり」の会場内に設けられた「トンボの宿」と、活動記録等の展示。(撮影:葦乃原 光晴、6月11日) 写真一覧(3件)
小学校のプールの水は、秋になると消毒もしなくなり、冬も防火用に水がたまったままになる。翌年の5月から6月に掃除をするまで、プールはプランクトンや水を利用する昆虫などの生活の場になる。トンボの中には、プールに卵を産んでヤゴになる種類のものもあって、プールを掃除する前に、ヤゴを救出してトンボになるまで育てて空に放つ活動が広がっているという。

 6月18日(水)から22日(日)まで、江東区文化センター(東京都江東区東陽4-11-3)で、「江東区トンボまつり」が開かれた。企画運営は、NPO法人・ネイチャーリーダー江東が担当していた。

 会場では、薄い布で覆われた「トンボの宿」が作られ、飼育されていたヤゴから羽化したトンボが数匹飛んでいた。また、江東区内の小学校での活動記録や、トンボが育つ環境の説明等の展示がなされ、トンボに関するおもちゃの作り方も教えていた。

 わたしは、NPO法人・ネイチャーリーダー江東の方にお話を伺った。まず、会場で来場者に説明をしていた花里董男(はなざと まさお)さんにお話を伺った。

 ―江東区の小学校では、プールのヤゴ救出が盛んに行われているのですか?
 「江東区が最初に始めたのではありませんが、かなり盛んに行われています」

 活動記録の一覧表を見ると、小学校によってヤゴの救出数や種類にばらつきがある。ヤゴ救出数が最も多いのが第2亀戸小学校で1960匹。次に多いのが東雲小学校で1255匹。どちらの小学校もトンボの種類は赤トンボとシオカラトンボだ。しかし、ヤゴ救出数は数百匹だが、ギンヤンマが多い小学校もあった。

 ―救出されたヤゴを見ると、小学校によって取り組み方に違いがあるようですね。
 「プールが地上にある場合と屋上にある場合では、トンボの産卵や生き物の育ち方に差があります。屋上では枯れ葉などのゴミが入りにくいです。また、産卵の仕方も、空中から卵を落とすトンボ、水面におしりをたたきつけて産卵するトンボ、植物の茎に産み付けるトンボ等、種類によって違いますので、たくさんの種類のトンボを呼ぶために、プールにわらを投げ込んだりしている学校もあります」

 わらを投げ込むとギンヤンマなどの産卵が期待できるが、掃除が大変になるし、防火用水としてプールの水を使おうとした場合に邪魔になる。各小学校の事情や考え方が、ヤゴ救出数や種類に影響しているのだ。

 次に、会長の阿河眞人(あが まひと)さんにお話を伺った。

 ―この催しはいつごろから始まっているのですか?
 「『江東トンボまつり』は、今年で5年目を迎えます」

 ―学校のプールで生活していたヤゴを救出して、生徒が観察しながらトンボになるまで育てるという試みはおもしろいですね。
 「これは全国的に広がっている動きですが、特に自然の生き物との接触が少ない都会の子供たちにとっては、初めての、生き物との触れ合いの機会になっているようです。また、生態系の理解の場として、体験学習・環境学習の有効なプログラムと考えられています」

 会場に来ていたのはほとんどが親子連れで、子供たちは小学校低学年の子供たちが多かった。ヤゴ救出に参加するのは小学3−4年生が中心なので、これから参加するか、今年参加したかのどちらかという感じで、興味深そうに展示を見て回っていた。小学校内のプールで生活していたヤゴを使ってトンボの観察と生態系の勉強ができる。田んぼや池、川等がほとんど無い都会でも工夫次第で勉強の仕方があるという良い例だろう。プールで孵化したヤゴは、人間に助けられなければプールの掃除のときに死んでしまう。小さな命を助けるという活動でもあり、子供は命の大切さや自然の神秘を学ぶだろう。

 しかし、トンボは本来、人が助けてくれなくても自分で成長していける環境に産卵すべきなのだ。成長するまでの半分を人間に助けてもらわなくてはならない環境は、トンボにとっては危うさをはらんでいる。小学校の教材としてトンボの観察に代わるものが出てくれば、プールのヤゴは掃除のときにゴミと一緒に流されてしまうだろうし、ましてや、プールにわらを入れてまでギンヤンマに産卵させることはなくなるだろう。非常に興味深い活動ではあるが、教育する大人たちも、本来の自然の状態ではない事を前提に指導しなくてはならず、気を使う部分も含まれている。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 葦乃原 光晴

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