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眼光紙背[がんこうしはい]とは:「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
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【眼光紙背】大きな天災が発生すると増加する募金詐欺

【眼光紙背】大きな天災が発生すると増加する募金詐欺
門倉貴史氏

門倉貴史の眼光紙背:第38回

「振り込め詐欺」に代表されるように、近年、あの手この手で人を騙して、お金を奪い取ろうとする詐欺事件が横行している。多種多様な詐欺行為の中でも、とりわけ悪質と言えるのが、人の善意を踏みにじる寄付金集めを装った詐欺である。

寄付金集め詐欺は昔からあった詐欺行為のひとつと考えられるが、日本で寄付金集め詐欺が注目されるようになったのは、大阪で大がかりな街頭募金詐欺を行っていたニセの「NPO緊急支援グループ」の代表が、05年に摘発されてからのことである。

この詐欺グループは、京阪神の繁華街を中心に、約200人のアルバイトを使って募金活動を行っていた。04年10月からのわずか3ヶ月間で、「小さな善意」は積もり積もって、総額約4000万円に達した。募金の名目は「難病の子供を救うための寄付金」とされていたが、募金で集められたお金の半分以上は難病支援団体には寄付されず、代表者が私用に流用していたという。驚くべきことに、集められた募金の一部は、キャバクラに通うための費用にも化けていた。

また、高校野球の世界でも、一部でニセの寄付金集めが行われたりすることがある。これは、甲子園出場が決まった高校の周辺で、野球部の後援会を装って寄付金を集めて回るという手口だ。

最近では、長野県で寄付金集め詐欺に絡んで逮捕者が出た。08年5月、03年に自治体の区長だった人物が、公共の建物を建て替えるための名目で寄付金を集め、それを着服していたとして逮捕されたのだ。
このような募金詐欺が横行しても、個々人の寄付金は少額だから、個別の被害者の立場に立てば、金銭的にはそれほど大きな問題とは言えないかもしれない。しかし、人の善意を踏みにじるという点で、倫理上は非常に大きな問題である。また募金詐欺は、単に倫理上の問題にとどまらない。募金詐欺が横行することによって、本当の寄付金集めや街頭募金活動にまで悪影響が及んできてしまう。「悪貨が良貨を駆逐する」という言葉もあるとおり、ニセの募金活動がはびこることで、募金活動に対して人々が不信感を持つようになり、その結果、街頭募金に寄付をすることをためらう人が増え、募金が集まらなくなってしまう恐れがある。

ところで、募金詐欺、寄付金集め詐欺は、大規模な天災が発生すると、それに乗じて横行しやすいという特徴がある。これは世界共通の特徴と言えそうだ。たとえば、米国では、05年に大型ハリケーン「カトリーナ」によって甚大な被害が発生したが、その際には被災者への寄付金を勧誘するウェブサイトが急増した。FBI(米国連邦捜査局)の捜査によると、「カトリーナ」が発生した直後から、被災者支援をうたったウェブサイトが次々に立ち上がり、瞬く間に2300件に達したという。それらのうち、数十件以上が疑惑の対象となった。これらのウェブサイトは、サイト上に被災地の写真などを掲載して、本物の慈善団体であることを装い、善意で寄付をしようと思った人からクレジットカードの番号を不正に奪い取っていた。

中国においても、08年5月12日に発生した「四川大地震」に際して、混乱に紛れて、募金集めを装った詐欺事件が多発しており、特定の口座に寄付金を振り込むよう勧誘するウェブサイトなどが立ち上がっている。

このように、地球上のどこかで大きな天災が発生すると、それを利用して人の善意を裏切る募金詐欺が発生しやすくなる。

もし、善意で何かの団体や活動に寄付をしようと思ったのなら、やみくもに寄付する前に、その団体を見極めて、詐欺ではないことを確認しておく必要がある。


プロフィール:
門倉貴史(かどくら・たかし) 1971年生まれ。エコノミスト。BRICs経済研究所代表。専門は、日米経済、アジア経済、BRICs経済、地下経済と多岐にわたる。
著書に、「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)」、「イスラム金融入門―世界マネーの新潮流 (幻冬舎新書 か 5-2)」など。
オフィシャルサイト:門倉貴史のBRICs経済研究所

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