【サムライ通信】勝利に隠された課題
2008年06月23日07時35分 / 提供:livedoor スポーツ
「俊輔がPKを外すと、劇的な勝利になる」と言うと「じゃあ、そういうことにしてください」と、試合後、中村俊輔が苦笑いをしながらそう言った。03年のワールドカップ予選、埼玉スタジアムでのオマーン戦でも中村はPKを外したが、終了間際に久保竜彦が決勝ゴールを決めている。
6月22日雨のバーレーン戦も同じような展開で、90分内田篤人のゴールで勝利を手にした日本代表。「GKは右へ反応すると感じていたけれど、そこを狙った。もう少し上を狙えばよかったかな」と中村俊がPKシーンを振り返る。
開始4分で迎えたPKの場面、中村俊が蹴ったボールをGKがセーブ。決定的なチャンスをモノに出来なかった日本は、その後も何度もバーレーンゴールを脅かすが、得点が奪えないまま時間が経過していく。残り時間がわずかになると闘莉王が前線へ立ちパワープレーを仕掛ける。すると後半45分、相手がクリアしたボールに飛び込んだ内田篤人がヘディングで折り返す。ボールはワンバウンドしてゴールネットの中へ転がった。
「GKと誰かがぶつかればいいと思って(ボールを)出した。巻さんが決めたと思った。でも、あれは僕のゴールというより、巻さんのゴール」と内田は話した。しかし、代表初ゴールについては「嬉しいけど、ゴールよりアシストがしたかった」と、相手DF陣を崩しながらもゴールが生まれなかった悔しさがそう言わせたのかもしれない。
「Jリーグが五輪ではミチ(安田)もウッチー(内田)もひとりで敵を抜けるのかもしれないが、相手のレベルが高くなれば、そういうことは難しくなる。そういう時に2人、3人で相手を突破できるような連動性が大事だということ」と中村俊は試合を振り返りそう話した。それは安田や内田だけの話ではなく、この日の日本にそういう形が少なかったということを指摘しているのだろう。
1枚のイエローカードを受けている松井大輔、駒野友一、長谷部誠を登録メンバーから外した岡田監督は、佐藤寿人、本田圭佑、安田とこの試合に向けて招集したばかりの選手を先発起用。チーム合流後1週間足らずの彼らがチーム内の連動の歯車にスムーズに入るのは容易なことではなく、ぎくしゃくした攻撃は決して良いリズムを日本に生み出すことはなかった。選手の動きが鈍いようにも思えたが、連戦の疲れだけでなく、コンビネーションの問題もあったのかもしれない。連動した“走り”があって、初めて効果的にパスもまわるのだから。
「ラッキーな1点だったけど、(相手ゴール前の)3分の1の部分での課題は相変わらずだった。今まで1トップでやってきて、今日は2トップだったので、前のスペースに入り込めない感じはあった。課題が見えた試合だと思う。ボールをキープしていればチャンスはできるけど、サイドからいいボールが来ても中に人がいなかったりとか。プレーがきれいすぎる。もっと貪欲(どんよく)に、泥臭くてもいいと思う」と遠藤保仁は課題を語る。松井や大久保のようなもっと強引な突破や仕掛けがあってもよかったということだろう。
劇的な勝利に指揮官は「決してかっこいい得点ではなかったけれども、私にとっては、このうまくてスマートな選手たちが泥臭い点を取ってくれたのは嬉しいこと」と喜びを口にしていたが、タイ戦に続き、選手たちは監督ほど歓喜に満ちた表情ではなかった。
最終予選を踏まえて、「この1カ月間に土台はできたと思うから、今後、良い選手が入ってきて、もっともっと活性化させていくはずだ」と期待をこめて語ったのは中村俊。
7月に短期合宿を行い、8月の親善試合を経て9月には最終予選が始まる。欧州でプレーする選手は本番直前での合流が強いられるだろう。
3次予選の突破を決めたチームによる消化試合というよりも、1カ間の合宿の集大成の試合になればと思っていた。しかし、先発メンバーに新顔が多く名を連ねたことで、手探りの状態で試合を進めているような時間帯もあった。
指揮官、選手ともにこの1カ月間で「チームにまとまりを感じる」と話している。選手の多くが、「自分たちのサッカーの方向性を理解できるようになった」と戦術理解度の浸透について話している。
試合後の会見で、「戦術的にチームはどういう部分でまとまったか?」と問われた監督は、「要するに監督に言われたからプレッシャーにいく、チームのやり方だから取りに行くといううちは本当ではないと思っています。自分が勝ちたいからプレッシャーにいく、勝ちたいから追いかけるとなったときは、自然と仲間に『なんでこっちに戻ってこないんだ、なんでパスをしないんだ』などという要求が出てくるはずです。そんなものが少しずつ出だしています。それがチームがひとつになってきたことが表にあらわれていることかなと思います」と話している。
勝利への執念が戦術をも上回るということか?
「結局、サッカーをやるのは選手たちだから。監督からの指示を待つのではなくて、選手間でどうしていくか、約束事だとかを話し合っていくことが大事」得点が生まれない“最後”の部分を克服するために必要なことについて、そう話した中村俊。そんな選手の自主性が今後の日本代表を支えていくに違いない。
text by 寺野典子
6月22日雨のバーレーン戦も同じような展開で、90分内田篤人のゴールで勝利を手にした日本代表。「GKは右へ反応すると感じていたけれど、そこを狙った。もう少し上を狙えばよかったかな」と中村俊がPKシーンを振り返る。
開始4分で迎えたPKの場面、中村俊が蹴ったボールをGKがセーブ。決定的なチャンスをモノに出来なかった日本は、その後も何度もバーレーンゴールを脅かすが、得点が奪えないまま時間が経過していく。残り時間がわずかになると闘莉王が前線へ立ちパワープレーを仕掛ける。すると後半45分、相手がクリアしたボールに飛び込んだ内田篤人がヘディングで折り返す。ボールはワンバウンドしてゴールネットの中へ転がった。
「GKと誰かがぶつかればいいと思って(ボールを)出した。巻さんが決めたと思った。でも、あれは僕のゴールというより、巻さんのゴール」と内田は話した。しかし、代表初ゴールについては「嬉しいけど、ゴールよりアシストがしたかった」と、相手DF陣を崩しながらもゴールが生まれなかった悔しさがそう言わせたのかもしれない。
「Jリーグが五輪ではミチ(安田)もウッチー(内田)もひとりで敵を抜けるのかもしれないが、相手のレベルが高くなれば、そういうことは難しくなる。そういう時に2人、3人で相手を突破できるような連動性が大事だということ」と中村俊は試合を振り返りそう話した。それは安田や内田だけの話ではなく、この日の日本にそういう形が少なかったということを指摘しているのだろう。
1枚のイエローカードを受けている松井大輔、駒野友一、長谷部誠を登録メンバーから外した岡田監督は、佐藤寿人、本田圭佑、安田とこの試合に向けて招集したばかりの選手を先発起用。チーム合流後1週間足らずの彼らがチーム内の連動の歯車にスムーズに入るのは容易なことではなく、ぎくしゃくした攻撃は決して良いリズムを日本に生み出すことはなかった。選手の動きが鈍いようにも思えたが、連戦の疲れだけでなく、コンビネーションの問題もあったのかもしれない。連動した“走り”があって、初めて効果的にパスもまわるのだから。
「ラッキーな1点だったけど、(相手ゴール前の)3分の1の部分での課題は相変わらずだった。今まで1トップでやってきて、今日は2トップだったので、前のスペースに入り込めない感じはあった。課題が見えた試合だと思う。ボールをキープしていればチャンスはできるけど、サイドからいいボールが来ても中に人がいなかったりとか。プレーがきれいすぎる。もっと貪欲(どんよく)に、泥臭くてもいいと思う」と遠藤保仁は課題を語る。松井や大久保のようなもっと強引な突破や仕掛けがあってもよかったということだろう。
劇的な勝利に指揮官は「決してかっこいい得点ではなかったけれども、私にとっては、このうまくてスマートな選手たちが泥臭い点を取ってくれたのは嬉しいこと」と喜びを口にしていたが、タイ戦に続き、選手たちは監督ほど歓喜に満ちた表情ではなかった。
最終予選を踏まえて、「この1カ月間に土台はできたと思うから、今後、良い選手が入ってきて、もっともっと活性化させていくはずだ」と期待をこめて語ったのは中村俊。
7月に短期合宿を行い、8月の親善試合を経て9月には最終予選が始まる。欧州でプレーする選手は本番直前での合流が強いられるだろう。
3次予選の突破を決めたチームによる消化試合というよりも、1カ間の合宿の集大成の試合になればと思っていた。しかし、先発メンバーに新顔が多く名を連ねたことで、手探りの状態で試合を進めているような時間帯もあった。
指揮官、選手ともにこの1カ月間で「チームにまとまりを感じる」と話している。選手の多くが、「自分たちのサッカーの方向性を理解できるようになった」と戦術理解度の浸透について話している。
試合後の会見で、「戦術的にチームはどういう部分でまとまったか?」と問われた監督は、「要するに監督に言われたからプレッシャーにいく、チームのやり方だから取りに行くといううちは本当ではないと思っています。自分が勝ちたいからプレッシャーにいく、勝ちたいから追いかけるとなったときは、自然と仲間に『なんでこっちに戻ってこないんだ、なんでパスをしないんだ』などという要求が出てくるはずです。そんなものが少しずつ出だしています。それがチームがひとつになってきたことが表にあらわれていることかなと思います」と話している。
勝利への執念が戦術をも上回るということか?
「結局、サッカーをやるのは選手たちだから。監督からの指示を待つのではなくて、選手間でどうしていくか、約束事だとかを話し合っていくことが大事」得点が生まれない“最後”の部分を克服するために必要なことについて、そう話した中村俊。そんな選手の自主性が今後の日本代表を支えていくに違いない。
text by 寺野典子
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