勢いのいい右ロー、左ハイ、さらに右ローを繰り出すアイナ。続いて左ローで、クァンの前進を止める。右ローから左ジャブを見せるクァンだが、やや距離があり、自分の間合いで戦えない。パンチのフェイントからテイクダウンに成功したアイナは、クァンのバタフライガードから腕を引き抜き、ハーフガードへ。アイナは首を固め、パスのプレッシャーをかけ続ける。左パウンド、左エルボーで攻められたクァンは、アイナの体にしがみついて時間が過ぎるのを持った。

2R、クァンのローに合わせテイクダウンを狙ったアイナは、ケージに詰めて両足タックルで豪快なスラム。再びハーフガードからパウンドを中心に攻めるが、なかなかパスすることができない。クァンはハイガードから両足でアイナのボディを蹴りあげ、距離を作って立ち上がる。が、返す刀のタックルで再びテイクダウンを許していまう。片足タックルを狙いながら、立ち上がったクァンに対し、ギロチンを見せたアイナ、首を抜いたクァンが右フックとミドルを見せたが、決定的なシーンがのないままこのラウンドも終了した。

最終R、中央に立ちプレッシャーを掛けるクァン。アイナは右フックから片足タックルへ。執拗にテイクダウンを狙うアイナだが、クァンはケージを背に耐える。リング中央でアイナのタックルを切ったクァンが、パンチでアイナを押しこむ。明らかにスタミナが切れた相手に、クァンの左ストレート、右バックブローがヒットする。

拳を振るう度に姿勢が乱れるアイナは、ガードもままならないまま最後の1分間へ。クァンのアッパーがヒット、最後の力を振り絞りテイクダウンを狙ったアイナの首をコントロールしたクァンが、パウンドの連打。ガードポジションを取るアイナは、何とか試合終了まで逃げ切ったが――。

ジャッジの判定は、三者とも29-28でマイク・アイナを支持。マイク・アイナが1、2Rのポイントを守りぬいた形で判定勝ちを手にした。

また、19歳のBJ・ペンの教え子ウィルムス。対するはメインカードのスター選手よりも大きな声援を集めるICONスポーツのフェザー級王者マーク・オーシロの一戦では、サウスポーから左ローを放ったオーシロ、何とこの最初の攻撃が急所に入ってしまい、いきなり試合が中断してしまう。

再開後、パンチの連打からミドルを見せたオーシロから、ウォルムスはテイクダウンに成功するも、バタフライガードから立ち上がろうとするオーシロを叩きつけるウィルムス。オーシロは足を利かせて、そのまま三角絞めへ。スラムをされても絞め続けたオーシロは、ここでタップを奪い一本勝ち。ハードパンチャーが1R2分12秒、意外な形で勝利を手にした。

最終試合は、オーシロ同様ロコから絶対的な支持を誇るカラ・コロヘ、ICONスポーツ世界ミドル級王者が登場した。対戦相手はブーバ・マクダニエル、大会の締めはハワイアンがメインランドの白人ファイターと対戦するという、ハワイのファンにとってこれ以上ないマッチアップだ。

サウスポーのマクダニエルが左ハイから、テイクダウンを狙う。これをディフェンスしたコロヘだったが、バタフライガードを取ったマクダニエルがバックへ回りこみ、バックマウントを奪取。そのままチョークを仕掛けると、地元のヒーローはここでタップアウト。思いもしない41秒の終幕に、観客席は静まり返ってしまった。

アンダードッグ=マクダニエルがノンタイトルで王者を破り、世界挑戦をほぼ手中に収めたはいいが、「ICONタイトル?それはハワイのタイトルだから」と、ハワイアンの胸中を顧みない発言。かつて、地元のヒーロー=イーゲン井上、ファラニコ・ヴィターレを下したジェイソン・メイハム・ミラー2世がハワイのリングに誕生した。