2シーズン連続で降格の危機に立ったパリ・サンジェルマン(PSG)が、来季の“名門復活”を賭けて動き出している。

 まず先週5月27日にクラブの役員会が開かれ、民放TF1のスポーツ事業局長だったシャルル・ビルヌーブ氏が新会長に選ばれた。大株主のセバスチャン・バザン氏が、友人であるアーセナルのベンゲル監督の強い勧めにしたがって行なった人選だった。

 ビルヌーブ新会長が最初に決めたのは、ル・グエン監督の留任。そして、来季に向けた予算を7000万ユーロ(約115億円)から1億ユーロ(約165億円)に引き上げることを約束した。

 3シーズン続けての“失敗”を犯さないために、PSGは大々的な補強を行なうと見られている。昨シーズン前は、目立った補強を行なわず、育成上がりの若い選手たちに賭けた。いずれも将来が有望な選手たちではあるが、経験不足は否めず、ロッシュ・スカウト部長もその“失敗”を認めている。

 そこで今回は、経験豊富なベテラン、それも国外のビッグクラブに行った(元)フランス代表のスター選手たちに狙いを定めている模様だ。レキップ紙などによると、候補に挙がっているのは、テュラム(バルセロナ)、マケレレ(チェルシー)、ヴィエラ(インテル)、ビルトール(レンヌ)、ピレス(ビジャレアル)、クペ(リヨン退団が決定)、ジュリ(ローマ)といった錚々たる顔触れ。いずれも現役最後のプレー先をどこにするか思案中と考えられる選手たちだ。

 中でもジュリは5日、元PSG監督のルイス・フェルナンデス氏がナビゲーター役を務めるラジオ番組(RMC局)にバカンス先のスペインから電話出演し、「フランスに戻りたい」気持ちを明かした。ローマとの契約は2010年まで残っているが、契約には移籍を認める条項が含まれている。間もなく32歳になるジュリの移籍金はそこまで高額にはならない見通しだ。

 ジュリは最近、カタールのクラブから条件のよいオファーを出されたが断っている。希望は「高いレベルで、レギュラーとしてあと2、3年プレーすること」で、金銭を第一には考えていない。PSGにとってはまさに“狙い目”の選手となる。ジュリのPSG入りが決まれば、ロテンとともにモナコが04年チャンピオンズリーグで準優勝したときの左右の中盤が再現されることになる。この中盤でPSGがUEFA杯(リーグ杯勝者として出場権を獲得している)を戦うとなれば、他の“大物”選手たちを呼び込む好材料となり得る。