iPhoneがSoftBankから発売されるという報道が流れた後、発売前から早くもネットでは「iPhoneは売れる」「iPhoneは売れない」と意見が分かれている。

「売れない」意見 http://news.livedoor.com/article/detail/3670592/
「売れる」意見http://japan.zdnet.com/sp/feature/softbank-iphone-2008/story/0,3800087060,20374728,00.htm

ここで筆者の見解を述べさせていただければ、「一定層には売れる」ことだけは確実で、それがAppleなりSoftBankなりの販売目標を超えるかどうかという点だけである。

というのも、「ケータイ」という世界が、技術というよりは信仰の世界だからである。

現在、ケータイと一言で括られる製品には、いわゆる純然たる携帯電話と、スマートフォンと呼ばれる製品がある。前者のルーツは車載電話であり、後者のルーツはPDA(電子秘書)である。

携帯電話の中心になっているユーザー層にとって、ケータイとは「誰かとつながっているためのツール」である。恋愛や友人関係を豊かにし、iModeや着うたフルなどの文化を楽しみ、ゲームを楽しむ。これがこの層のライフスタイルである。

これに対して、スマートフォンのユーザー層は、かつてPDAで情報管理をしたり、パソコンのデータを持ち出したり、屋外でインターネットを楽しんでいた人々が多い。
この層の多くは、PDAに通話機能がなく、別途携帯電話を持たなくてはならない不便さを忍び、やがてPDA自体が衰退していった後、通話機能付きPDAであるスマートフォンに、かつての夢を再現させているのである。

この両者は、ライフスタイルから発想から大きく異なっており、文化的交流はあまりない。例えていえば、仏教徒とキリスト教徒のようなものである。

そして今回のiPhoneであるが、信仰の現場を見るに、まずメーカーであるアップル社の信者がいて、これにスマートフォン信者と、携帯電話信者がどれだけ参入するかということであろう。
予想としては、アップル信者の一部と、スマートフォン信者の一部、そしてディープなiPodユーザーが購入に走ると思われる。

それがどのくらいの数になるかは予想できないのであるが、少なくとも「売れる」「売れない」は、メーカ及び販売会社の売り上げ目標を超えるかどうかという次元での勝負になるだろう。

爆発的なヒットになるかどうかについては、先進ユーザーが、iPhoneで新しいライフスタイルを築けるかどうかにかかっているだろう。

iPhoneについては、ライフスタイルの問題とは別に、PC及びケータイの入力インタフェースとしてタッチスクリーンが普及するかどうかという問題もあるだろう。
NTTドコモも、プラダケータイやSH906でタッチスクリーンを採用しており、PC分野では次期Windowsでタッチスクリーンが採用される予定である。

ケータイの小さいテンキーを凄い早さで押してメールを打っている若者をみるにつけ、タッチスクリーンへの移行には、色々と混乱が伴うであろうなぁと思う次第である。

(編集部 真田裕一)