インテルの次期監督にジョゼ・モウリーニョが、年俸900万ユーロの3年契約をもって就任するのは既定事実ながら、29日現在クラブからの正式アナウンスはなされていない。同日午後に「前監督マンチーニは3月のリバプール戦後の辞任発言騒動によって解任された」というコメントが出されたのみだ。インテルは、何ゆえモウリーニョ就任を発表できないのだろか。

 理由は、欧米の契約社会の仕組みによるものだ。手取り年俸600万ユーロ(約9億6000万円)を稼いでいたマンチーニに代理人、顧問弁護士がいるのは当然。マンチーニが交わしていた契約の期間はあと4年残っている。総額40億円近い一大ビジネスだ。

 わずか25分間に終わった火曜日のモラッティ会長との直接面談で解雇を言い渡されたマンチーニ側は当然、解雇に対する違約金を即刻請求している。代理人側は「契約がなされた時点でクラブ側が解雇した場合の条項は特記されておらず、今回のように解雇の場合、残り契約期間4年間の年俸は全額支払われるべきだ」と主張している。
 場合によっては法廷闘争にもつれ込む恐れがあり、クラブ側はそれを怖れている。解雇の違約金額500万〜700万ユーロの間で駆け引きが行われており、それが決着するまではモウリーニョ就任の正式発表はできない、というのが真相なのだ。