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崩壊する「バイオ燃料神話」

2008年05月27日06時08分 / 提供:PJ

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崩壊する「バイオ燃料神話」
25日、穀倉地帯茨城に迫る麦秋。「食えるモノを燃す」などという愚行を、地元出身の元農水相・赤城徳彦氏が反対するのが本筋だったはず。バンソコウ大臣と揶揄(やゆ)されるだけでは、選挙民もたまったもんじゃあない。(撮影:今藤泰資)
脱炭素化社会の急先鋒として脚光を集めてきた「バイオ燃料」。その栄光にかげりが出始めた。バイオ燃料は、課題の多い化石燃料からの脱却と、CO2削減にも貢献する最新鋭の手法と評価され、期待されてきた。ところが最近、供給力への不安や、事業の経済性、カーボンニュートラル(炭素中立:CO2排出と吸収がプラスマイナスゼロのこと)への疑問に加え、食糧危機という難題にぶつかったのだ。化石燃料の牙城を崩すのはバイオ燃料とする公式は、もはや過去の遺物となったといっていい。

 いや、話題に上る以前から、バイオ燃料は「廃木材や木くず、剪定枝、廃食用油を利用するなどリサイクル効果がある」とする学者や関係者の意見が多かった。リサイクル効果を前面に押し出したのは、難題を抱える新燃料への不安をかき消そうとする表現だったのだろう。政府の施策には、経産省の「バイオ燃料の導入支援」や「導入に向けた制度整備」「品質確保や徴税公平性」などがあり、一方、農水省では「耕作放棄地の有効利用」「未利用廃棄物の利活用」「新産業の創設」などがメニューとしてあるほか、07年より、企業、研究者等への助成策が始まった。省庁間での統一的見解がないのは、洞爺湖サミット開催国としてのリーダーシップが疑問視されるところだ。

 25日、自動車燃料の10%をバイオ燃料でまかなうとしたEU27ケ国の環境目標について、『現時点では持続可能な形でのバイオ燃料の生産は困難として欧州議会の委員会が10%目標を削除し、修正案をまとめたことが分かった。地球温暖化防止で世界をリードするEUの議会が目標取り下げに動いたことで、国際的な食糧価格高騰を受けたバイオ燃料見直し機運がさらに高まりそうだ』と毎日新聞(24日)が伝えた。また、洞爺湖サミットのプレイベントとして神戸市で開催された「環境G8」の初会合では、生物多様性の討議が行われ、『森林減少とバイオ燃料の因果関係が焦点となった』と読売新聞が伝えた。当然のことだ。

 世界的な規模で、「バイオ燃料向け食糧生産」を第一義にした結果、生体系を破壊し、温室ガス効果のある森林破壊をまねき、さらに食物価格の高騰を促進したのである。すでにPJニュースでは、バイオ燃料への不安を、PJニュース記事などで伝えてきた。単純に言い換えれば、貴重な資源の一つである食物を、「燃して使うな」ということになる。多少の不便があっても、燃料不足で即座に人が死に絶えることはない。

 1994年に発表された、写真家ケビン・カーターの「ハゲタカと少女」を記憶される方が多いはずだ。旱魃(かんばつ)と内戦の続いたスーダンで、いたいけな少女が飢餓で倒れ、その死を背後で待つハゲタカの写真は多くの人々の胸を打った。現在進行中の世界的食糧危機は、「世界でおよそ8億5000万人が栄養不良や飢えに苦しんでいます。そのうち3億5000万人以上が子どもたちです。飢えを原因として毎日、5歳未満の子ども1万8000人を含む、2万5000人が命を落としています」とするのが、WFT(国連世界食糧計画)だ。飢餓で亡くなる4分の3は、5歳未満の子供たち。5秒に1人の割合で子供たちが飢餓で亡くなり、約8億5000万もの人々が飢餓と栄養失調で苦しんでいる。わたしたちは自動車用燃料を確保するため、悲惨な現実に目をそらすべきではない。

 人類の知恵は、人類そのものの生存を起点とし、そこから発生する課題を整理せねばならない。為政者は、地球規模で起こされる課題解決のプライオリティーを見間違ってはならない。今に生きる学者であれば、多方面への配慮を思案せねばならないのだ。もはや大豆だトウモロコシだ、ヒマワリなどと騒ぐべからず。「バイオ燃料神話」は誤った価値観だと認識すべきだろう。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資

関連ワード:
神話  バイオ燃料  食糧危機  自動車  プラスマイナス  
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