児童ポルノの単純所持禁止について、今月22日に自民党と公明党は「違反した場合は懲役または罰金の処罰規定あり」という方向で法案化作業を急ぐことにしており、対して民主党は「みだりに収集、または有償で取得した場合」に限定するそうですが、既に児童ポルノ画像を勝手に保存するウイルスや、児童ポルノ単純所持を検知して関連機関に通報するウイルスが実在しています。

このウイルスの活動の詳細などは以下から。
■児童ポルノ画像を勝手に保存するウイルス「MELLPON」(メルポン)


TROJ_MELLPON.A - 詳 細

このウイルスはいわゆるトロイの木馬型で、2005年に「山田ウイルス」と最初に呼ばれていたもののオリジナル。このウイルスを改良したウイルスが山のように発生していますが、オリジナルである「TROJ_MELLPON.A」は感染すると以下のような挙動を示します。

実行されると、不正プログラムは、自身と同じ名称のフォルダを作成します。このフォルダには、違法なポルノ画像が含まれており、サイズは約4.46MBです。

この「違法なポルノ画像」というのがなんと児童ポルノ画像であると以下の記事で報道されています。

2ちゃんねるに書き込む“山田ウイルス”にトレンドマイクロが対応
MELLPON.Aに感染すると「mellpon」というフォルダがPC内に作成される。mellponフォルダには約4.46MBの児童ポルノ画像が保存されているという。

当然ながらこの児童ポルノ画像の種類はウイルス作者がちょっと工夫すればいろいろなものに変更可能であり、単純所持が違法化された場合にはおそらく画像の保有枚数などで「みだりに性的な興味を持って」保存していたかどうかが問われるはずなので、かなり微妙なラインになるかもしれません。

ちなみに海外では「保存していたという形跡が残っていた」だけで逮捕されて裁判が起こされて有罪になっているため、「ウイルスに感染しただけなので単純所持にはならない」という主張もどこまで通用するかわかりません。

■児童ポルノ単純所持を通報するウイルス「Noped」(ノープト)


日本F-Secure株式会社 : ウィルス情報 Noped.A

VBS.Noped.A@mm - Symantec.com

このウイルスはVBスクリプトで書かれたワーム型であり、ある条件のファイル名に合致したJPEGファイルのリストを政府機関に通報するそうです。問題はその「ある条件」で、厳密には児童ポルノ画像によく使われるファイル名かどうかを検知するとのこと。

児童ポルノを探索して通報するワーム、現れる(SARC)
Nopedワームが埋め込まれた電子メールの件名は、"FWD:違法児童ポルノ撲滅にご協力下さい"とあり、その本文には"すぐに添付されている文書をご覧下さい"と記されている。

児童ポルノを見つけて通報するワーム『ノープト』 | WIRED VISION
警告メールには、感染したハードディスクをワームが探索して発見した児童ポルノの疑いのあるファイルのうち、どれか1個のコピーが添付されている。また、児童ポルノ所有者の電子メールアドレスも通報する。

ノートパッドに表示されるテキストファイルには、児童ポルノの法的な定義に関する情報が書いてあり、17歳以下の子供の性的にあからさまな写真はどんなものでも児童ポルノであると警告されている。そしてワームに感染したマシンのユーザーに、このような画像の所有や送信を行なうと、どういう刑罰が待っているかを伝えている。

このウイルスの挙動が正しいと感じてしまうのであればそれはかなり危険です。というのも、「目的は手段を正当化する」のであれば、それこそ何をやってもいいという話になり、いくらでも拡大解釈が可能になるため。そのためにウイルスを作ってばらまくというのであればもう本末転倒も甚だしいわけです。しかも児童ポルノ画像を検知すると言っても単純にファイル名で調べているだけなので当然誤報もあり得ます。もしかすると将来的にはより正確性を期すため、より高度なアルゴリズムで児童ポルノ画像を発見するという亜種が出現する可能性も否定できません……。

児童ポルノ画像の単純所持がこれらの悪質なウイルスの仕業であることを証明できれば無実になるのでしょうが、どうやって証明すればいいのでしょうか……これまで以上にセキュリティに気をつけないと自分の人生が一瞬のうちにして崩れ去る可能性が大です。

・関連記事
9歳の少女が奴隷として50ドルで売られている - GIGAZINE

児童ポルノの単純所持禁止にアニメ・マンガ・ゲームは含めるべきか否か? - GIGAZINE

「準児童ポルノ」に関する公開質問状 - GIGAZINE

「青少年インターネット規制法案」にヤフーとマイクロソフトと楽天などが共同で「反対」を表明 - GIGAZINE

「青少年インターネット規制法案」が成立すると、日本のネットは完全に死ぬ - GIGAZINE


記事全文へ