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多摩川下流域の大雨のあと マンションとホームレス小屋の光景から

2008年05月22日07時06分 / 提供:PJ

pj
多摩川下流域の大雨のあと マンションとホームレス小屋の光景から
20日未明の大雨でJR東海度線と京浜東北線が朝のうち運転を見合わせたが、昼近くには運転再開。多摩川下流域で。(撮影:伊藤昭一、20日) 写真一覧(5件)
20日未明の関東地方を襲った大雨でJR東海度線と京浜東北線が一時運転を見合わせたが、昼近くには運転再開した。そこで、東京都大田区と神奈川県川崎市の境界になっている多摩川下流域の様子を観察に行ってみた。ちょうど東京湾の引き潮にあたっていたらしく、流れは速いが水量は思ったより少ない。

 両岸の光景は対照的である。大田区側は、河川敷を公園にしてトイレや水道などの施設があるだけ。その施設を生活に取り入れたホームレス小屋が点在する。一方の川崎市側は、新しい高層マンションが立ち並び、現在なお建設中のものがある。その間にホームレス小屋も見受けられる。

 川崎市側には、大田区側では見ることのないものが、まだあった。それは「高規格堤防(スーパー堤防)特別区指定について」という立派な表示台である。そこには、多摩川河口から上流の日野橋までは、高規格堤防(スーパー堤防)整備対象となっていることや、スーパー堤防が完成すると、この地域の特別区域は、河川地域の厳しい規制が緩和され、通常の土地利用ができることが説明されている。

 このスーパー堤防建設は、まだ進行中のようだ。岸辺に近いところでのマンション建設と堤防工事が同時進行している様子だ。工事の進行に合わせてホームレス小屋は、移動させられるのかも知れない。すでに完成しているマンションの裏庭は川沿いの土手に迫っており、土手下などの周辺にはホームレス小屋は建ちにくい環境である。

 前述のスーパー堤防に関する表示によると、この堤防方式は、1)大都市地域の氾濫に関する大切な備えであること、2)水と緑に囲まれた快適な町づくりをする、3)土地を有効利用できるなどを目的としている、とある。

 東京都福祉保健局が今年1月に実施した路上生活者数調査によると、「23区の路上生活者数は、調査を開始した平成6年度以降最も少ない、前年同期比791人減の2611人となっている。区別では、墨田区の199人減をはじめ、台東区や新宿区でも減少し、施設別では、都立公園及び都管理河川での減少が顕著」としている。

 その理由は、「平成12年度から都区共同で取り組んできた自立支援システムの効果に加え、平成16年6月から実施している地域生活移行支援事業により、平成20年1月末時点で1845人(内平成19年2月〜平成20年1月までの間は、451人)の路上生活者がアパートへ移行した成果等によるものである」と、説明している。

 ところが、現実には東京都側の多摩川河川敷ホームレス小屋は、この調査概要とは裏腹に増えているというのが近隣住民の声である。この食い違いは、多摩川、浅川、荒川、江戸川などが、国管理河川分(国土交通省)で管轄外となっているためらしい。自由な生活に慣れた結果、拘束される支援を拒んで河川敷にくるホームレスもいるのではないだろうか。

 ちなみに、ロシアの革命家バクーニン(1814〜1876)は、マルクスの唯物史観を認めながら、そのプロレタリア階級独裁の革命論を痛烈に批判し、人間的自由の価値を執拗なまで追求した。「『国家は、たとえそれが十回も人民国家と呼ばれようとも、またそれが最も民主的な形態をもって粉飾されようとも、プロレタリアートとにとって必然的に牢獄になろう』と彼は『国家性とアナーキー』のなかで書いている」(講談社・人類の知的遺産49巻「バクーニン」勝田吉太郎著より)。

 さらに著作「神と国家」には、こう記す。「国家は、依然として人間の意志の合法的強制者であり、その自由の恒常的な否定者なのだ。国家が善を命令する時ですら、命令するというそのことのために善を毀損(きそん)させ無価値なものにしてしまう。(Euvres,I,p.288)」(前掲書より)。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 昭一

関連ワード:
マンション  ホームレス  大雨  神奈川県  トイレ  
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