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いま「鬼軍曹」が必要な時代、角界の暴力事案に思うこと

【PJ 2008年05月21日】− 角界でまた暴力事案が表沙汰(ざた)になった。昨年6月、時津風部屋で師匠が兄弟子に指示して、制裁目的で序ノ口力士を暴行させ死に至らしめた事案はまだ記憶に新しい。今回明るみに出たのは、夏場所4日目(14日)の朝稽古で、協会理事の間垣親方が18歳の序二段力士を竹刀で叩(たた)いてケガをさせたことと、今年1月に十両の豊桜が18歳の序ノ口力士を調理器具の「おたま」で叩いて8針縫うケガを負わせていたことも発覚した。間垣親方と豊桜、そして豊桜の師匠である陸奥親方は日本相撲協会の再発防止検討委員会から厳重注意処分を受けている。さらに18日に行われた夏場所8日目で安馬に敗れた若ノ鵬は、悔し紛れに風呂場の木製棚を右ひじで痛打し破損させるという醜態を演じた。格式を重んじる国技にあって、このありさまには目を覆いたくなる。

 昨年6月の時津風部屋での事件は、始まりは確かに「しつけ」だったかもしれないが、結果的に暴力に成り下がってしまった。生命を奪う「しつけ」などあり得ない。「かわいがり」と呼んでいたそうだが、それが慣習化される中で「しつけ」目的がいつしか見失われて、兄弟子たちの鬱憤晴らしに変化しカモフラージュされたともとれる。間垣親方の事案も、始まりはやはり「しつけ」だったはずだが限度を超えている。他人の目にも異常と映るアザが残るほど殴打する必要はない。

 しかし、ここで「しかし」という言葉を用いなければならない。「しつけ」の限度を超えて暴力事件になってしまったからといって、では体罰をすべて否定して良いかというと疑問が残る。私は「暴力」は明確に否定する。が、体罰に関しては「場合によっては必要」との立場をとる。怒りに任せた体罰はただの暴力だが、真(しん)に相手のことを思い矯正を願う体罰なら許容される。これは批判を覚悟で敢(あ)えて申し上げる。

 もちろん「しつけ」と称していきなり殴打するのは人の道から外れている。まずは言って聞かせて、それでも非行が改まらない場合にのみ体罰という体に痛みを伴う懲罰を与えるのは、親御さんから子供を預かる親方として負うべき責任のひとつであると思う。兄弟子の中にも1人ぐらいは「怖い先輩」が必要だ。その中で適度な緊張感を保ちつつ人間関係や上下関係を学ぶのは、そのときは辛いかもしれないが長い目で見た場合は人格形成においてプラスにはたらく。

 ただし、体罰に及ぶ場合には、それを受ける側が真に己の非を認めて反省していることが前提となる。だからまず「言って聞かせ」が必要になるわけで、いきなり殴打するのはただの暴力であるということだ。

 一般企業でも「怖い先輩」が次第にいなくなっていると聞く。上からものを言えば、パワハラ(パワーハラスメント)だといって反撃される。だから新入社員が大変甘やかされて、社会人としての人格形成ができないという弊害を生む。「しつけ」と「いじめ」を混同してはいけない。その人がいるだけで空気が張り詰めるような、緊張感溢(あふ)れる「鬼軍曹」の存在が必要なのではないだろうか。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 平藤 清刀【 大阪府 】
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