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登山事故の体験者が現地を検証し、安全策を考える=雪峰の八ヶ岳・硫黄岳(2)

登山事故の体験者が現地を検証し、安全策を考える=雪峰の八ヶ岳・硫黄岳(2)
長野県・本沢温泉は、本邦第2位の高所露天風呂がある。目のまえには雪峰の硫黄岳が屹立する。(撮影:穂高健一、15日) 写真一覧(5件)
【PJ 2008年05月21日】− (1)からのつづき。東京を出発した14日は、午前中まで雨だった。八ヶ岳山麓の本沢口に着くころ、予報どおり雨があがっていた。本沢温泉小屋へと向かう。登山道には雪がまばらに残るが、アイゼンは不要だった。

 八ヶ岳・硫黄岳(2760メートル)の南面はやさしい表情の斜面だ。北面は噴火跡の荒々しい断崖絶壁だ。登山口の本沢温泉は、本邦第2位の高所露天風呂がある。(山小屋の資料は第1位と記す)。目のまえは雪峰の硫黄岳の北面だ。屹立(きつりつ)する岩稜には迫力がある。昨年、PJが滑落した地点は切り立つ断崖絶壁だった。

 翌15日は台風一過で、朝から快晴だった。しかし、前日までの降雪で、トレース(雪の道)がすべて消えていた。12爪(つめ)アイゼンを装着し、ピッケルを手にして夏沢峠(2402メートル)に向かう。樹林地帯は根雪と新雪とで、膝頭、時に太ももまでも埋まる。PJの小田さんがトップで、ルートを作ってくれる。きびしいラッセル続きだ。

 昨年4月4日の山頂ルートは、中央線側の美濃戸口から赤岳温泉小屋(1泊)を経由するものだ。硫黄岳の南面から山頂をアタックし、そして夏沢峠から、本沢温泉に下る。その山頂直下で、アクシデントを起こしたのだ。

 今年はその逆の登攀(とうはん)だ。本沢温泉から硫黄岳の北面から山頂をめざす。そして、本沢温泉に帰ってくる、往復ルートだった。常に北面を見た登山だから、屹立する噴火口跡の地形と、昨年の滑落状況を常に重ね合わせることができた。

 昨年のアクシデントの最大ポイントは、装備のアイゼンだった。出発前に、東京・池袋の登山用品店で、八ヶ岳の積雪量を聞いてみた。「山頂とか、樹林帯とかに、まだらに雪が残っているていど。軽アイゼンで充分ですよ」というアドバイスだった。その情報を信じて、軽アイゼンにしていたのだ。

 美濃戸山荘あたりから、アイゼンを必要とする積雪だった。赤岳温泉小屋までくると、地面の露出など一ヶ所もなかった。赤石ノ頭(2656メートル)稜線(りょうせん)に出ると、八ヶ岳特有の突風で、アイスバーンになっていた。

 軽アイゼンは靴裏の踵(かかと)と中央部のみに、尖(とが)った鉄製の爪がある。靴先で立つと無防備で、滑りやすい。靴裏を雪面にフラットに置いても、足の踝(くるぶし)が不安定となり、踏ん張りが弱い。何かの拍子には、全身が支えきれず、よろめいたりする。

 「登山用品店のオヤジよ。知ったかぶりで、いい加減な情報を流すな。生命にかかわるんだ」と、腹立つ。登山情報は、山小屋関係者に直接問い合わせるべきだ。登山者はこれを肝に銘じておくべきだろう。【つづく】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高健一【 東京都 】
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