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今田竜二、初優勝!17年越しの夢が叶った!

今田竜二、初優勝!17年越しの夢が叶った!
日本人として3人目の快挙を成し遂げた今田竜二
【photo by 田辺安啓=JJ】

舩越園子の生ゴルUSA

「すげー、久しぶりに勝ちました!うれしいです!」――米PGAツアーのAT&Tクラシックでケニー・ペリーとのプレーオフを制し、優勝した今田竜二は、開口一番、そう言った。ツアー初優勝なのに「久しぶり」とは、どういう意味かと言えば、彼は二軍のネイションワイドツアー時代の04年(BMWチャリティプロアマ)以来、どのツアーかに関わらず「優勝」という二文字から遠ざかってきた。だからこそ、彼の口からは「初優勝」という言葉ではなく「久しぶりに勝った」という言葉が出てきたのである。

思えば、昨年の同大会でも今田は優勝争いに絡み、プレーオフでザック・ジョンソンに惜敗した。今年、まったく同じ大会で、しかも再びプレーオフ。そして今回は優勝できたことを振り返り、「今まで運命なんてものは決して信じなかったけれど、今は運命ってものがあるのかなあと思い始めている」。そりゃあ、無理もない。「運命」ってものは、やっぱりあるのだろう。

そして、今田の優勝が運命による勝利だったとのだとすれば、運命の分かれ目はプレーオフ1ホール目の18番で第2打をどちらが先に打つかだった。先に打ったペリーの第2打が木に当たって池へ。その様子を自らの第2打地点から眺めていた今田にはボールの行方が見えなかった。「近くにいた人たちが、ピンそばについたとか、池に落ちたとか、いろいろ言っていたんだけど、テレビの人がペリーのボールは池に入ったと教えてくれた。僕の球はラフだったけど深くはなくて、グリーンも狙える状況だったけど、ペリーが池に入れたので僕は刻みました」。もし今田が第2打を先に打つ状況だったら「間違いなく2オンを狙った」と言う。昨年のプレーオフでは左ラフから2オンを狙い、池に落とした。今年は右ラフからきっちり刻み、パーでプレーオフを制した。その差が、彼の運命の分かれ目だった。

同じ大会で2年連続の優勝争いとなったことは、運命や偶然ではない。ジョージア州アトランタ郊外のTPCシュガーローフは「フェアウエイが広いし、ラフも少ないし、グリーンはアンジュレーションがあって速くて難しいけど読みやすい。僕向きのコースです」。相性の良さを実感しているコースだから自信を持って挑めたのだ。おまけに今日の最終日は風が吹き、「僕が得意な難しいコンディションだったから、トップについていけばチャンスはあると思っていた」。なるほど。サンデーアフタヌーンに風が吹いてくれたことは、運命が今田に味方してくれた証しだ。

この優勝により、今田はフェデックスカップポイントで3位に躍り出た。押しも押されもせぬトッププロの仲間入りだ。今季の残り3つのメジャー(全米オープン、全英オープン、全米プロ)はもちろんのこと、来年のマスターズの出場権も得た。「まだ今は先のことまで頭が回らないけど、マスターズに出ることは子供のころからの夢だったから、それは何より、うれしい」

今田が口にした「久しぶりに勝った」は、確かに「ネイションワイドツアー時代から4年ぶりの勝利」という意味だ。しかし、私にはこの「久しぶり」に、もっと他の意味が込められていたように思えてならない。今田は広島に住んでいた子供時代にテレビでマスターズを観戦して自分もマスターズに出ようと心に決めた。14才で「アメリカへ行こう」と決め、単身で海を渡った。ジョージア大学時代は外国人ならではのゴタゴタに巻き込まれ、試合から遠ざかったこともある。ジュニア時代はタイガー・ウッズと伍して戦っていたのに、気がつけばタイガーは「時の人」となり、自分は二軍ツアーで5年を過ごした。やっとPGAツアーにたどり着いて4年目の今年、ついに初優勝をつかんだ。渡米時から数えれば、すでに17年が経過している。日本よりアメリカで生活した年月のほうがもはや長くなった彼にとっては、実質的な勝利が二軍時代以来4年ぶりということより、渡米を決意したときからマスターズ出場を決めた今日までの17年の年月のほうが、ずっとずっと重いだろう。だから、彼の「久しぶり」には「久しぶりに想いが叶った。夢に大きく近づいた」という意味合いが込められていたように思える。

グリーンサイドで妻の香苗ちゃんが泣いていた。昨年、プレーオフで敗れたときは、駆けつけた我々に「ごめんなさい」と謝っていた。今年は「ネイションワイド時代の昔の思い出が急によみがえってきて、ワーッと感情が込み上げちゃいました」。

「マスターズに出る」という夢を目指し、苦しみながら17年を過ごしてきた今田のこの優勝は、「マスターズで勝つのが夢」と語っている石川遼や石川を取り巻く大勢の日本人関係者にとっても大きな意味をもたらすだろう。

うれしさと疲れが入り混じり、ちょっと奇妙なテンションだった今田は「今は何も考えられないし、まだ実感がない」。今夜はゆっくり眠って、マグノリアレーンをくぐり抜ける夢を見てほしい。いやいや、そんな夢を見る必要はないのだ。もう、それは現実になるのだから――今田竜二選手、本当におめでとう!(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)


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