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末端まで浸透した物価上昇により、中小企業は瀕死状態に

 世界中で物価が上昇しています。今回は物価上昇の中小企業への影響を取り上げます。少し前までは中小企業が物価上昇の防波堤となり、我々消費者は物価上昇を感じることはありませんでした。しかし今、その防波堤が決壊寸前になっているのです。(バックナンバーはこちら

■物価上昇と戦う中小企業

 現在、世界中で物価が上昇しています。石油、石炭、鉄鉱石などの鉱物資源や小麦、大豆など食料品の値上がりが加速しています。その影響で、中国をはじめとするアジア諸国では5%以上、欧米諸国では3%〜5%消費者物価が上昇しているのに対し、日本の消費者物価の上昇率は1%以下と世界の中で極端に低くなっています。いったい何が起きているのでしょうか?

 何も日本だけ特殊な物価維持政策がとられているわけではありません。実際に日本でも物価は著しく上昇しています。ただしこれは企業向け物価の話で、石油や鉄鉱石など原材料は年率20%、石油製品や鉄材などの中間財は年率5%程度値上がりを続けています。

 我々一般消費者が値上がりを感じないのは、これらの値上がりが企業間取引の過程ですべて吸収され、衣服、自動車などの最終財の値段が上昇しなかったからです。

■値上げを転嫁できず値上がり分は自己負担

 仕入れ値が上昇する中、皆ボランティアで値上がり分を小売価格に転嫁しなかったわけではありません。団塊の世代の引退や非正規雇用の増加などの要因で消費者の購買力が弱まったこと、そしてバブル崩壊後10年以上大きな物価の上昇がなく、「物価の上昇」に対する消費者の心理的な壁が高かったことなどの要因により、だれも小売価格を上げることができなかったのです。

 原材料費や中間財の値上げ分は「企業努力」という形で企業の自己負担になってきました。「企業努力」といっても魔法があるわけではなく、人件費、管理費など、「乾いた雑巾を絞る」ような徹底したコストの削減が行うことで、原材料の値上げ分を吸収してきたのです。

■中小企業ほど値上げできず

 値上げ分を小売価格に転嫁できるかどうかは、一重にその会社の価格支配力に拠ります。

 大手スーパーマーケットに豆腐を納入している小規模豆腐業者が、原料である大豆価格の上昇分をスーパーへの卸売り価格に転嫁できるでしょうか? また小規模自動車部品メーカーが、部品の材料代の上昇分の値上げを、納入先の大手自動車会社と交渉できるでしょうか?

 答えは「No」です。つまり、企業の規模が小さいほど、取り扱っている品物が汎用品であるほど、消費者との距離が近くなればなるほど値上げは難しくなり、原材料高の影響を受けてきたのです。


課長 今調査役[著]

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