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文芸同人誌の即売会「文学フリマ」は、さらなる拡充へ=東京
写真家・荒木経惟氏のインタビュー記事を載せた雑誌「spore(スポア)」5号をPRする蜂谷朋子さん(左)と山名美穂さん。「春の文学フリマ」会場(東京・秋葉原)にて。(撮影:伊藤昭一、11日) 写真一覧(5)
「文学フリマ」は、ボランティア運営組織による「文学」限定の文章系同人誌即売会。これまで年1回だけ11月に開催していた。例年200件を超える出店希望者・団体があるが、会場の都合で158ブース程度しか設営できず、抽選で参加者を決めていた。昨年秋の「第6回文学フリマ」では、申込件数が245件に対し、抽選漏れが80件以上もあっため、抽選漏れした出店者が優先的に出店できる春の文学フリマを開催したもの。
同人誌のフリーマーケットというとコミック(マンガ)系が多いが、文章で表現する文芸同人誌のフリーマーケットはそう多くない。そのなかで「文学フリマ」は、流行作家となった桜庭一樹氏なども、直木賞を受賞する前に参加している。もっとさかのぼれば、現在文芸界で活躍中の若手作家・佐藤友哉、西尾維新、舞城王太郎の各氏も第1回の参加者であった。マイナーな同人誌からメジャーへの登竜門となった実績もある。
会場の出店ぶりを見ると、発行のスタイルは、市販もされている有名大学の出版物や個人手作りホチキス止めのもの、グループ発行のつやのあるコーティング表紙雑誌まで多彩。内容も純文学、ライトノベル、ファンタジー、SF、詩、短歌など種々雑多である。
例えば、野田吉一さん(67)は、短編連作「幻魚水想記」を手作りして、第1回開催時より参加。作品を5円で販売し、いつも完売してきた。文芸雑誌「群像」で、発起人の評論家・大塚英志氏が「文学フリマ」の開催を呼びかけた時に、ハガキですぐ応募したという万年文学青年である。もちろんネットはやらない。「私の作品の5円は世界一価値のある5円でしょうね」と笑う。内容は、風刺的なユーモアを純文学的に表現する短編の読者は、累計で300人を上回る。一人での同人誌が「これだけ有料購読者を獲得するのは、文学フリマなくしては考えられない」と語る。
もっともこれは例外で、出店者の多くは、ネットで情報提供し、事前に「文学フリマ」への入場をPRしている。文芸+アートの雑誌「spore(スポア)」5号(http://www.spor-e.com/)をPRする蜂谷朋子さんと山名美穂さんは、口をそろえて「5号では、花の本質の理解をしようとしました」と語る。タイトル「花とエロスと」で写真家・荒木経惟氏のインタビュー記事を載せ、メジャーテイストの風格をもつ。その他、ネットで知り合った文芸仲間で同人誌「一粒の麦」から「五粒の麦」までを発行する「蛇の骨」グループ。大気杜弥さんは高校時代に構想したファンタジーの世界「アリューザ・ガルド」をネットで公開(http://www.t3.rim.or.jp/~y-tommy/)、5年かけて小説本にした。24年の実績をもつ純文学系同人誌「木曜日」(http://www.geocities.jp/hiwaki1/doujin/kakushi/mokuyoubi.htm)は、評論家の上野昂志氏を師とするグループで、出店担当のよこいさんは「今日は、わが師も来場してくれました。先生は、会場でサインを求められていました」とグループのパワーアップぶりを喜んでいた。
その一方、前述のように抽選漏れを多く出してしまうのが、運営側の悩みである。これについて、文学フリマ運営事務局の望月代表は、「今年は、11月9日(日)に、今回と同じ秋葉原の会場で開催するので年2回となります。さらに来年5月には、約300ブースが可能な会場として蒲田のPIO(東京・大田区)での開催を決めています。これで出店希望者全員が参加できるのではないかと考えています」と、さらなる拡充策を語っていた。【了】
■ 関連情報
文学フリマ事務局
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パブリック・ジャーナリスト 伊藤 昭一【 東京都 】
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