【加部究コラム】クラブの生命線は監督選びにある
2008年05月16日14時14分 / 提供:FOOTBALL WEEKLY
千葉が新監督を迎えた初戦で、今シーズン初勝利を挙げた。アレックス・ミラー監督は、スコットランド代表ではロクスバーグ、リバプールではジェラール・ウリエ、ラファエル・ベニテスと名将たちの参謀を務めてきた経歴を持つので、今後どう改革していくのか注目される。
特に欧州の現場から監督を招聘するメリットは、トップシーンで通用するノウハウを導入できることだ。一方で選手の側もそれを期待しているから、信頼して従い易い。最近は平気で「日本人の監督じゃあね」と、フロントに不平を漏らす選手も少なくないそうなのである。
Jリーグも15年目を迎え、そろそろ各クラブともに強化の最短距離が、優れた監督の招聘だと気づき始めているはずだ。初期の頃ならヴェルディ川崎を支えたネルシーニョの優れた視点や、劇的な若手起用で横浜Mに流れを呼び寄せたソラーリなどが目立ったが、何より衝撃的だったのは、それまでお荷物だった名古屋を急変貌させたベンゲルの手腕だった。
コンパクトで高いゾーンを設定し、持ち駒を見事に輝かせる采配は水際立っていた。そして最近では、千葉のオシムや大分を救ったシャムスカ、さらには昨年大逆転で鹿島にタイトルをもたらしたオリヴェイラなどが実力を見せつけた。
ただし監督の人選が難しいのは、いつ、どのレベルで、どんなチームを率いても確実に結果を出す監督というのは、非常に稀だということだ。アマチュア時代には名教師として多大な貢献してきたオフトも、プロの時代が進むと限界を晒した。
今年退任したオジェックも、浦和がリーグの下位で低迷している頃には、堅守からカウンターで勝ち点を拾い上げるスタイルが効果的だったが、屈指の戦力を誇るチャンピオンチームに変貌した今では、個人頼りの退屈なサッカーとのレッテルを貼られることになった。
千葉で名GMと賞賛された祖母井氏も、オシムに辿り着くまでには、フェルシュライン、エンゲルス、ザムフィール、ベルデニック、ベングロシュと模索を繰り返している。あるいは欧州で屈指の名将として知られるカペッロも、母国イタリアでミラン、ローマをスクデットに導き、レアル・マドリーには2度も優勝をもたらしたが、攻撃的スタイルを標榜する伝統にそぐわないと解任させることになった。
つまりGMや強化担当は、自分のチームの状況や目標、指針を明確にして、それに適した監督を探し出してくる必要がある。
例えば、浦和なら、どんなスタイルで戦っても国内では優勝争いに加われる。だがアジアで勝ち、さらに世界標準を目指すなら、それに相応しい指揮官が要る。浦和の戦力は国内では突出している。だが当然のごとく、欧州や南米のトップクラブに比べれば見劣りするわけで、その差を埋めるのは頭脳だということになる。
またこうした舞台で真剣勝負を挑むには、対戦相手の知識も備えていた方がいい。日韓W杯で韓国を率いたヒディンクは、どの選手にはどんな挑発が有効か、まで指示しているのだ。
そして同じ論点から、日本代表もW杯でベスト8やベスト16以上を目指すなら、やはり欧州の水準を知悉している指揮官が望ましい。よく日本協会は、代表監督の条件に「日本の状況をよく知っていること」を挙げるが、それはまったくナンセンスだ。むしろ欧州水準を心得た監督の視点で、日本の選手たちも見極めてもらう方が得策だ。(了)
・五輪オーバーエイジ枠に待った
・独自性の見えない岡田監督
・中庸の岡田
・何のためのキャッチフレーズか
・指導者の適性カテゴリー
特に欧州の現場から監督を招聘するメリットは、トップシーンで通用するノウハウを導入できることだ。一方で選手の側もそれを期待しているから、信頼して従い易い。最近は平気で「日本人の監督じゃあね」と、フロントに不平を漏らす選手も少なくないそうなのである。
Jリーグも15年目を迎え、そろそろ各クラブともに強化の最短距離が、優れた監督の招聘だと気づき始めているはずだ。初期の頃ならヴェルディ川崎を支えたネルシーニョの優れた視点や、劇的な若手起用で横浜Mに流れを呼び寄せたソラーリなどが目立ったが、何より衝撃的だったのは、それまでお荷物だった名古屋を急変貌させたベンゲルの手腕だった。
コンパクトで高いゾーンを設定し、持ち駒を見事に輝かせる采配は水際立っていた。そして最近では、千葉のオシムや大分を救ったシャムスカ、さらには昨年大逆転で鹿島にタイトルをもたらしたオリヴェイラなどが実力を見せつけた。
ただし監督の人選が難しいのは、いつ、どのレベルで、どんなチームを率いても確実に結果を出す監督というのは、非常に稀だということだ。アマチュア時代には名教師として多大な貢献してきたオフトも、プロの時代が進むと限界を晒した。
今年退任したオジェックも、浦和がリーグの下位で低迷している頃には、堅守からカウンターで勝ち点を拾い上げるスタイルが効果的だったが、屈指の戦力を誇るチャンピオンチームに変貌した今では、個人頼りの退屈なサッカーとのレッテルを貼られることになった。
千葉で名GMと賞賛された祖母井氏も、オシムに辿り着くまでには、フェルシュライン、エンゲルス、ザムフィール、ベルデニック、ベングロシュと模索を繰り返している。あるいは欧州で屈指の名将として知られるカペッロも、母国イタリアでミラン、ローマをスクデットに導き、レアル・マドリーには2度も優勝をもたらしたが、攻撃的スタイルを標榜する伝統にそぐわないと解任させることになった。
つまりGMや強化担当は、自分のチームの状況や目標、指針を明確にして、それに適した監督を探し出してくる必要がある。
例えば、浦和なら、どんなスタイルで戦っても国内では優勝争いに加われる。だがアジアで勝ち、さらに世界標準を目指すなら、それに相応しい指揮官が要る。浦和の戦力は国内では突出している。だが当然のごとく、欧州や南米のトップクラブに比べれば見劣りするわけで、その差を埋めるのは頭脳だということになる。
またこうした舞台で真剣勝負を挑むには、対戦相手の知識も備えていた方がいい。日韓W杯で韓国を率いたヒディンクは、どの選手にはどんな挑発が有効か、まで指示しているのだ。
そして同じ論点から、日本代表もW杯でベスト8やベスト16以上を目指すなら、やはり欧州の水準を知悉している指揮官が望ましい。よく日本協会は、代表監督の条件に「日本の状況をよく知っていること」を挙げるが、それはまったくナンセンスだ。むしろ欧州水準を心得た監督の視点で、日本の選手たちも見極めてもらう方が得策だ。(了)
加部究(かべ きわむ)
スポーツライター。ワールドカップは1986年大会から6大会連続して取材。近著に『サッカー移民』(双葉社刊)。
加部究コラム一覧スポーツライター。ワールドカップは1986年大会から6大会連続して取材。近著に『サッカー移民』(双葉社刊)。
・五輪オーバーエイジ枠に待った
・独自性の見えない岡田監督
・中庸の岡田
・何のためのキャッチフレーズか
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