2008年5月12日北京時間の14時28分に、ほぼ全中国で感じた地震があった。13日北京時間の16時現在、中国政府が公表した死亡者数は、9219人にのぼった。しかし、地震発生後の震源地やその周辺の立ち入りはまだほとんど出来ていない中、通信もかなり打撃を受けており、復興にともなって死亡者数は今後も増える恐れがある。

   省都の成都市からわずか百キロあまり離れたブン川(ぶんせん)県では、今度の震源地であり、13日現在も交通などは遮断されている。震度7.8の地震は、いきなりやってきた。三分の一の住宅は完全に倒壊したが、三分の一は半ば倒壊の状況であると言われている。

女性や子供に簡易住宅を譲り、市民に感謝される

   48万平方キロメートルの面積を有する四川省は日本全国より大きい。人口も正式に統計では8321万人であるが、実質は1億人を超え、日本の総人口とそう変わらない。山間部も多く、かつては「蜀道難、難於上晴天」(四川省への道は歩きにくく、天に昇るより難しい)とも言われている。

   成都市400万人の住民は12日は一晩住宅の外で過ごした。日本の場合、住民は、避難のために学校などの公共施設に行くが、今回の地震は学校の被害も相当ひどかった。あまり資金のない教育機構には、十分な予算をもらって校舎を作れないし、区役所や市役所などの公共施設は確かに立派であるが、設計の段階から避難施設兼用のアイディアはなかった。災害に会うと、市民は行く場も失ってしまう。今回はむしろ出稼ぎ労働者の簡易住宅がたいへんな人気が出ている。成都の東郊外にある出稼ぎ労働者は、女性や子供に簡易住宅を譲り、市民に感謝されたという。

   テレビなどの番組は、震災となると、ほぼ中央テレビの番組一つだけとなってしまう。四川のローカルチャンネルに合わせても、出てくるのは、中央テレビの番組の転送だけであり、特別な情報はない。四川省の場合、数多くのテレビ局を持っていながら、独自の放送を行なうことはしない。中央テレビには電話取材のシーンしかなく、大震災の関連画像はきわめて少ない。

   インターネットではかなりの写真は出ているが、ブン川などの震源地から発信されたものはほとんど見つからない。

トヨタ、神戸製鋼とも負傷者なし

   四川省の特別な交通事情により、テントなどは道路からの輸送はたいへん困難であり、解放軍の軍用機などを使って緊急に輸送しようと中国政府は考えている。

   地震発生後、温家宝首相はすぐ専用機で四川に赴き、陣頭で指揮を取っている。解放軍、警察なども動き出しているが、13日正午に1300名の解放軍は、震源地のブン川市内から20キロ離れた郊外まで進めたが、その後の状況は不明。ブン川県はパンダの生息地であるが、その状況については中国のインターネットではほとんど触れていない。

   四川省成都市にトヨタ自動車の組み立て工場があるが、J-CASTの取材に対して、トヨタ(中国)投資有限公司の広報部は、現在設備はストップしているが、負傷者の情報はないという。また、神戸製鋼の建機企業も12日夜の情報収集段階では負傷者の情報はないと同社の北京事務所はいう。

   2008年年頭に、中国の南方に50年ぶりの大雪が降り、大きな雪害に見舞われた。その復旧作業が進行中に、今度の四川大震災に再度出遭った。雪害の後に中国の株式市場は暴落した。今回の大震災で上海と深セン(しんせん)株式市場でも四川関連の66銘柄の株式取引はストップしている。震災の経済への影響はまだはっきりしない。

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