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衝撃!! 羽田の鳥居の祟り事件はインチキだった!!
羽田空港の敷地に取り残された鳥居は、“祟る”と言われており、人々から畏怖されてきた。元々、この鳥居は江戸時代から続く地元の穴守神社の鳥居のひとつであったのだが、昭和20年にGHQが羽田を国際空港にするため敷地を買い取り、移転されることになった。そして、昭和20年に行われた移転作業中に不可解な事件が起こった。穴守稲荷の拝殿や他の鳥居は容易に倒されたのだが、問題の赤鳥居を倒す際、ロープをかけて倒そうとしたところ、ロープが切れ作業員たちに死傷者が出てしまった。また、鳥居に手をかけた日にかぎって、飛行機の機器に不良が起こるという異常事態が続いたのだ。
結局、赤鳥居は残されたまま、昭和29年に東京国際空港ターミナルビルが建設された。同時期には滑走路も拡張されたが、この工事中にも死傷者が続出した。また日本エアシステムでは昭和47年函館山で墜落事故が起こってから、毎月3日に会社幹部が、穴守稲荷に参拝するようになり、本社内どころか、整備場、旅客機、ヘリコプターなどに穴守稲荷のお札を貼るようになった。羽田・赤鳥居の祟りは近年まで続き、平成の移転に至ってようやく移動が完了できたというのだ。
確かにこの「羽田の鳥居」にまつわるうわさは昭和のある時期までは事実として語られていた。さらに、一部のムック本や怪談本では「平成の鳥居の移転のとき、作業を受け持った下請けの社長が死んだ」という話が語られているが、この話は事実ではない。平成の鳥居の移転はなんの祟りもなく終わったのだ。実話ではなく、流布話(=都市伝説)として、フォークロアの一環という見地から評価するなら問題はないが、少なくとも実話ではない。
実は筆者は若いころ、この移転作業を請け負った企業・日本通運の社員であった。筆者は移転当時、日本通運関東支店広域営業に主任として赴任していた。この業務は、ゼネコンの鹿島が受注し、日本通運本社重機建設部が鹿島からの依頼を受け、作業を行った。無責任な怪談話では、町のトビが請け負ったように言われているが、この作業は“建設工事”ではない。この作業は“重量物運搬作業”であり、運送業者が請け負う作業であって、そもそも職種が違う。日本通運のアンダー、つまり鹿島からみると孫請けで、玉掛け作業や、クレーンの誘導などでトビが入ることがあっても、トビ関連の企業が一式を請け負うことはない。間違ってもスーパーゼネコンと町の一企業との付き合いはありえない。また特殊な技術を必要とすることから、運送会社でも数社に限られてくる作業であった。
無論、筆者は当時から心霊・妖怪など不思議分野の研究に余念がなかった。故にこの工事にも注目していた。しかも、筆者の直属の上司であったG課長が現場に立ち会ったのだ。作業の翌日、G課長に詳しく聞いたのだが、風がやや強かったというだけで、何も呪いなどなかったというのだ。もちろん、鹿島から仕事を請け負った下請けである日本通運の社長が死んだという事実はない。少なくともこの怪談を、筆者は事実に基づいた怪談とは認めていない。
果たして、この怪談は誰が作り出したものであろうか?昭和に起きた羽田の鳥居にまつわる怪談が、死亡や祟りがなかった平成の移転工事さえも、怪談話に祭り上げてしまったのかもしれない。怪談や心霊スポットは、人々の無意識が生み出すものなのだ。
〈プロフィール〉
やまぐち びんたろう
1966年7月20日、徳島県生まれ。96年学研ミステリーコンテストの優秀賞を妖怪進化論で受賞。以後ドリームスタープロジェクト小説部門、大石りくエッセー、坂本龍馬からの手紙など不思議分野、歴史分野、エッセー分野など各コンテストで11のタイトルを奪取し、プロに転向する。これまで30冊以上の単行本・ムックを刊行。各種オカルト単行本や小説を執筆している。
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