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「後期高齢者医療制度」が家族を壊す

「後期高齢者医療制度」が家族を壊す
政府インターネットテレビで後期高齢者医療制度を説明する舛添要一厚生大臣。同テレビホームページより引用。
【PJ 2008年05月13日】− 今年、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が始まり、後期高齢者が自ら保険料を負担し、受け取る公的年金が一定額以上であれば天引きされるようになった。以前は、健康保険と、老人保健法に基づく医療給付の組み合わせだった。実情は、高齢者の健康保険加入については、子ども世代が扶養者になり、高齢者が被扶養者になるという形態の家族が多かったのではないか。いままでお世話になった親に恩返しをする、いま働いている人間が、いままで働いてくれていた人を支える。それは、お年寄りを敬い感謝する、日本で大切にされてきた良き文化ではなかったか。

 後期高齢者医療制度は、「受益者負担」といえば聞こえはよいが、実際には,お年寄りを一カ所に固めて、お年寄り同士で助け合わせようとする制度ではないのか。もちろん、税を含む公的な資金の投入はあるだろう。しかし、この制度の本質はやはり、お年寄りに自己負担させるという発想にある。医療の支援は、社会福祉の典型である。社会的弱者をみんなが支えるというのが本来のあり方のはずだ。もう働ける体力や精神力がないことも多いお年寄りにむち打つのも無謀であるし、多くのお年寄りが、長生きする過程で、貯蓄を切り崩しながら生活しているだろう。長生きするということは、一面ではリスクでもある。

 たしかに、お年寄りのなかには、やたらと多く病院に通う人もいるだろう。しかし、それにはなんらかの理由があるのではないか。年を取れば健康ではいられなくなり、身体に何らかの問題をもち、それと付き合っていかなければならなくなる。あるいは、この核家族、お年寄りだけの世帯も多い社会状況のなか、安心させてくれる話し相手がほしいのかもしれない。だから、医療費がかかるという点だけに注目するのではなく、いまの日本の社会状況を大局的に見て対策を打つべきなのではないか。

 高齢化は、解決すべき問題ではなく、付き合っていく問題である。医療技術の向上は、人間の寿命を確実に延ばしており、これからもそうなるだろう。そもそも、長生きできることは喜ぶべきことだ。私たちが幸せに生きて一生を過ごすためには、元気で長生きできる社会にしていくことが大切だ。天寿を全うする時に「幸せな人生だった」と思える、そんな人を増やしていくべきである。それを考えれば、後期高齢者医療制度は、お年寄りを孤独にして、老後を、人生の「余り」として、非生産的な、不幸せなものにしているのではないか。そういう思いがしてならない。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 谷口 仁志【 神奈川県 】
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