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株式投資はゼロサムゲームなのか

 株式投資は利益が出ることも損失が出ることもあります。そして利益の源泉が「自分以外の投資家の財布」であるのも、損失は他の投資家の利益としてどこかへ行ってしまったのも明らかでしょう。でははたして、その合計をとるとどうなるのでしょうか?(バックナンバーはこちら

■株式投資はゼロサムゲームか

 前回までで紹介してきましたTacticoは、4月30日に一般向けリリースとなりました。

 今回は、システムトレードという話題からはちょっと外れますが、「株式投資はゼロサムゲームか否か」というテーマで書いてみたいと思います。

 当たり前のことですが、投資においては利益が出ることも損失が出ることもあります。そして、その利益の源泉が「自分以外の投資家の財布」であるのも、損失は他の投資家の利益としてどこかへ行ってしまったのも明らかでしょう。でははたして、その合計をとるとどうなるのでしょうか? というのを今回検証してみたいことです。

 ゼロサムゲームというのはゲーム理論という数学の一分野の用語で、ゲーム参加者の財産の合計が一定であるようなゲームです。例えば麻雀は、プレーヤー間での点棒のやりとりはありますが、点棒自体が生成したり消滅したりはしないのでゼロサムゲームです。

 一方サッカーは1試合はもちろんゼロサムではありませんし、リーグ戦であっても勝利で勝ち点3・引き分けで両者が勝ち点1ずつを得るというルールなので非ゼロサムゲームです。仮にリーグ戦の勝者を得失点差のみで決めるというルールであればこれはゼロサムになります。

■株式の場合

 まず最初に、含み益・含み損も利益・損失とみなすという前提をおきます。  あなたがある企業の株式を1株所有していて、その時価をS、取得額をP1とします。現時点での利益はS−P1になりますね。S>P1なら含み益、そうでなければ含み損です。

 では、その株式を価格P1で購入したとき、誰が売ってくれたのでしょうか? 証券取引所での取引の場合、取引の相手先が誰なのかはわからない (そういう匿名性の確保は証券取引所の重要な役割の1つです) のですが、誰か相手先がいる、というのは間違いありません。株式は一度発行されて流通すれば、所有者が変わることがあっても消滅することはないので、誰か価格P1で売った人がいるわけです。

 この売ってくれた投資家をH1とし、H1が取得した金額をP2としましょう。すると、H1はP2で買ってP1で売ったので、P1−P2という確定利益を得ていることになります。

 ここまでを図にまとめると次のようになります。
投資家取得額売却額利益あなたP1SS−P1H1P2P1P1−P2

 この投資家H1も、P2で買ったわけですからその取引相手がいます。それをH2としましょう。そのH2も取得時の相手先がいますからそれをH3としましょう。このようにしてどんどん連鎖していきます。
投資家取得額売却額損益あなたP1SS−P1H1P2P1P1−P2H2P3P2P2−P3H3P4P3P3−P4H4P5P4P4−P5↓↓↓↓

 これは、いまあなたが手にしている1株が誰に所有されてきたのかの履歴ということもできます。この連鎖の終点はどうなるのでしょうか。


岡嶋 大介[著]

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