今週のお役立ち情報
シリコンバレーで管理職になる道!(2/2)
2008年05月12日09時00分 / 提供:渡辺千賀のはたらけシリコンバレー
再度アメリカへ
駐在中にHPが分社され、竜さんの所属先はアジレントになっていたのだが、ここで、アジレント社の状況が一変する。会社の景気が著しく悪くなり、レイオフの嵐が吹き荒れて人がどんどん辞めていくようになったのだ。チームを大きくするどころか縮小となり、当面マネージャになれそうにない。それどころか、能力ある人ですらレイオフされていく。アジレントの日本法人は、日本では珍しく「一生涯エンジニア」を続けられる会社だったのだが、40過ぎのエンジニアがレイオフされると、その後の再就職は非常に大変なのを目の当たりにした。
「能力があってもクビになるのは避けられない。キャリアは運に左右される」
と感じた竜さんは転職活動を始める。
日本とアメリカ、社内と社外、両方で仕事を探す。社内の仕事に関しては、社内公募用ウェブページでオープンポジションを探したところ、元いた駐在先のサンタローザで、新チームのエンジニアを募集しているのを発見し、これに応募することに。
面接は全て電話だった。未来の同僚2人と、技術面接をそれぞれ1時間ずつ行い、さらに未来の上司から「人となり」を見る面接を1時間、さらに面接チームメンバー全員に自分がこれまでやってきたことを1時間半プレゼン。電話でこれを全てこなすのは大変なようだが、竜さんいわく
「入社以来、常に遠くにいる人たちと仕事をすることが多かったので慣れていた。」
今もミーティングの9割は電話ごしで、顔をあわせないほうが普通、と語る竜さんである。
この電話面接を経て、サンタローザでのポジションのオファーをもらった。
アメリカへ転籍
会社の景気は心配だったが、子会社より親会社に行ったほうが今後のチャンスが多いだろう、と判断してアメリカへの転籍を決意する。これが2004年のこと。
「アメリカに来た当初は自分の英語力にちょっとショックを受けました」
と言う竜さん。それまで英語力には自信があったのだが、「日本チームの代表」としてやるのと、全く普通のアメリカのチーム員としてやるのでは、要求される英語のレベルが全く違ったのだ。
それまでは殆どのミーティングで他にも日本人がおり、アメリカ人も注意してゆっくり目に話してくれていた。
一方、新しい部署は関連チームをあわせると20人くらいいたが、これが全員ネイティブスピーカー。それまで、「大学の研究室でも神戸の支社でも、英語がセールスポイントになる」という自負を持っていたのが、突然「英語が一番下手な人」になってしまったことに衝撃を受けた。
しかし、1ヶ月もたつと、英語力よりももっと大変な事が出てきて、それどころではなくなった。イギリス、サンタローザ、コロラドに分散したチームだったのだが、特にコロラドのチームはカルチャーが全く違う。彼らとどうやってうまくやるかが最重要課題となる。
そんなこんなで、エンジニアとしては英語に痛痒がなくなった2007年4月に、晴れてプロジェクトマネージャに。全くコードは書かず、その代わりに、メールや電話、時には会って人とコミュニケートすることが仕事となった。現在は、コアメンバーが4−5人、それ以外に部分的に参加している人が10人、というプロジェクトを管理している。
アメリカの管理職に求められる英語力
さて、管理職になって新たな英語の壁に当たった。慣れていたはずの英語での技術の話だが、今までよりも高次の概念的な話しをする必要が生じる。知らない単語や表現が続々と出てくるようになり、最初は全然話についていけないこともあった。1日にミーティングが6−7つ続いたときは疲労困憊。
さらに、相手をなだめたり説得したり、という「心のマネジメント」の英語も必要になってきた。それまでエンジニアとして働いてきた竜さんだが、マネージャになったとたんに、部下のエンジニアたちから「技術がわからない人」という扱いを受けるように。そんな中、
「相手を理解する」
という今までのレベルを超し、
「『相手を理解している』ということを相手に理解させる」
必要が出てきたのである。
マネージャになってから使う頻度が増えた言い回しは、たとえば
I know it: I used to do it. (知っている。以前僕もやってたから。)
I'm with you. (君の気持ちはよくわかる。)
相手が間違っていることを理解したうえで違う提案をしても、「こいつは技術がわからないからこんなことを言ってくる」と信じる相手から抵抗されることも多く、
「君の言うことは理解した。君の主張のこの部分には同意する。その上での僕の提案はこれ」
など、筋道立てた説得をしなければならないことが多い。
マネージャになって意外だったのは、部下の年齢による管理のしやすさ。
「50歳を超えてるエンジニアを扱うのは大変そうだ」
と思っていたが、実は大変なのは大学出たばかりの若いエンジニアだった。
アメリカでずっとエンジニアをやっている人は、管理職になることを全く考えておらず、自分のエンジニアとしての立ち位置をよく理解しており、無意味な反抗はしない。それに比べると、大学を出たばかりの若者は
「自分はここで一番頭がいい」
と思っているケースが多く、しかも何とかそれを証明しようという野心で一杯。こうした若手を管理するのが一番大変だそうだ。
また、日本に比べて、マネージャの理論武装が肝要。「上司の発言」というだけで従ってくれる人は少ない。理論的に筋が通っていないと聞いてもらえず、ミーティング等でも公然と反撃される。そうしたときにきちんと理詰めで説得しないとならない。
とはいうものの、あるところまでいって理論だけでは結論が出ない状態になったら、「マネージャとしてこう決めた。これに従え」と「マネージャの権威」を使わなければならないこともあり、このあたりの見極めが難しい、と語る竜さん。
そんな管理職の道を進む竜さんにとっては英語スキルをあげることは必須課題だ。
英語上達のため、去年まで個人レッスンも受けており、往復4時間かけて月1回、週末に4時間集中レッスンに通っていた。
(4年前の時点でTOEIC950点、既に英語で電話面接をしてアメリカの会社に採用されるレベルにあったにもかかわらず、である。外国語修得は一生の課題なのだ。)
これからは、当面今の仕事でマネジメントの経験を積む予定。とはいうものの、自分が日本人であることを利用しない現在の仕事では、もしかしたら損をしているのでは・・・という懸念もある。周りがネイティブスピーカーばかりの中で日本語を全く必要としない仕事をしている状態を、竜さんは
「必殺の左を封じてボクシングをしているような感じ」
という。今後日米に関わる仕事でキャリアを積むのか、日本と関係ないマネジメントの道を行くのか、そのあたりが検討事項だ。・・・続きはこちら
駐在中にHPが分社され、竜さんの所属先はアジレントになっていたのだが、ここで、アジレント社の状況が一変する。会社の景気が著しく悪くなり、レイオフの嵐が吹き荒れて人がどんどん辞めていくようになったのだ。チームを大きくするどころか縮小となり、当面マネージャになれそうにない。それどころか、能力ある人ですらレイオフされていく。アジレントの日本法人は、日本では珍しく「一生涯エンジニア」を続けられる会社だったのだが、40過ぎのエンジニアがレイオフされると、その後の再就職は非常に大変なのを目の当たりにした。
「能力があってもクビになるのは避けられない。キャリアは運に左右される」
と感じた竜さんは転職活動を始める。
日本とアメリカ、社内と社外、両方で仕事を探す。社内の仕事に関しては、社内公募用ウェブページでオープンポジションを探したところ、元いた駐在先のサンタローザで、新チームのエンジニアを募集しているのを発見し、これに応募することに。
面接は全て電話だった。未来の同僚2人と、技術面接をそれぞれ1時間ずつ行い、さらに未来の上司から「人となり」を見る面接を1時間、さらに面接チームメンバー全員に自分がこれまでやってきたことを1時間半プレゼン。電話でこれを全てこなすのは大変なようだが、竜さんいわく
「入社以来、常に遠くにいる人たちと仕事をすることが多かったので慣れていた。」
今もミーティングの9割は電話ごしで、顔をあわせないほうが普通、と語る竜さんである。
この電話面接を経て、サンタローザでのポジションのオファーをもらった。
アメリカへ転籍
会社の景気は心配だったが、子会社より親会社に行ったほうが今後のチャンスが多いだろう、と判断してアメリカへの転籍を決意する。これが2004年のこと。
「アメリカに来た当初は自分の英語力にちょっとショックを受けました」
と言う竜さん。それまで英語力には自信があったのだが、「日本チームの代表」としてやるのと、全く普通のアメリカのチーム員としてやるのでは、要求される英語のレベルが全く違ったのだ。
それまでは殆どのミーティングで他にも日本人がおり、アメリカ人も注意してゆっくり目に話してくれていた。
一方、新しい部署は関連チームをあわせると20人くらいいたが、これが全員ネイティブスピーカー。それまで、「大学の研究室でも神戸の支社でも、英語がセールスポイントになる」という自負を持っていたのが、突然「英語が一番下手な人」になってしまったことに衝撃を受けた。
しかし、1ヶ月もたつと、英語力よりももっと大変な事が出てきて、それどころではなくなった。イギリス、サンタローザ、コロラドに分散したチームだったのだが、特にコロラドのチームはカルチャーが全く違う。彼らとどうやってうまくやるかが最重要課題となる。
そんなこんなで、エンジニアとしては英語に痛痒がなくなった2007年4月に、晴れてプロジェクトマネージャに。全くコードは書かず、その代わりに、メールや電話、時には会って人とコミュニケートすることが仕事となった。現在は、コアメンバーが4−5人、それ以外に部分的に参加している人が10人、というプロジェクトを管理している。
アメリカの管理職に求められる英語力
さて、管理職になって新たな英語の壁に当たった。慣れていたはずの英語での技術の話だが、今までよりも高次の概念的な話しをする必要が生じる。知らない単語や表現が続々と出てくるようになり、最初は全然話についていけないこともあった。1日にミーティングが6−7つ続いたときは疲労困憊。
さらに、相手をなだめたり説得したり、という「心のマネジメント」の英語も必要になってきた。それまでエンジニアとして働いてきた竜さんだが、マネージャになったとたんに、部下のエンジニアたちから「技術がわからない人」という扱いを受けるように。そんな中、
「相手を理解する」
という今までのレベルを超し、
「『相手を理解している』ということを相手に理解させる」
必要が出てきたのである。
マネージャになってから使う頻度が増えた言い回しは、たとえば
I know it: I used to do it. (知っている。以前僕もやってたから。)
I'm with you. (君の気持ちはよくわかる。)
相手が間違っていることを理解したうえで違う提案をしても、「こいつは技術がわからないからこんなことを言ってくる」と信じる相手から抵抗されることも多く、
「君の言うことは理解した。君の主張のこの部分には同意する。その上での僕の提案はこれ」
など、筋道立てた説得をしなければならないことが多い。
マネージャになって意外だったのは、部下の年齢による管理のしやすさ。
「50歳を超えてるエンジニアを扱うのは大変そうだ」
と思っていたが、実は大変なのは大学出たばかりの若いエンジニアだった。
アメリカでずっとエンジニアをやっている人は、管理職になることを全く考えておらず、自分のエンジニアとしての立ち位置をよく理解しており、無意味な反抗はしない。それに比べると、大学を出たばかりの若者は
「自分はここで一番頭がいい」
と思っているケースが多く、しかも何とかそれを証明しようという野心で一杯。こうした若手を管理するのが一番大変だそうだ。
また、日本に比べて、マネージャの理論武装が肝要。「上司の発言」というだけで従ってくれる人は少ない。理論的に筋が通っていないと聞いてもらえず、ミーティング等でも公然と反撃される。そうしたときにきちんと理詰めで説得しないとならない。
とはいうものの、あるところまでいって理論だけでは結論が出ない状態になったら、「マネージャとしてこう決めた。これに従え」と「マネージャの権威」を使わなければならないこともあり、このあたりの見極めが難しい、と語る竜さん。
そんな管理職の道を進む竜さんにとっては英語スキルをあげることは必須課題だ。
英語上達のため、去年まで個人レッスンも受けており、往復4時間かけて月1回、週末に4時間集中レッスンに通っていた。
(4年前の時点でTOEIC950点、既に英語で電話面接をしてアメリカの会社に採用されるレベルにあったにもかかわらず、である。外国語修得は一生の課題なのだ。)
これからは、当面今の仕事でマネジメントの経験を積む予定。とはいうものの、自分が日本人であることを利用しない現在の仕事では、もしかしたら損をしているのでは・・・という懸念もある。周りがネイティブスピーカーばかりの中で日本語を全く必要としない仕事をしている状態を、竜さんは
「必殺の左を封じてボクシングをしているような感じ」
という。今後日米に関わる仕事でキャリアを積むのか、日本と関係ないマネジメントの道を行くのか、そのあたりが検討事項だ。・・・続きはこちら
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