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秘密主義から市場対話型へ/猪熊 篤史

企業内部と外部の情報のギャップを埋めるような情報開示や広報活動が企業に対する適切な評価、さらには良い評価に結びつく。市場対話型の経営について考えたい。

株式公開企業は四半期に一度、事業の状況を投資家に報告することになっている。また、事業戦略の変更など経営に重要な影響を与える情報は速やかに開示しなければならない。このような情報開示は、社内の管理体制が整っていればこそ出来る対応である。しかし、中小企業やベンチャーでも本質的な部分において学べることはあるだろう。

近年、株式の公開基準も緩和され、未公開株式の流通市場の整備なども進んできている。しかし、企業が株式を公開するため、あるいは、監査や各種上場審査を受けるとなるためには多大な費用がかかる。企業の総数と比べれば株式公開する企業はごくわずかである。それでも、株式公開が企業にもたらす恩恵を見過ごして、中小企業やベンチャーが日々の仕事に追われているのは残念なことである。

市場で取引される株式の価格は、個々の企業の経営状況など個別企業特有の要因とマクロ経済の動向や産業の状況など企業の経営状態とは分けて考えられる要因によって決まる。高い評価を受ける新製品を開発した企業の株価は基本的には上昇する。経営判断を誤って大きな損失を抱える企業の株価は下落する。短期的な期待や思惑などを無視すれば、複雑な経済や市場の中にあっても、優れた経営は評価され株価の上昇につながる。一方で、競争力のない経営は評価されず、株価の下落へとつながる。このような市場における評価のメカニズムを意識して経営することは、コンサルタントに多額の報酬を支払うよりも有効かも知れない。

良いことも悪いことも経営に関する全ての情報を無計画に開示すべきだと言っているのではない。不確かな情報の開示や思慮の浅い情報開示の方法が投資家や顧客を混乱させて、結果として企業の評価を損ねることもある。


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