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レームダック化した福田首相をあえて会談相手とした胡主席の計算【経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”】


 中国の胡錦濤国家主席がゴールデンウィーク明けに来日し、福田康夫首相と7日に注目の日中首脳会談を開催した。だが、今回の会談は、東シナ海のガス田の共同開発、チベットの政情不安、餃子の毒物混入といった懸案についてはほとんど具体的な成果・進展がなく、両国政府の成功を演出したいという思惑ばかりが上滑りした感が否めなかった。

 そうした中で、地球温暖化対策の分野では、世界で初めて石炭火力発電所で発生するCO2(二酸化炭素)を集めて油田に隔離・貯蔵する技術の実用化を目指すプロジェクトの推進に関する合意などが盛り込まれるなど、唯一、成果があった分野と評価できるのではないだろうか。

「いつもながら外務省が張り切るようなときは、ロクなことがないですよ。今回の首脳会談も、美辞麗句を並べて表面を取り繕う修辞学の世界に迷い込んでいる。まったく中身が無いでしょう」――。

 日中首脳会談がまだ続いていた7日午後、日中共同声明の案文を前に、ある経済官庁の中堅幹部がこう洩らした。無理もない。共同声明を読む限り、「双方は『戦略的互恵関係』を包括的に推進」「両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現していく」などという美辞麗句ばかりが目立ち、具体的な手段や方策がほとんど示されなかったからだ。

 経済に関しても、共同声明は「エネルギー、環境分野における協力が、我々の子孫と国際社会に対する責務であるとの認識に基づき、この分野で特に重点的に協力を行っていく」「貿易、投資、情報通信技術、金融、食品・製品の安全、知的財産保護、ビジネス環境、農林水産業、交通運輸・観光、水、医療等の幅広い分野での互恵協力を進め、共通利益を拡大していく」と総論に終始したのが特色だ。

 そして、情けないことに、こうした修辞学は、官僚が事前に協議して準備してあった共同声明だけにとどまらず、両首脳自身がその調印後に開いた共同記者会見でも花盛りだったという。


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