「デートDV」に気付かない場合が多い、と山口代表

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   交際相手から暴力を受ける「デートDV(ドメスティック・バイオレンス)」の被害者といえば女性、のはずだった。ところが最近は少々変わってきたようで、あるアンケート調査では、高校、大学の男子の30%近くが交際相手の女性から暴力を受けていた。ドラマ「猟奇的な彼女」では田中麗奈さんが草なぎ剛さんを殴り、人気アニメ「ゼロの使い魔」ではルイズが平賀才人を鞭で叩く。こんな光景はテレビの中だけではないのだ。

「恋愛で束縛できる」という考えは男女とも強い

   「DV」は配偶者や内縁関係など親密な関係にある人からの暴力だが、「デートDV」は、若い世代を中心とした恋人からの身体的、精神的、性的な暴力を指す。将来、夫婦間のDVに発展する心配もある。「デートDV」の深刻さをキャッチした横浜市が、2007年6月から12月にかけて市内の高校・大学に通う男女922人にアンケートしたところ、交際経験がある人の中で「デートDV」の被害に遭ったのは、女性371人中144人で38・8%。男性は204人中56人の27・5%だった。

   神戸市が07年10月から12月にかけ、市内の公立高校の男女生徒3020人を対象に行った調査では、「デートDV」を受けたことがある、と回答したのは女子が38%で、男子が28.7%だった。このうち、「なぐられたり、けられたりする」(男性3.9%・22 人、女性3.3%・21 人)、「命の危険を感じるほどの暴力をされる」(男性1.4%・8人、女性1.3%・8人)となっていて、「デートDV」を受けるのは女生徒が多いが、直接的な暴力を振るわれるのは男子生徒がやや多いことがわかった。

   これまで「DV」といえば、夫から妻へ、男性から女性への一方的な暴力、というイメージだった。

暴力の被害者が逆に加害者になる

   沖縄タイムスの08年3月5日付けには、数時間にわたって殴られる「デートDV」を受けた女性(19)の記事が載っている。「デートDV」を受けた男と別れ、新しい恋人ができたときに、

「自分がされたように相手をコントロールしようとしてしまった。気付かぬうちため込んだ怒りがふいに爆発したり、フラッシュバックを起こし苦しんだ」

   と、被害者が逆に加害者になる様子が書かれている。

   日本での「デートDV」命名者で、「『愛する、愛される−デートDVをなくす・若者のためのレッスン7』などの著書があるアウェア(aware)代表の山口のり子さんは、J-CASTニュースの取材に対し、日本の若者の間で「デートDV」が増えているのは、セックスの低年齢化に関係していると話した。セックスすることによって、相手を自分の所有物のように思い、「支配」が始まるのだという。そして、相手を独占することが愛することだと勘違いし、「DV」だと気付かず、行為がエスカレートしていくことが多いのだという。

   さらに、「格差社会」が不安を生み出し、残虐性が増しているというのだ。山口代表は、男女共に「デートDV」が増えているが、女性と体格差がある男性に比べ、深刻なのはやはり暴力を受ける女性。精神的、身体的後遺症が強く残る場合が多いと指摘している。

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