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経験から学べること、学べないこと/猪熊 篤史

経験が重要なことは理解出来るが、経験から学べることと学べないことがある。経験主義の功罪について考えてみたい。

経験が重要なことには説得力がある。行動しなければ、売り上げが上がらず、価値も生まれず、顧客満足も得られず、具体的な改善の余地も見えてこない。行動しなければ経験は生まれない。成功した経験はそれ自体賞賛に値する。また、成功の経験は、良い研究事例、見習うべきお手本、ベストプラクティスとして価値がある。失敗の経験は、それ自体賞賛には値しないが、避けるべき具体例、悪いお手本、反面教師として価値がある。

行動、そしてそれに続く経験、しかも、より直接的で、より新しい経験が重視されるのは納得出来る。顧客の嗜好の変化、技術の進歩、社会の変化などによって過去の経験は、古くなり、もはや正しくないこともあるだろう。また、過去の経験則にとらわれずに新しい世界を切り開いていくという姿勢、思考、マインドは評価されるものである。

「世界を変えられると信じなさい」

これはパソコンやプリンターなどの情報機器において日本でも存在感を高めているアメリカのハイテク企業、ヒューレットパッカード(HP)のカーリー・フィオリーナ会長(当時)が掲げた「ガレージのルール(Rules of the Garage)」の最初にあげられている社員の行動規範である。

信念を持った行動と経験の積み重ねなしに世界は変らないことだろう。

しかし、経験を凝縮した一般的な理論や信頼出来る第三者の経験則が重要でないわけではない。行動や直接的な経験が重要だとしても、理論や第三者の経験則から学べることも多い。

15世紀半ばに発明させた活版印刷機が聖書が量産するなどルネッサンス文化の開花に大きく貢献したように、優れた知識、経験則、理論を共有すること、共有出来ることの意義は大きい。

なぜ、理論や経験則の共有が促進されないのか?その理由は次のようなものだろう。


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