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第51回農民文学賞決まる(下)=「大地がほほえむとき」で児童に伝える自然

2008年05月07日05時27分 / 提供:PJ

pj
第51回農民文学賞決まる(下)=「大地がほほえむとき」で児童に伝える自然
詩集「大地がほほえむとき」(けやき書房)で「第51回農民文学賞」の特別賞を受賞した大倉尚美さん。飯田橋レインボービル(東京・新宿区)にて。(撮影:伊藤昭一、4月29日) 写真一覧(3件)
(中)のつづき。「第51回農民文学賞」の特別賞に、大倉尚美さんの詩集「大地がほほえむとき」(けやき書房)が選ばれた。作家・詩人の伊藤桂一氏は、「詩集では大冊の(それだけに内容も充実した)『大地がほほえむとき』を特別賞に推薦した。表紙絵も美しく加えられ、児童文学としての効果も大きく、農民詩の児童への説得力に富んでいる。教育界への農民心情の、よき拡充をしてゆく仕事も、長く果たされてきている」と評価。

 大倉尚美さんは、1944年に満州に生まれ、京都で育つ。京都の短大で童話や和紙絵などに本格的に取り組み、幼稚園教諭を経て、結婚を機に北海道に移住。自然派菓子耕房「オークラファーム」という特製クッキーの製造・販売を手がけ、和紙で描いた動物のイラストのパッケージは「北の生活産業デザインコンペティション」で奨励賞を受けている。贈呈式には(社)日本児童文学者協会の藤田のぼる事務局長も、神楽坂の事務所から祝福に駆けつけた。

 文芸評論家・秋山駿氏は、「今回は例外的なことだが、詩集、大倉尚美に特別賞を送ることになった。たとえば『ゆめ』には、童心の、弾んだ気分が、無邪気に表されている。自然の季節による美しさと恵み、赤とんぼなどいろいろな生き物の大切さを、素直な声と優しいこころで詠っている。こころの沈潜をもって詩作の業へと転化する、この難しい道をよく歩いた」とその実績を認める。

 クリスチャンでもある大倉さんの作風について、かつて「農家の現実の苦しみを訴えていない」という批判をされたことがあったという。しかし「子どもの教育は、自然の中で芽生える心をはぐくむことが大切」と、あえて自然を愛する喜びを詠った。「自然を愛し酪農を夢見る夫との出会いは、私にとって夢の第一歩。たんぽぽ畑の牧場の生活は、まさに子育ての場なのでした。その一方で、農業に対する矛盾を知り、怒り憤慨したのでした。―今、何が大切なのだろうか―心の思いを詩や童話、和紙絵に注ぎ、30余年がたちました」と語る。

 作家・南雲道夫氏は、「北海道の日本海に面した村で、酪農を営む日常と、土への思いが爽やか。子供らに読み聞かせたいという意見もあったが、そのとおり。ただし、収録作62編、250頁を上回る大冊。市販もされていることから、特別賞となった。よかったと思う」とし、木村芳夫会長も、「詩には農民の姿が素直に表現されている。児童文学として優れており、農民文学の評価を通じて、こどもたちへ知らせたいという願いがあり、農民文学作品を超えて詩集として特別賞に決まった」と選考経過を語る。

 大倉さんは、日本児童文学協会、アジア児童文学日本センター、日中児童文学交流センターに所属し、絵本・詩集を刊行している。「東南アジアでは農村の子どもたちは、親が貧しくてかまっていられないのが現実。西欧とは大きなへだたりがある」と、アジアでの児童教育の支援にも意欲を示す。「自然と子どもと農業、これは、私の人生の歩みでもあり、平和を求める小さないのちへの愛なのです」とも語る。【了】

■ 関連情報
日本農民文学会

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 昭一

関連ワード:
文学  農民文学賞  結婚  教諭  北海道  
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