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合理主義のオランダと建前の日本・・・自殺において際立つ違い

合理主義のオランダと建前の日本・・・自殺において際立つ違い
オランダ国旗 (記者作成)
【PJ 2008年05月02日】− オランダでは4月30日がベアトリクス女王の誕生を祝う日です。現ベアトリクス女王の誕生日は1月31日ですが、国民が祝うのに1月31日では寒いので、前女王であるユリアナ女王の誕生日である4月30日を使っているそうなのです。その合理性、柔軟さに驚きます。日本の、とりわけ頭の硬い連中なら筋違い、とんでもない話と一蹴されることでしょう。

 またオランダはスイス、ベルギーと共に安楽死が合法化されている国でもあります。同国では精神的な理由だけでもいくつかの要件を満たせば、安楽死が認められているそうです。これはほとんど自殺容認です。認められない場合も社会はさまざまなサポートを提供することが可能です。またこれは自分の命を自分で決定する権利が尊重された結果ともいうことができます。

 オランダでは安楽死を選ぶ人は2−3%にもなっています。またスイスには自殺ほう助罪がないので、外国からの自殺ツアーが来るそうです。

 キリスト教では「命は神から授かったもの」ですから、自殺は重大な罪とされてきました。中世のヨーロッパでは自殺者は財産を没収され、埋葬もされなかったと言われています。その影響を強く受けたオランダなどが安楽死の合法化を実現したことは注目に値します。

 それに対して、宗教上の制約がほとんどない日本では安楽死の合法化は実現していません。いかなる手助けも殺人罪、自殺ほう助罪に問われるリスクがあります(横浜地裁が示した安楽死を許容する4つの要件は適用範囲がごく限られています)。年間約3万人の自殺者のほとんどは孤独な決断をしなければなりません。

 精神科医の和田秀樹氏は「がん患者の8割は激痛に苦しみながら死んでいく」と述べていますが、苦痛の除去は完全ではなく、少なからぬ人々が人生の最後にひどい苦痛を味わいます。建前重視の日本社会では現状を変えることが困難です。たいていの人は、自分が不治の病で激しい苦痛が続くときには、早く死なせて欲しいと言います。ところが他人がそのような状態のときには、当人から依頼があっても早く死なせることはできません。

 刑罰だけでなく、命の尊さは何ものにも替え難い、命は地球より重い、といった考え方に背くからでしょう。建前と本音、原則と現実が乖離(かいり)している例です。イエスの山上の垂訓にある黄金律「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」もこのときばかりは実行がためらわれます。

 筋を通す、理念を通す、原則を貫く、これらはふつう肯定的な、よい意味で使われます。しかし、命をかたくなに最優先する理念からは死を前にした患者の苦しみより延命を優先する考え方が生まれます。これは頑固、頑迷、石頭にも通じます。

 理念や原則はたいてい不完全であり、それを適用する範囲も限られます。それをかたくなに守れば現実との不適合が多くなるということは一般化してよいのではないでしょうか。原理原則も必要に応じて曲げればよいわけです。反対に徹底的に理念や原則に忠実な態度は原理主義と呼ばれ、妥協のできない困りものになります。

 理念や原則に忠実であることの利点はあまり頭を使わなくてもよいことです。しかしそれでは社会が停滞し、変化への対応が難しくなります。合理性、柔軟性をオランダから学びたいところです。【了】

■関連情報
噛みつき評論(記者のHP)
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 岡田 克敏【 京都府 】
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