ゲストさんログイン

ウェブ検索

最新ニュース! クリックするほどよく分かる

[PR]コレがGoogleの検索ストーリー

デジタル化の衝撃〜日本の出版システムは生き残れるか(2)

2008年05月02日04時53分 / 提供:PJ

pj
(2)デジタル化は雑誌を痛撃し、日本の出版システムを揺るがしている
(1)からのつづき。「文化通信」記者星野渉氏の「日本出版産業の構造変化」は雑誌に焦点をあて出版産業の現状をあぶり出し、聴講者に衝撃を与えた。

 書籍は多品種少量生産が基本。製作する出版社からすれば、初版で何部刷るか、定価をどうするか、神経をすり減らす扱いにくい商品。取り次ぎにとっても版型の種類が多く、多品種少量に加え多方面区分け配送が加わり、物流システム構築には長い時間を要し、投資規模も大きかった。小売店舗も事情は同じで、限られたスペースをどの書籍で展開するかは厳しい判断を迫られる難題であった。

 これに対し雑誌は、少品種大量生産で、規格もある程度限られており、相対的に画一的な配送また展示が可能であった。これに加え、出版社にとっては広告収入も魅力。

 つまり書籍に比べ、雑誌は製造原価対比、また売上原価対比、さらにはシステム投資対比で極めて収益性の高い商品。96年までの書籍と雑誌を合計した総販売額の伸びを支え、戦後の出版業界を支えたのは、雑誌であった。

 ところが96年のピーク以降、雑誌が急落を始める。出版科学研究所の調査では、97年から06年にかけて、販売部数ベースで書籍の減少幅13.8%に対し、雑誌は29,2%。このことが出版業界の収益構造を大きく揺さぶり、経営の根幹を直撃。事態は新聞等で報じられる、金額ベースの書籍と雑誌を合計した総販売額の減少から想像されるもの以上に深刻である。

 ここにはデジタル化時代の影響がまざまざと読み取れる。情報とデータを編集することで、体系化された知識をパッケージにしているという意味合いは、書籍と雑誌で変わらない。しかし、編集の方向性と信頼性付与の程度はかなり違う。つまり「新奇性」が尊重され、信頼性は比較の問題としてやや軽い。信頼性がやや薄くても、新奇性、情報の鮮度で選ばれるといえばネットの情報である。だからネットの台頭は、雑誌を痛撃した。雑誌の中でもサイクルが短期の週刊誌の販売部数低下が顕著なのはこのことの証左。

 雑誌の世界では、「紙かデジタルか」の帰趨(きすう)はもはや決定したといっていい。紙の世界に閉じこもっていてはこの閉塞(へいそく)状況を打ち破れない。業界団体は一昨年ヨーロッパを視察にいった。かの地では早々とネットへの移行が始まっていたが、聞かされたのは「課金モデルで成功した例は今のところない」「広告モデルしかない」という厳しい現実であった、という。

 一方、07年6月小学館はデジタルだけの雑誌創刊に踏み切った。デジタル雑誌『 SOOK』は月額750円で閲覧するものだが、創刊時電子媒体としては異例の、総額3億円のプロモーション予算が組まれた。業界の意気込みが伝わるエピソード。

 しかし、書籍と雑誌は混載されて流通してきた。収益性の高い雑誌との抱き合わせで初めて取り次ぎの物流システムは維持されてきた経緯がある。また中小小売店の売上高に占める雑誌の構成比は4割台。出版社にネットへのシフトという生き残り策があり、仮にそれが奏功したとしても、それは紙の雑誌の凋落(ちょうらく)を加速させる。そうだとすると、デジタル化は戦後築いてきた日本の出版システムそのものの収益構造の崩壊へつながる可能性があり、産業のパラダイムシフトを促さざるを得ない。【つづく】

■関連情報
・日本出版学会 〈行事案内 ─08年 春季研究発表会─〉

・プロフィール
WEBサイト『金融リテラシー』編集長:『情報社会生活マンスリーレポート』へクリップを提供中、またメルマガも配信しています。

PJニュース.net
PJ募集中!

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 神宮司 信也

関連ワード:
PJ  週刊誌  小学館  
Ads by Google
コメントするにはログインが必要です
ログインしてください
投稿

関連ニュース:PJ

PJニュースアクセスランキング

Amazon ランキング

注目の情報
なぜ、男に50万個も売れてる?
今、この石けんが男性に、通販のみで50万個も売れている。なんでも
加齢臭を抑えるらしく、さらに売れ続けていると。そこで、実際に私も
試してみると…凄い!売れてる秘密がわかった。


その秘密とは≫

写真ニュース

みじめな「アル中」-5年間の体験を通して、今になって語れる流転=三重・伊勢 昔とんぼの旅日記-イラン編(36) 「やまとうた」の美しさを観て、楽しもう=東京(下) 昔とんぼの旅日記-イラン編(35)
「やまとうた」の美しさを観て、楽しもう=東京(中) 日本女子プロ野球リーグ 「第一期生(2010年度)選手名鑑」&意外と重要な「非受験組」 12月1日は世界エイズデー、対策資金減額で死者増加の恐れ=国境なき医師団 「怪しい社債」の勧誘にちょっとまった! 元本保証はウソ
妖精イメージの美女も登場する「2009 国際ロボット展」を開催=東京ビッグサイト 「やまとうた」の美しさを観て、楽しもう=東京(上) 昔とんぼの旅日記-イラン編(34) 大組織の宿命

特集

ケータイでニュースを見る
QRコード 行きの電車、帰りの電車で
livedoorニュースを読もう!
ケータイにメールを送る
livedoor サービス: