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1面トップに大きく「米産牛肉に危険部位」、裏で「冷静に対応を」と朝日新聞

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1面トップに大きく「米産牛肉に危険部位」、裏で「冷静に対応を」と朝日新聞
4月24日の朝日新聞 (筆者撮影)
【PJ 2008年04月29日】− 4月24日の朝日新聞朝刊は1面で牛海綿状脳症(BSE)問題を大きく煽(あお)る一方、35面では食の安全への不安を訴える声やスーパーの販売中止などと共に、冷静な対応を求める識者の意見を小さく載せています。BSEの危険を大きく報じながら冷静を求めるのは矛盾しています。本音で冷静を求めるのなら大きく報道しなければよいのです。

 朝日、毎日、読売、日経の各社は一斉にこのBSE問題を社説で取り上げています。読売は比較的冷静で、朝日・毎日は検査体制への非難が目立ちますが、そろって社説に取り上げるのは各社ともBSEを危険で重大な問題と認識しているからでしょう。

 今回紛れ込んだ背骨付きの高級ステーキ用肉は米国では普通に売られているが、日本の基準は世界一厳しく、リスクをとことん減らそうという考えに立っているのだから、それは理由にならないというわけです(朝日)。

 その朝日には田辺功編集委員によるBSE問題についての優れた記事(2月4日)があります。以前にも紹介しましたが一部を要約します。

 『BSEのために日本人が変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)を発病する確率は無視できる程度(*1)であるにもかかわらず実施された世界に類のない全頭検査は「消費者の不安解消」を掲げる議員らの声に押されて始まった。
 国際獣疫事務局が定めるBSE対策の基準は危険部位の除去とピッシングの禁止などで、検査はふくんでいない。日米間の輸入再開議論がかみ合わなったのは日本が世界の標準とは異なる考え方をしていたからである。(ピッシングとは死ぬ時の痙攣を防ぐためロッドを頭から脊椎に通すこと。病原体が他の部位に拡散する危険性が指摘されている。日本ではまだ多く行われている)』

(*1 発病の確率については安井至氏のBSEを巡ってメディアとの対話も参考になります)

 つまりメディアによって作られた「消費者の不安」を解消するために、必要性の不明な全頭検査を多額の税金を使って実施していながら、必要性の高いピッシング禁止を放置しているというわけです。

 朝日新聞は、日本人がvCJDを発病する確率は無視できることを田辺編集委員の記事で知り得たはずですが、今回なぜか煽動的なトップ記事にしているのは理解に苦しむところです。

 合理性から離れ、完ぺきなほどの安全性を求める日本の消費者の特殊事情を、読売を除く3紙は無批判に受け入れ、当然の条件としていることが残念です。消費者が過度の不安をもつという特殊事情はメディアが作り上げたものにもかかわらずです。

 脊柱(せきちゅう)の入った問題の1箱は米ナショナルビーフ社加州工場が昨年8月に出荷し、日本国内の倉庫に保管されていた700箱の中から見つかりました。残りの699箱には問題はなかったが、廃棄処分となったそうです。同社の加州工場製の他の国内在庫はどうなるか、気になるところです。

 世界的に深刻な食糧不足の地域がある中で、不安解消という「気分」のための大量廃棄をやっていればそのうちにバチが当たるような気がします。

 新聞社さまに消費者の不安を解消してやろうという親切心がおありなら、vCJD発病のリスクは無視できるレベルであるということをぜひとも消費者にお伝えしていただきたいと思います。おっと、その前に、十分な見識を身につけていただく必要がありますけれど。【了】

■関連情報
噛みつき評論(記者のHP)
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パブリック・ジャーナリスト 岡田 克敏【 京都府 】
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