今週のお役立ち情報
体壊したって“クサイ人”とは言われたくない。エスカレートする“におい”対策
日本人の清潔志向は世界の中でも突出しているが、最近はどんどんエスカレートし、逆に健康への害が言われているほどである。全身の毛を剃る若い男性は珍しくなくなり、手が触れるものすべてを除菌の濡れティッシュで拭う光景も日常となった。そんな風潮の中、からだが発する“におい”に敵愾心を燃やすのは、当たり前かもしれない。
日本人は昔から香水を常用せず、無臭イコール清潔といった捉え方がある。最近は、「塗れば24時間無臭になる」とか、「便通の臭いを消す錠剤」だとか、「口臭を甘い香りに変えるガム」などが発売され、“におい対策ビジネス”も盛んだ。だが必ずしも効果があるとは言い切れず、またサプリメントそのものの副作用もうたわれ始めている。
人間の体からはいろいろなにおいが出ている。口臭からはじまって、足のにおい、ワキのにおい、あそこのにおい、加齢臭……。そしてにおいが発生する原因や、においの強さもまたいろいろだ。特に日本人は清潔指向が強いため、においに対しても敏感で、薄着の季節は毎日がにおいとの格闘といっても過言ではない。
私たちの皮膚には、アポクリン腺とエクリン腺とよばれる汗腺があり、それぞれ汗の性質が違っている。エクリン腺は皮膚のどこにでもあり出てくる汗の99パーセントは水分で、さらさらとしている。これに対してアポクリン腺はワキの下や陰部などに多く分布し、出てくる汗は粘りけがある。体臭の原因は、このアポクリン腺によるものが多く、皮膚表面で細菌に分解されにおいのもとになる。
「うちの場合、家系的にワキガを持っているので、ものすごく神経を遣っています」というのは、27歳のOL結城聖子さん(仮名)だ。結城さんは、ワキ毛は毎日神経質なくらい処理し、汗止めローションをつけ、最後にコロンでの仕上げ。汗ばむ季節になるとこの手当が大変だ。だが最近結城さんは、わきが対策に強力なアイテムを発見。それは外国製のある有名ブランドの名前がついた、特殊な制汗クリームだ。結城さんは、インターネットのショップでこれを発見した。
「すごい効き目です。1回塗れば1週間はまったくにおいません。汗をかかない季節だと、2週間持つくらいです」。ただ、とても便利なのはよいが、少々不安な面もあると結城さんは言う。このクリームは、汗腺そのものを物理的に潰してしまうので、においもないが正常な発汗ものぞめない。本当に体にとって問題はないのか、という疑問が残る。「だからといって、使用をやめることもできないんですよね」と、結城さん。「制汗剤って多かれ少なかれ、問題はあるみたいですよ。これは都市伝説かもしれませんが、制汗剤の中にはアルミが含まれているものもあるから、常用しているとアルツハイマーになるとか言われてるし……」。
金田伸広さんは輸入車の営業マン。ラグビーで鍛えた体にグレーのスーツがよく似合う34歳の働き盛りだ。実は金田さんは、長い間ずっと食事をした後の口臭に悩んでいた。「自分では最初気付かなかったんですが、同僚に指摘されて初めてわかったんです。それから気をつけていると、ふだんはない口臭が、暖かいうどんやラーメンを食べた後に必ず出ることがわかったんです」。
そんな変な口臭の出方があるのか、と悩んでいろいろ調べた結果、原因は親知らずにあることが判明。「近所の歯科医で原因がわかったんです。最近の歯科医には、“口臭測定器”というのがあるので、それで測定してもらったんですが、ふだんはなんともないんですね。ところが熱いものや刺激のあるものを食べたときに、親知らずのある歯茎のあいだからウミが出て、それが口臭のもとになっていたんです」と、金田さん。親知らずはさまざまな問題を起こす元凶となることが多いが、口臭のもとになるとは初耳だ。
ところで、体から発するさまざまなにおいはどうしたら防げるのか。皮膚科の医師、内科の医師など数人に聞いてみたが、どの医師も「まずは体を健康に保つこと。食事内容を見直し、清潔にしておくのが一番」という返事。わきや陰部、ヘソ、足の臭いなどは、皮脂や皮膚が古くなった角質などを足の雑菌が分解し、あのいやなにおいを発生させるのでこまめに洗うことで解決ができる。
口臭は、においの強いものを食べり飲んだりしたあとに発生するのはもちろん、むし歯や歯槽膿漏など、歯の病気も原因になる。また、鼻や呼吸器に病気があったり、胃腸病、糖尿病、肝臓病、腎臓病のときも口臭が発生し、これらは体を健康に保つことを心掛けるしか、防ぎようはない。女性の場合長いあいだ便秘が続くと、体から便のにおいがしてくることもあるという。便が長期間、腸にとどまっていると便から発生するガスが体内に吸収され、それが汗や皮脂と一緒になって体臭として周囲に悪臭を放ってしまうというわけだ。
陰部がにおう、いわゆる「すそワキガ」に有効な治療は、美容外科などで行っているレーザー脱毛と毛穴自体を小さくすることや、ポトックスとよばれる治療がある。高額ではあるが、気になる人はいちど専門の医師に相談してみるといい。
においといえば「加齢臭」いわそるオヤジ臭も気になるところ。この「加齢臭」は2000年に資生堂の研究所が発表したもので、ノネナールという物質が正体だという。これは体の表面にある皮脂腺から皮脂が大量に分泌され、その結果脂肪酸が増加。「加齢臭」となるというわけだ。「加齢臭」はもともと男女の別なく発生するのだが、特に中高年の男性は肉食などが多く、皮脂の分泌が多いため「オヤジ臭」といわれる独特のにおいがする。動物性脂肪をとりすぎると「加齢臭」はどうしても多くなるため、気になる人は清潔を心掛けると同時に、食生活にも気をつけることが大切だという。
においに敏感なあまり「自己臭症」と呼ばれる病的な精神状態に陥る人がいる。自己臭症とは、日本人特有の心の病で、自分が臭くて周囲に不快感をもたれたり、他人から嫌がられていると思い込むもので、体臭恐怖症とも呼ばれている。新学期や新年度が始まる今の季節、対人関係の悩みを自己臭症にすり替えるケースも少なくない。
「自分はクサイから人から避けられているのではないか」と思い込み、過激なにおい対策に走るのではなく、本当に問題となっていることをまず直視することが必要ではないだろうか。(取材/XIXOX倉持ケンジ)
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