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名古屋高裁の「イラク派兵は違憲」判断は卑怯だ

2008年04月19日07時26分 / 提供:PJ

pj
名古屋高裁の「イラク派兵は違憲」判断は卑怯だ
名古屋高裁判決を「9条違反」と報じる4月18日付朝日新聞朝刊の1面。(撮影:小田光康)
名古屋高等裁判所は17日、航空自衛隊のイラク派遣の差し止めを求めた訴訟の控訴審判決を言い渡した。マスコミ報道では「現在の航空自衛隊のイラクでの活動は日本国憲法9条1項に違反している」との傍論を大きく取り上げているが、冷静に考えれば、この報道がいかにバカげた報道かがわかる。

 訴状によれば、一審における原告の請求は、

1.被告(国)は、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により、自衛隊をイラク及びその周辺地域並びに周辺海域に派遣してはならない。
2.被告が「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により、自衛隊をイラク及びその周辺地域に派遣したことは、違憲であることを確認する。
3.被告は、原告に対し、1万円を支払え。

の3点である。要約すれば、イラク派遣の差し止め、違憲確認、損害賠償の請求となる。

 この訴えに対する名古屋高裁の控訴審判決の主文は、名古屋地裁の却下判決を支持して、「本件控訴をいずれも棄却する」である。門前払いで原告は全面敗訴だ。すべての請求を退けられても、もろ手を挙げて喜んでいる原告が理解できない。

 今回、名古屋高裁は傍論の中で「違憲」と指摘した。判決は、主文とそれ以外の部分から構成されるが、主文以外の部分で、判決と論理的に直結する部分を「判決理由」、判決に直接つながらない部分を「傍論」という。今回の判決でいえば、判決理由は「原告は被告(国)の自衛隊イラク派遣によって法的利益を侵害されておらず、請求は不適法として却下した原判決は間違っていない」、その理由によって論理的に導かれた結論が「控訴を棄却する」だ。それだけで完成するはずの判決文に、余計な憲法判断を傍論に書く必要はない。蛇足だ。

 傍論の中で「違憲」と指摘された国は上告できない。なぜなら、全面勝訴の判決を不服として上告しても利益がないからだ。一方、全面敗訴しながら傍論で「違憲」と書かせることに成功した原告も上告しないだろう。事実、敗訴した原告は「歴史的判決」と高く評価している。この裁判は、裁判で国が勝ち、裁判の本質ではない傍論の中身に原告は満足している。もう、裁判はこれで終わりだろう。マスコミの「違憲判断」という曖昧(あいまい)な報道だけが一人歩きするだけだ。この茶番はなんだろう。

 傍論で違憲と指摘しながら、主文で合憲と判断する裁判官は、不見識きわまりない。傍論が、本質的に不要な意見表明だということを理解していない。どうしても違憲だといいたいのなら、主文に意見を反映させるべきだ。差し止めを認め、損害賠償を命じる判決を書くべきだ。どうしても判決に反映できないのなら、個人的意見を表明すべきではない。それが司法の限界であり、司法の責任だ。

 一部のマスコミは、鬼の首を取ったように判決を取り上げている。例えば朝日新聞。「戦地への自衛隊派遣と憲法とのつじつま合わせのために政府がひねり出した理屈の矛盾を、名古屋高裁が突いた」。傍論を判決よりも大きく取り扱う矛盾を突く人間は、朝日にはいないのか。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小林 亮一

関連ワード:
イラク  自衛隊  朝日新聞  憲法  復興支援  
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