タワーレコードで猛プッシュされていたPerfumeの『GAME』。限定版付属DVDのライブ映像&PVは見ないと損なので、入手できるうちに迷わず限定版を買うべきであります。

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現在、最も勢いのあるアイドル“Perfume”の新作アルバム『GAME』が売れているようです。前作のベストアルバムをヘビーローテーションで聞いていた私も、発売当日に某大型CDショップで購入ミッションを完遂。先にリリースされていた複数のシングルを含む内容ということもあり、私はオマケの曲が入ったファンサービス的なアルバムなのかなと、勝手な想像をしていました。

実際に聞いてみるとこの『GAME』は、テクノポップというかエレポップのアルバムとして異常なまでに完成度が高く、過去に私が購入したアルバムの中でも屈指の名盤であったのです。これは全く予想外でした。近年でいうと"椎名林檎"の『無罪モラトリアム(1999年作品)』以来の衝撃を感じてしまった次第。私はアルバムを聴きながら唖然呆然でした。ちなみに、同日一緒に“マライア・キャリー”の『E=MC2』、“ジャネット”の『DISCIPLINE』も購入したのですが、ハッキリ言って勝負はPerfumeの完全勝利。今回はそんなアキバ系はもちろん音楽ファンも必聴のアルバム『GAME』について書いてみようと思います。


■『GAME』(Perfume
DATA:2008年4月16日、徳間ジャパンコミュニケーションズより発売。
<オススメ度:★★★★★>
タワーレコードで猛プッシュされていたPerfumeの『GAME』。限定版付属DVDのライブ映像&PVは見ないと損なので、入手できるうちに迷わず限定版を買うべきであります。2007年3月に渋谷で開催されていた「Perfume CAFE」イベントの記念写真。最終日の夜にはシークレットでPerfume本人達も登場してました。カフェでお茶すれば会える、そんな時代がPerfumeにもありました。


とりあえず、収録された各曲の印象を書いてみます。

(01)「ポリリズム」※シングル曲
公共広告機構のCMソングとして使用された、おそらく一般に最も知られているナンバー。“ポリリズム”が激しく繰り返される特徴的なパートは、テレビで披露されるパフォーマンスではカットされることが多いので全編通して聴くとイメージが変わると思います。アルバムのオープニングとしても最高にハマってます。

(02)「plastic smile」
ちょっとフレンチなフレーバーを感じる可愛らしい曲です。80年代テクノ的な音色が使われてるので、YMO好きの自分にはグッとくるものがありました。なんとなく高橋幸宏(YMOのドラマー)のソロアルバム『音楽殺人(1980年作品)』を彷彿とさせるものがあるような。最初は地味な印象でしたが、聴けば聴くほど味が出てきました。

(03)「GAME」
イントロから「おっ」と思わせる新感覚のPerfumeナンバーです。ヘビー&ノイジーな音色は、ダフト・パンクあたりの影響が感じられます。この前の曲(02)とのギャップがたまりません。アイドルの曲にしては相当ハードな仕上がりですが、メロディはどこか懐かしい感じもあったりします。こういう曲がシングルカットされるようだと、Perfume的にも面白いと思うのですが、現実的には難しいのかも。プロデューサーの中田ヤスタカ氏の意地を感じる作品です。

(04)「Baby cruising Love」※シングル曲
アイドルソングの新しい地平を開く、まさに名曲だと思います。この曲に対する世間の評価は低すぎると感じているのは、私だけではないはず。それにしても「ポリリズム」>「plastic smile」>「GAME」>「Baby cruising Love」の流れが素晴らし過ぎ。単なるシングルの寄せ集めではない、『GAME』のアルバム作品としての圧倒的な存在感に脱帽であります。

(05)「チョコレイト・ディスコ」※シングル曲
この曲でPerfumeにハマった人も多いのではないでしょうか。私も3人が踊りまくるPVを鬼のようにリピートして見てましたが、改めていい曲だと実感。アルバム前半の緊張感を解く息抜き的な役割も果たしています。

(06)「マカロニ」※シングル曲
アルバムの中ではしっとり目のミディアムナンバー。エレポップならではともいえる無機質なヴォーカルなんですが、しっかりエモーショナル(感情的)な表現もされています。ライブではダンスメインで、歌はほぼ口パクにならざるを得ないPerfumeですが、実は歌も上手いということに気付かされます。テクノサウンドをライブで完全再現するなんていうのは、元々無理な話なので、Perfumeの口パクをどうこう言うのはホント止めていただきたいものです。

(07)「セラミックガール」
歌唱難度A級のダンスナンバー。ユニークなメロディが聴く側には快感なんですが、歌う側は相当なスキルが要求されると思われます。完璧に調教された初音ミクを凌駕する、超ヴォーカロイドな歌唱パートは必聴もの。

(08)「Take me Take me」
クラフトワークっぽいピコピコ音がいい感じ。これは歌声をサウンドのひとつとして活用した、インストルメンタルの一種といっていいでしょう。エレクトロなイージーリスニングというか、なんとなくシャカタク(フュージョンバンド)的でもあります。こういう曲がPerfumeのアルバムに入ってるなんて、購入前は夢にも思いませんでした。

(09)「シークレット シークレット」
イントロをブツ切りにするなど、かなり野心的な編曲がされています。これは相当いいです(個人的に一番好きかも)。素直でわかりやすいメロディを引き立てる、印象的なアレンジのリフが最強。ディスコ・クラシックな雰囲気もありつつ、アイドルソングとしても成立しています。

(10)「Butterfly」
ゲームミュージックのような世界観を感じます。この曲がBGMのシューティングとかが出たら最高。ベースのリズムが、ドリフのヒゲダンスリスペクトっぽく聞こえるのは自分だけ? どこかで聴いたような音色やアレンジが施されているのは、おそらく確信犯的にやっているのだと思われます。なんともシャレが効いていて面白いので、これはアリかと。

(11)「Twinkle Snow Powdery Snow」※シングル曲(配信限定)
ここで名曲キタコレ。こうしてCDとしてちゃんと聴くと、PVでは聞こえなかった音があるのがわかります。やはり、本当に好きな曲はCDでちゃんと聴くべきだと実感。大音量のいい音で体験したくなる、音の広がりを感じる傑作です。

(12)「Puppy love」
まるでドラマのエンディングを思わせる、少しアンニュイなメロディが耳に残ります。ノリのいい良曲なので、それほどしんみりはしてないはずなんですが、もう少しこのアルバムを聴いていたかったという名残惜しさを感じてしまいました。

参考までに一緒に聴いた2枚の洋楽アルバムについてもちょっとだけ書いてみます。